不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2022年1月20日
  • 公開日:2016年8月11日

「家売るオンナ」【第3話】にみる不動産仲介(2)―断られても「想定内」 物件と人生のマッチング

大人気の「家売るオンナ」、今回は第3話のストーリーをなぞらえながら、その内容を実際の不動産仲介の現場と照らし合わせて検証していきます。読みどころたっぷりの3回に分けてお届けします! 今回は中編です。

 

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現地販売ならではの戦略

 

現地販売ウィークに突入したテーコー不動産。

 

  • 中野坂上:サンルームのある高級戸建て
  • 新中野:外国人向け2バスルームマンション
  • 中野区弥生町:狭小住宅

 

課長の矢代大(仲村トオル)は、これらの物件を、現地販売会を催して集中的に販売しようと試みます。
物件ごとにメンバーを振り分けるなか、主人公の三軒家万智は課長と一緒にフォローを命じられます。

 

そんななか、テーコー不動産に現れたのは、歯科衛生士の夏木桜(はいだしょうこ)。自宅の売却と新規の購入依頼を受けた万智が夏木の自宅に内見に出向いたところ、そこは、物があふれかえり、ゴミ屋敷のような状態でした。

 

ほどなく、同様に別の物件の売却と新規の購入依頼が飛び込んできます。いわゆる「捨てられない女」の夏木とは正反対に捨てまくる「ミニマリスト」、保坂(中野裕太)でした。

 

正反対の性格の夏木と保坂。凄腕営業ウーマンの万智は、とある思惑にそって2人を引き合わせます。
この2人はなんと元恋人同士だったのです。再会した2人は復縁をしますが、ライフスタイルと性格が全く違うためにまたしても破局。

 

あたふたする同僚の庭野聖司(工藤阿須加)に、万智は「これでいい。想定内です」と答えます。

 

断られてからが本番。
「まわし物件」を見せて、本命物件を決める

 

万智に余裕があるのは、別の作戦があり、断られてからが本当の営業のスタートだと思っているからです。

 

  • ダメな物件を見せてから良い物件を見せる
  • 同じ物件でも短所を伝えてから長所を伝える

 

このように、最初から売るつもりのない物件を見せてから、次に本命物件を案内するといった手法は、昔から不動産仲介ではよく使われています。今でもおこなっている会社もあります。一度気持ちを落としてからまた盛り上げて、その勢いで決めさせるのです。(もちろん、当社では一切このようなことは行っておりません。)

 

「自分で選んだ」という物語をつくる

 

不動産販売では、一度断るというステップを踏んでもらい、最後にはお客様自身に自分で決断した」という感覚を持ってもらうことが重要です。

 

不動産会社の営業マンに物件を案内してもらったことのある人は、いくつかの物件を見比べることで、そのうちの1つの物件がとても良く見えてきたような…そんな経験をしたことはないでしょうか?

 

この、良い物件を見せる前に案内する物件を、業界用語では「まわし物件」といいます。

 

今回の売り方は、「まわし物件」を見せただけではなく、万智自身が占い師に扮してもう一押しするという現実離れした心理作戦をとりましたが、最終的に保坂は弥生町の狭小住宅を購入し、夏木と暮らすことを決意します。

 

買い手の心理を巧みにつかむ万智のテクニック

 

つい親身になってあれこれ感想を持ち、時にはお客さまに意見してしまう庭野と対照的に、万智は買い手の意思をあくまで尊重し、否定的なことは言いません。

 

第2話のひきこもりのヨシキに対してもそうでしたが、今回も物を捨てられずに恋人から捨てられてしまった夏木に対し、万智は

 

  • 「夏木様が変わる必要はありません」
  • 「あなたはあなたのままで」

 

と包み込むようにお客様を肯定します。

 

こうして万智は、一見買い手の心を尊重しながら自分のペースに徐々に乗せていき、思い通りのシナリオを完成させ、契約を獲得します。

 

家を売ること以外は「知ったこっちゃない」という万智の一見、暴言に思えるような発言に動揺する庭野。実は彼は、テレビの視聴者に近い感覚を持つ人物のようにも思えます。

 

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(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)

 

都内に多い狭小住宅の特徴と現実

 

比較的安価、だけど売りにくい狭小住宅

 

東京都内には30坪に満たない狭小宅地や、四角ではなく変形していたり、細長かったりする変形宅地が多く存在します。
住宅需要の高い都心部や、都心までのアクセスの良いエリアには、そういった狭小地や変形地の有効活用として建てられる戸建てのことを指して「狭小住宅」と呼びます。

 

狭小住宅は土地面積が小さいため、立地が良く、土地代が高いエリアでも、取得費用が安く済みます。

 

ですが、4人家族等のファミリーなど一般の人はなかなか手を出さないため、客層が限定されることもあって、売る側にとっては「売りにくい」「難しい」物件という認識が強いのです。

 

万智がミーティングで「宅間さん(本多力)と白洲美加(イモトアヤコ)にこの狭小住宅(を売るのは)は無理です」と言ったのもそのためです。

 

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(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)

 

保坂の売却物件はズバリこんな家!

 

保坂が売却を依頼する自宅は、所在地は明言されていませんが、ダイニングだけを見ても20帖近い広さがありながら庭付きです。土地面積も、建売でよくみられる30坪以上は優にありそうです。

 

築年数は経っていそうですが、エクステリアや室内の造作を見る限り、注文住宅でしょう。大型のダイニングに加え主寝室は10帖と広く、また居室が数部屋あるようです。少なくとも3LDKはあるのではないでしょうか。

 

保坂の売却、買い替えシミュレーションは…

 

保坂が買い替える狭小住宅は2,980万円。購入の際にかかる諸費用を考えると、手持ちで3,500万円程度の現金があれば無理なく買い替えができそうです。

 

新宿営業所に問い合わせをしてきているところから、保坂の自宅は新宿付近と思われます。

 

都心近郊エリアで同様のスペックの中古住宅を売却すると、相場から、3,500万円以上の価格で売却することができそうです。

 

自宅の売却費用で、新しい物件の購入資金2,980万円+諸費用は、すべて賄えることでしょう。

 

詳しくは、第三話の(その3)に続きます!

 

(監修:不動産流通システム)

 

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