REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの菅野です。

 

先日の日経新聞に面白い特集がありました。2021年11月28日付日経電子版記事『中古住宅、データは伏魔殿 不動産IDに既得権の壁』で一部を読むことができます。

 

内容をざっくりまとめると「不動産取引の透明化について、さまざまな施策や案が出てきたが、全部、不動産業界の反対でつぶされてきた」というものでした。

 

記事の内容は、不動産売買の現場にいる私からしても「だいたい合っている」といえるものでした。

 

パソコンと不動産

(写真はイメージです)

 

不動産ID構想が実現すればメリットいっぱい

 

不動産取引の透明化をより進める構想として2021年、政府から「不動産ID」でいろいろな情報を紐づけよう、という案が出ています。

 

不動産IDを各不動産に割り当てることで実現しそうなこととして記事中で挙げられているのが以下のような内容です。

 

 ・重要事項説明に必要な固定資産税額、都市計画、道路や水道管の状況を簡単に取得できる
 ・物件検索サイトに掲載された成約済みの「おとり物件」を自動的に判別して排除できる
 ・成約価格や建物の修繕履歴などを利用して価格査定が高精度で可能になる

 

不動産IDが実現することで、どんなメリットがあるかそれぞれ見ていきましょう。

 

1つ目は、私ども不動産会社のスタッフにとってのメリットですが、不動産の調査が楽ちんになります。現状、わざわざ現地の管轄の役所に出向いているのですが、ネット上で完結できるためその必要もなくなるということです。私どもが楽になれば、その分の時間をお客様に還元できるようになりますね。

 

2つ目は、多くの人にとって優良で魅力的な物件の架空の情報を広告に載せて集客を狙う「おとり広告」が排除でき、お客様が惑わされることがなくなることです。業者にとっても成約した物件を広告から自動的に削除してもらえて、正直な営業ができるのは非常に便利でありがたいことです。

 

3つ目なんか実現したら、不動産鑑定士なんか要らなくなってしまいますね。不動産仲介会社もいろんな方法で売却物件の査定価格を出してお客様に提示しますが、より的確な価格を簡単に出すことができれば、もちろん私どもの負担が減ることになりますが、それ以上に売却期間の短縮や売却機会の拡大などにつながり、お客様にとって大きなメリットとなります。

 

一方、取引の透明化は難しいかも

 

ただ、不動産IDによって取引が透明化されるかといえば、それは難しいかもしれません。

 

記事中にもあるのですが、不動産IDでは、成約価格まで紐付けられます。成約価格、すなわち「この家をいくらで売った、買った」について日本人には「個人のプライバシー」という考え方が強く、取引価格を公表するのは不動産業界にとどまらず広く反対があるのではないかと予想されます。

 

不動産取引についてのデータ連携というのは、「個人情報保護」という、まるで「進撃の巨人のウォール・マリア」のような大きな壁があり、なかなか一筋縄ではいかないのです。

 

とにかく日本の法律の立て付けは個人の権利というものに重きをおいているので、個人の権利の制限に関しては世間が非常に厳しく反応します。

 

その個人の権利の中に「プライバシー権」というものもあり、不動産の取引価格の公表は「プライバシー権の侵害」となる可能性が大きいわけです。

 

不動産取引は公的なものか

 

公共の福祉と個人の尊重というものは二律背反しやすく、政治でも「自由主義」と「社会主義」とは本来、対立する命題なわけです(しかしながら日本ではリベラルというと、どちらかといえば社会主義・共産主義的思考の方が多いように見え、矛盾を感じてしまいますが)。

 

不動産の取引というものが「公的」なものであるという認識が欧米のように広まっていけば、そういった透明化は進むかもしれません。

 

でも正直なところ、私も「自分の家をいくらで買って、いくらで売れたか」というのを公表されたくはありません。

 

一人一人の考え方を変えていくということは、なかなか難しいかな、とも思うのです。

 

この記事を執筆したエージェントプロフィール

菅野 洋充

かんの ひろみつ

4.916件

緊迫するウクライナ情勢の影響で、新築物件の価格はバブル期を超える高騰の様相です。

また、新型コロナBA.5の大流行が始まってしまいました。

先行き不透明な今こそ、すぐに仲介手数料が

【すべて割引、さらには無料も!】

株式会社不動産流通システム【REDS】にご相談ください。