不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月14日
  • 公開日:2017年8月22日

公務員単身者の住宅購入、どこに注意する?

一般に単身者(シングル)の場合、40歳前後で、自身の住宅を購入すべきか意識する方が多いようです。それは会社員でも公務員でも大きな違いはないでしょう。しかし身分と収入が安定している公務員は、よりカタい計画を立てることが可能です。一方で留意すべき点もあります。今回は「公務員の単身者」の住宅購入について考えます。

 
公務員
(写真はイメージです)
 

住宅購入の必要性は高い?

 
公務員は、給与の安定性や退職金の確実性から住宅ローンを受けやすいことが広く知られています。また、公務員職に就く方はライフプランにおいても安定性を重視することが多い点から、単身者でも住宅購入を考える方は多いかもしれません。
 
持ち家と賃貸、どちらが良いのかは人それぞれでありますし、環境にもよります。しかし、平均寿命の延びや将来の健康リスクを考えると、やはり単身者は持ち家のほうが安心できるのではないでしょうか。
 

単身公務員のメリットと注意点

 
一般的なシングルインカム(収入源が世帯主の収入のみ)の世帯は、「終の棲家」を欲したとしても、将来への様々な不安から、住宅ローンを組むのにも慎重になりがちです。一方で単身の公務員は、給与・退職金・年金の試算がしやすく、比較的正確な購入計画が立てられます。
 
とはいえ、結婚や転職などがないとは限りません。収入面の問題だけでなく、こうしたライフイベントの変化に対応できるか、仮に変化がなくても「その家に一生住めるのか」という検討は必須です。収入面での計画が立てやすいからこそ注意しましょう。
 

公務員の将来への資産運用

 
住宅購入に不可欠な「資金面」という点で、公務員の視点でもう少し話を掘り下げたいと思います。
 
従来、公務員の老後は共済年金が支えてきました。しかし、今後は共済年金は厚生年金と一元化されていきます。公務員の中にもこの制度改正について「疑問がある」「変更点が分からない」という人が多いそうです。年金は老後の重要な収入源。この改正はしっかり理解しておかねばばなりません。どんな変化があるのでしょうか?
 

毎月の年金社会保険料が増加

 
もともと共済年金の掛け金は、厚生年金のそれより保険料率が低かったのですが、2018年までに厚生年金と同水準の保険料率に引き上げられます。
 

年金受給金額の低下

 
年齢や年収により差はありますが、受給額水準は共済年金のほうが高めだったため、厚生年金と統合されれば受給額が下がることになります。
 
そうなると、現役中は「給与天引き額の増加」、退職後は「受取額の減額」とダブルパンチが予想されます。これまでは、年金受給額において退職後も公務員であったことの恩恵が存在しましたが、今後はなくなっていきます。また退職金も減額の方向に進んでいます。そのため、今後は公務員もよりシビアに老後資金を見積もる必要があるのです。
 

公務員も確定拠出年金に加入できるようになった

 
制度改正により以前よりも老後生活の厳しさが増す公務員ですが、良い方向に変わった点もあります。
老後のための資金運用として、2017年1月から公務員も「確定拠出型年金」に加入できるようになったのです。
 
確定拠出年金とは「自分で作る年金」とも呼ばれ、自分で資産運用した成果を将来に受け取れるものです。掛け金、運用益、さらには受取時にも税制優遇が受けられるため、通常の資産運用よりも効率良く運用できます。国も政策として推進しています。
 
老後資金の問題は、もちろん単身者に限ったことではありません。しかし、配偶者や子供がいれば家族間での助け合いが可能です。夫婦共働きで年収・年金額を増やしたり、子供に介護時のサポートを受けたりもできるでしょう。
 
そういった人的な対策を取りにくい単身者が講じることができる一番有効な対策は老後資金を貯めることです。ぜひ確定拠出年金を活用したいところです。しかし、資産運用のプロや金融関係筋によると、公務員は資産運用に対して否定的な意見を持つ人が多いといいます。確定拠出年金においても同様のようです。
 
