不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2020年1月8日
  • 公開日:2017年12月31日

『有吉ゼミ』ヒロミ&タッキー最強コンビに見るリフォームのツボ

日本テレビ系の人気番組「有吉ゼミ」のクリスマススペシャルが先日放送されました。人気企画であるリフォーム工事を中心とした4時間放送です。

 

大工となるのはタレントのヒロミさんと滝沢秀明さん。そして今回の依頼主は、親が不在の子どもたちに格安で食事を提供する「子ども食堂」です。その発祥となったお店でヒロミ棟梁と社員の滝沢さんが、リニューアル工事を施工するという企画でした。

 

10日間に及んだ工事の内容は、どのようなものだったのでしょうか。現役の不動産業者の立場から詳しく解説していきましょう。

 

リフォーム

(写真はイメージです。)

 

「予告編」でも注目すべきリフォームのポイントが随所に

 

実は本編の放送の前日に「予告編」として、過去の傑作リフォームが改めて紹介されていましたので、これについても少し触れておきます。

 

舞台はお笑い芸人のトータルテンボス・大村さんのご自宅。長男の晴空(はるく)くんの部屋を、大好きだというスターウォーズ風の部屋に改造するという依頼でした。部屋は約5帖と手狭なため、これまでは学習机も置けなかったそうです。

 

そこでヒロミ棟梁は、既製品のスチールキャビネットを利用してベッドの土台部分を作っていきます。ベッドの下に収納と階段があり、可動式の学習机をセットできる、スペース有効活用型の2段ベッドが完成しました。LED照明やガス管、写真をプリントできる壁紙などで宇宙風の装飾が施され、晴空くんも大喜びの仕上がりとなっていました。

 

ヒロミ棟梁の見せた技は「スペース不足は縦に伸ばして解決」という王道の工夫でした。番組では2段ベッド風でしたが、単純にベッド下を収納スペースとし、トレーニング器具など場所を取るものを置くスペースにするのは最適な工夫です。

 

また、既製品をベースにしたのは、正確に作られている物を利用することで歪みの少ない仕上がりを狙ったのだそうです。これもとても良いアイデアでしたね。DIYでは作業の正確性が一番の課題となるので、技術不足を補ってくれるアイデアは、積極的に取り入れていきたいところです。

 

解体、そして新設こそがリフォームの本質

 

さて、本編の4時間スペシャルに話を戻します。こちらは、元は居酒屋だった28帖の子ども食堂をリフォームする企画からスタートしました。

 

築年数が古く、度重なる改装と劣化で店内はボロボロの状態。ヒロミ棟梁は、とりあえず壊すことを選択します。まずは何もない状態にして、そこから有効活用の方法を探っていこうというわけです。

 

リフォームは古くなった建物をリニューアルするのですから、傷んだ箇所や腐食したところを取り外し、新しいものへと交換するのが工事の基本です。まずはきちんと解体・撤去を済ませる必要があり、それが万全でないと、新設工事も満足のゆく仕上がりとはなってくれません。

 

しかしそうなると、個人がDIYで施工するのには無理があると言わざるをえません。番組ではチェーンソーやドリルを駆使して解体作業を進めていました。こうした工具類を工程別に用意しないと時間がかかるのですが、その工具類をそろえるだけでも多額の費用を必要としてしまうのです。

 

また解体工事は構造壁や通し柱、電気や水道の配線・配管を傷付けてはいけないなど、知識・経験の少ない人には、あまりにもハードルが高いでしょう。実際、番組でも工務店や電気店、水道屋の皆さんの手を借りています。任せるべきところはプロに任せる、ということも大切と教えてくれました。

 

今回の工事に要した期間は全工程で10日間だったそうですが、ほぼフルリフォームとなった工事をこれだけの短期間で完了できたのは、局面ごとに登場した専門の職人さんの手助けがあってのことだったのです。

 

土台作りまではプロの手が必須

 

