REDSエージェント、宅建士の渡部です。みなさんは不動産営業マンのセールストークについてどんなイメージをお持ちでしょうか。

 

「あまり買いたくない物件をゴリ押しされてしまう」と感じている人もいるかもしれません。魚屋にサーモンを買いに行ったのにマグロを猛烈に勧められて買わされてしまった、というくらいならまだかわいいものですが、数千万円する不動産でそれをやられたらたまったものではありません。

 

逆に、マグロを買おうとしたら「この時期のマグロは身が痩せていて美味しくないよ」と言う魚屋もいます。みなさまはどちらがいいでしょうか。

 

マンション購入と停止マーク

(写真はイメージです)

 

先日、お客様のご案内で都内の某地域のマンションをご案内していました。エントランスで待ち合わせ、オーナー様が居住中の物件だったため売主側の仲介業者とお客様と合流して室内へ。広々とした日当たりのよいリビングをはじめ、お客様が探していた理想的な間取りでした。オーナー様が親切に室内の説明をしてくれて、自然とお客様のテンションも上がります。

 

「これはいい! 決めちゃおう!」

 

そんな気持ちがお客様の表情からうかがえました。お部屋を退出し、売主側の担当者と別れて、お客様と私だけになると、お客様は購入手続きの流れや住宅ローンの審査のことなど、先の手続きについて質問され始めました。このままでしたら申込、契約へと進みそうな流れです。

 

ただ、お客様は結果的にこのマンションを選ぶことはありませんでした。ここまで乗り気になっていたのになぜ? 住宅ローンの審査に問題があったとか、ほかの買主がお金を積んだとかではありません。お客様のご意志で購入をやめたのです。

 

私はお客様に「ちょっと見ておいてもらいたいものがあります」と言ってマンションの建物全体を見てもらいました。平成10年代建築のマンションで、エントランス側からは見えないのですが、裏の道路側から建物を見てみると、至る所で外壁のタイルが剥落していました。

 

タイルが剥落しているからといって、建物の耐震強度に問題があるわけではありません。お伝えしたとおり、部屋の中は問題ありませんでした。悪いのは「管理」です。タイルが剥がれ落ちた状態を放置していることなのです。

 

外壁のタイルの剥落というのは築年数の経過とともに起こり得るものですが、通常は現状を把握した段階ですぐに対処されるものです。美観の問題もありますし、タイルが落ちて人に当たれば事故につながります。放置することは考えられません。

 

私はお客様に正直に説明しました。「年代的にそれほど古い建物ではないので新築時の施工不良が考えられます」「新築時のデベロッパーはすでに倒産しておりアフターサービスでの補修は考えられないのかもしれません」「通常のマンションではこうした場合、放置せずに何らかの対処をします。管理組合や管理会社に何らかの問題がある可能性があります」……。お客様には家の購入を検討するとき、こうした点を総合的に考えていただきたいとの一念です。

 

その後、管理会社などにヒアリングしたところ「管理組合としては新築時の施工不調を疑っているが、請求する相手が倒産しており対処に困っていること、剥落箇所が多いためどのような補修方法を選択すべきか合意ができておらず数年にわたって放置されていること」が分かりました。私の読みどおりです。

 

私どもは仲介の立場なので客観的に「物件のありのまま」をお伝えすること、判断材料を提供することが務めです。「聞いていなかった」「知っていれば購入しなかった」という事態は最も避けたいと思っています。

 

今回のお客様の選択が、お客様の幸せにつながるよう願っています。

 

この記事を執筆したエージェントプロフィール

渡部 親三

わたなべ しんぞう

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不動産のご購入・ご売却をお考えの皆様、「任せて良かった」と言っていただけることを目指し、不動産エージェントとして質の高いサービス・豊富な情報量、そして安心と信頼を御提供できるよう、努めさせていただきます。