REDSエージェント、宅建士の渡部親三です。新型コロナウイルスは不動産業界のすみずみにまで影響を与えていて、悩みの種なのが銀行の営業時間が短縮され、ローンの事務手続きが面倒なことになっていることです。

 

契約を結ぶ女性とビジネスマン

(写真はイメージです)

 

提携先の都市銀行の住宅ローンセンターはこれまで営業時間が17時まででしたが、緊急事態宣言の発令により15時以降は対応不可となってしまいました。案件の相談が思うようにできませんし、審査や融資実行にむけた事務作業もかなりスピードダウンしています。

 

また審査が完了しても、「融資の契約(金銭消費貸借契約)」を銀行の支店で対面して行うことができなくなり、郵送でのやり取りになりました。ここで困るのが、銀行が依然として日本の「印鑑文化」の最右翼であることです。

 

ローンの契約の場面では、銀行員の説明をもとに2時間程度、たくさんの書類に署名捺印していきます。「こんなに名前を書いたのは初めて」というお客様もいらっしゃるほど面倒な手続きです。これが郵送で書面でのやり取りになると、「押印漏れ」とか「印影のかすれ・にじみ」といった不備があるのが普通です。こうした不備があると書面の差し戻しや再提出と時間のロスが発生します。

 

住宅ローンでは「融資実行日から逆算して融資契約は○営業日前までに終える必要がある」というルールがあることが一般的です。対面での融資契約だと、銀行員が「印影がかすれていますね。二重線で訂正して押し直してください」などと言ってくれますが、郵送ですとこうはいきません。場合によっては規定の時間をオーバーしてしまうこともあります。

 

実はこうした書面での融資契約は、ネット銀行を中心に以前からやってきたことではあります。私はお客様がネット銀行を利用したいという意向があれば全力で協力する主義ですが、書類不備による時間のロスを危惧してネット銀行の利用に難色を示す不動産会社や営業マンはかなり多いです。

 

こうした「事故」や不測の事態を防ぐためには余裕をもって融資実行日(引渡日)を設定すればよいのですが、不動産取引では「あるお客様が気に入る物件は、他のお客様も気に入る」という鉄則があります。長めの引渡し希望では売主にとって不利になり、物件を確保できず他のお客様に奪われてしまうこともあります。

 

胃が痛くなる時間が増えそうですが、何とか事故を起こさないように気を付けるしかありませんね。

 

最近は、口座の開設にあたり「印鑑なし」を選べる銀行も増えてきました。大手都銀でもスマートフォンで事前審査が完結するシステムを導入するなど柔軟さも感じられます。ぜひコロナ騒動を機に、銀行には印鑑文化から脱却していただきたいものです。

 

 

渡部親三(REDSエージェント、090-9815-2948、s.watanabe@red-sys.jp)
福島県出身。保有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、損保募集人資格、行政書士(未登録)。首都圏一円で、戸建て・マンションは居住用・投資用ともに得意としている。
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