土台となる木材の加工や、壁・床の下地作りといった工事も、専門家の手によらないと安全性が心配です。ヒロミさんは経験豊富な熟練者なので土台作りもお手の物でしたが、個人の趣味の範囲で彼と同様のスキルを発揮するのは難しいので、そこはプロに任せたほうが安心でしょう。

 

番組内で紹介された床下のモルタル敷きや壁の左官工事なども、作業自体は誰でもできますが、経験がないと美しい仕上がりとはなりません。そして作業面が均一でないと壁紙や床材を平らに貼れないのです。また、和室の框(かまち)などは見たことはあっても、それをどう設計し、施工していくのか、素人には分かりにくいことでしょう。

 

今回の特番では、プロの技術の素晴らしさ、設計の重要さを詳しく見せてくれていました。個人が住宅を自分でリフォームする際には、解体から土台作りまではプロの手を借りたほうが効率的かつ安全であることがよく理解できたと思います。ご自身でやるのは仕上げや造作の部分にしましょう。

 

プロ並みのスキルを持つヒロミ棟梁でも多くの職人さんに作業を任せていたわけですから、一般の個人が一から全てを施工すると、とんでもない時間と費用を要することになってしまいます。

 

仕上げや工作に便利な工具類の紹介も

 

壁紙や床張りといった仕上げや、机やテーブル、収納ボックスなどの工作はDIYでも可能です。番組ではそのコツをいろいろと紹介してくれていました。壁紙を貼る前のパテ埋めやモール材での化粧、壁紙をはがれにくくするための巾木施工など、良質に仕上げるための技術が局面ごとに織り込まれました。

 

壁紙張りの場面では、滝沢さんの失敗シーンも紹介されていました。カンナがけや合板を合わせるシーンでも、ヒロミ棟梁や他の職人さんとの力量差は明らか。やはりきれいに仕上げるにはそれなりの経験が必要で、技術取得には練習あるのみなのだと思い知らされました。

 

その他、便利な工具や新しい素材がたくさん紹介されていました。塗料を乾かすためのヒートガン、シートを円形にカットできるコンパスカッター、床材圧着用のポンドローラーといった工具類のほか、ダイノックフィルムなどの装飾シートにシロアリ防止剤、不燃材のケイカル板、セラミック製の湿気に強い壁材・エコカラットなどです。メーカー名と価格も表示されていたので、ネット検索すればすぐに購入できるのもうれしい配慮でしたね。

 

住宅のリフォームは、綺麗に仕上げるだけでなく安全性も重要なので、やはりプロの手が必要ということを、今回の特番では、改めて認識させてくれました。

 

その一方で、ヒロミ棟梁と滝沢さんは、とても素人とは思えないほどの技量を見せつけてくれました。つまり、全くの素人であっても鍛錬を重ねて知識を習得すれば、プロの力量に迫るのは不可能ではないということです。便利な工具が多数紹介されていたので、知識を身に付ければ、必要な技能の習得は昔よりも早いかもしれません。

 

番組で完成した子ども食堂は、店主の近藤さんが涙ぐむほどに見違えました。お披露目に駆け付けた子どもたちも大喜びでしたが、リフォームにはそれほどまでに人を感動させる力があるのです。DIYでのリフォーム工事は、突き詰めれば、実益も兼ねた素晴らしい趣味となるかもしれませんね。

 

伊東博史(宅地建物取引士)
大手不動産仲介会社で売買仲介に約10年間の勤務。のべ30年間以上にわたり、大手と中小、賃貸と売買と、多角的に不動産業務に携わる。現職では売買と賃貸仲介と管理、不動産投資や相続のアドバイスを行う。

 

 

この記事に関連する「「幸せ!ボンビーガール」に学ぶ古家を安くリフォームするコツ」、「「幸せ!ボンビーガール」が教える、古家リフォーム現場のスゴい実態」もぜひご覧ください。

 

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