あくまで推論ですが、公務員には「副業禁止」という決まりや「堅実」を良しとする傾向があるため、投機的な響きを持つ投資全般に拒否反応を示すのではないでしょうか。しかし、これからは、確定拠出年金に限らず「運用」というものに公務員も積極的に乗り出す必要があると考えます。
 

単身者の住宅購入で考えておきたいこと

 
単身者は、住宅購入後もよりリスクヘッジに気を配りたいところです。病気、親の介護、想定外の結婚……。予期せぬ事態が今後発生するかもしれません。単身者はファミリー以上にライフイベントの予測が立ちにくいため、状況の変化や問題が発生した時に、どう対応するべきか、様々な角度から考えておくべきです。
 

不動産売却に関する知識を

 
公務員でいる限り、解雇や減給の問題はないでしょうし、資金計画に注意すれば住宅ローンの返済が苦しくなることも少ないでしょう。ただし不測の事態による途中売却はあり得ます。
 
例えば結婚の場合、新居に移るならば購入した自宅をどうするのか考えなければなりません。その際、不動産価値が下がっていると、住宅ローンの残高よりも売却価格の方が低く、損をしてしまうことがあります。賃貸に出すことも検討すると良いでしょう。
 
また、もし自己都合での退職となれば、公務員ではなくなるため今後の収入が不安定になるかもしれません。繰り上げ返済で住宅ローン額を減らしたり、一括返済や借り換えをしたりなども検討しておきましょう。借り換えは転職後数年は難しくなりますし、公務員の身分の方がより低金利での借り換えが期待できます。
 
転職により返済が苦しくなった場合は、早い段階で借入先に相談をするべきです。返済期間の見直しや一時的な返済の据え置きも、可能性がないわけではありません。売却をすることになってしまうかもしれませんが、強制執行という最悪の事態は避けることができます。
 
こうした想定外の事態に直面した時に最善の選択をするためにも、不動産の売却について少しは知っておくべきです。売却益・売却損の見極め、売却による課税など基礎知識を得ることは、結果的にリスクを減らすことにもつながります。ライフイベントの変化やリスクに弱い単身者だからこそ、普段から積極的に情報収集を行いましょう。
 

再任用制度は詳細を確認

 
収入の安定した公務員の場合「在職中に住宅ローンを返済する」というのが最善ですが、単身者の場合、住宅取得年齢が高めになることもあり、完済できないケースも多いです。その場合は「収入面の見通しが立てやすい」という公務員のメリットを最大限活用したいところです。
 
まずは、自身の退職金の額をしっかり確認把握すること。また、退職後の再任用制度についても確認しましょう。再任用の年齢上限はあるのか、年収はどの程度になるか……。所属先の制度を確認し、住宅ローンの返済計画を入念にシミュレートしましょう。
また、退職金が見込める公務員ならではの注意点として、退職後に支払う国民健康保険料の額が大きくなることが挙げられます。国民健康保険料は前年の所得に応じて保険料が決まるため、退職金などで保険料が過大になってしまうのです。
 
退職後2年間ならば「任意継続組合員」として勤務中の健康保険組合に加入継続できるので利用したほうがお得です。なお、任意継続組合員の申し出は退職後20日以内と期間が短いですので、退職前に準備しておきましょう。
 

まとめ

 
公務員は住宅手当があることから、在職中はあえて家を購入せず定年間近に購入を検討する方も多いです。しかし単身者であれば、安定した収入がある段階で「終の棲家」をどうするのか考えることが求められます。公務員という特性は在職中こそ活きます。住宅購入を迷っているならば、今、前向きに検討してみましょう。
 
横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)

 

 

この記事に関連する「公務員こそ住宅ローンを組んで家を買うメリットがある」、「公務員必見!公務員の共済住宅ローンとは」、「公務員は住宅ローンで金利優遇が受けられるのか?」もぜひご覧ください。

 

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※2026年11月01日現在 本社・首都圏営業所の数値

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