このたび、不動産流通システム(REDS)のイメージキャラクターにお笑いコンビ「パックンマックン」メンバーでパックンの愛称で知られるパトリック・ハーランさんを起用させていただきました。これを記念し、パックンとREDS代表の深谷十三で行った記念対談の2回目をお届けします。

 

①から続く

 

パックン対談2-6

パックン(右)とREDS代表 深谷

 

初来日。広くて快適だった福井の一軒家

 

深谷:その後、名門のハーバード大学をご卒業後、1993年に日本に来られたわけですよね。

 

パックン:当時23歳です。

 

深谷:日本に来られて最初の住まいはどんな感じだったんですか。

 

パックン:実は意外にアメリカに少し近い生活ができたんですよ。最初は福井県福井市の駅前にある一軒家に住んでいました。ただ、前庭も裏庭もなく、サッシを開けると、もう50センチ先に塀が立っているという状況です。

 

深谷:あはは、それ日本ではふつうです。日本では裏庭なんて言葉はあんまり聞かないですよね。

 

パックン:家自体は1階、中2階、2階の造りの120㎡ある立派な家でした。掘りごたつ、畳の部屋、障子、居間、床の間があり、キッチンには床下収納もあってすごく素敵な住宅だったんですね。当時は英会話学校の講師の仕事をしていて、同僚のオーストラリア人とルームシェアで4万円ずつ出し合っていました。アメリカの育った家に比べていたら狭いのですが、東京の感覚からすれば、もう夢のような暮らしだったんです。

 

「外国人お断り」が横行する時代に住んだ訳ありボロアパート

 

パックン:96年に上京して住んだのが新四谷のボロアパートです。築30年、25㎡、家賃は8万円でした。1階で庭があり、近所の野良猫が集まってきたのでペットにして飼っていました。

 

深谷:96年ですと、日本はまだバブルの名残があって家賃は高いですね。

 

パックン:しかも、その8万円の物件に決めたのは、借り手がなかなかつかない物件だったからです。

 

深谷:そういう「訳あり」しか借りられなかったということですか。

 

パックン:はい、近所の不動産屋さんに相談して、あちこち探してもらったのですが、当時は外国人というだけで断られることが当たり前でした。すごく傷つきましたよ。子供OK、ペットOK、なのに外国人NGですから。僕はペット以下なのかと。

 

深谷:もう今では考えられませんけど、あの当時は賃貸の不動産屋は「外国人不可」って張り紙をしていましたからね。

 

パックン:ありえない。差別ですよ。

 

「キーマネー」と英訳される不思議な「礼金」

 

深谷:外国人っていうことだけで難しいので「名前を変えようかな」と考える外国人もいたようです。そのほか、アメリカにはなくて、なかなか理解ができないのが「礼金」ではないですか。「借りてあげるのになぜお礼のお金を払うの?」と感じられませんでしたか。

 

パックン:「礼」というのは「借りてくれてありがとう」という意味じゃないんですか、ふつうは。礼金は、日本在住の外国人向けに「key money」と訳されています。合鍵を作るのには2,000円もあればいいのに、礼金になったらなぜ20万円(家賃の1、2カ月分)もかかるのかと。

 

深谷:私はこの業界にいるのに、長くその意味を考えたことがなかったんです。以前、不動産の歴史を学ぶ機会があって知ったのですが、現在はアパートのオーナーさんと大家さんはだいたい一致していますよね。ところが江戸時代の頃は、大家というのが一つの職業だったんですよ。オーナーは別にいて、大家さんが賃貸物件である長屋を管理していた。入居者がこの大家さんに払うのが礼金だったということです。

 

パックン:賄賂ですね。

 

深谷:そうです。ところがいつの間にか大家とオーナーが一致してしまったもんだから、オーナーさんが礼金をもらうようになったと。本来はオーナーさんだからそれこそ「借りてくれてありがとう」ってことはあったにしても、もらう必要はないわけですよね。これが形だけずっと残っちゃっているわけです。日本の不動産の世界って不思議ですよね。

 

モラルハザード! 日本流不動産取引

 

深谷:ほかにも不思議なものはいっぱいあります。ところでパックンは東京で不動産を買われたことありますか。

 

パックン:前のマンションも、今のお家も買いました。

 

深谷:不動産を買うときには、不動産会社に仲介手数料を払いますよね。それは「オレのためにいい物件を安く買わせてくれよ」という期待を込めて払うわけですよね。一方、不動産会社はお客様から物件を預かって売ることを任されることもあります。そこで期待していることは「ワタシのために高く売ってよね」でしょう。

 

パックン:そうですね。

 

深谷:そこに友達2人が売り手、買い手としてそれぞれ仲介を依頼してきたとしましょう。「あなたの家を高く売ってあげます」と「あなたにいい家を安く買わせてあげます」がぶつかったとき、売り手の利益と買い手の利益をそれぞれ減らすことで折り合いをつけるしかありませんよね。それで「めでたしめでたし」となることはありえないでしょう。

 

ところが、日本の不動産会社ではこういうことを当たり前のようにやっています。売却物件を預かったら、マッチングさせるのは、家探しを自社に依頼した人に限るのです。これを両手仲介というんですが、これをすると売り手からも買い手からも仲介手数料をもらえるというのが大きな理由です。しかも、仲介手数料を2倍もらえても、手間は2倍にはならず、もっと簡単にできるのです。

 

もっと悪いのが、この物件は売れそうだとにらむと、「よしよし、これはうちだけのものにしておこう、そしてこの物件を利用していっぱいお客さん集めちゃおう。そして両手仲介をやってしまおう」という商慣習がすごく根深くあるんですよ。

 

私はこの業界にいまして、一番おかしいところだなと思うわけです。どこがおかしいかって言いますと、「絶対に高く売るから任せてください」というとき、どうしたらいちばん効果が出るかというと、ひとりでも多くの人に聞いてまわることでしょう。要するに買い手は自社で把握している人だけでなく、東京都内、日本全国から募るべきなんです。そうしたら、「高くても買いたい」「すぐ買いたい」という人が見つかりやすいことは言うまでもありません。

 

ところが、こうすることなく、手数料を2倍もらうために自社の客だけで買い手を探そうとするのは誠実じゃないですよね。

 

パックン:モラルハザード!

 

深谷:両手仲介は、日本の不動産取引の病根です。ここをもっとパックンに発信してもらいたいのです。

 

パックン:おっしゃるとおりですよ。僕は理詰めが大好きな男なので、その仕組みを知った瞬間に「おかしい!」と思いましたよ。しかも、買い手も手数料を払うというのは理屈が成り立たなくないかと最初から思っていましたね。

 

③に続く

 

 

【プロフィール】

■Patrick Harlan(パトリック・ハーラン) 
タレント。1970年生まれ、米国コロラド州出身。1993年にハーバード大学比較宗教学部卒業後に来日。97年、お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)でブレイク。2003年にラスベガス、07年はハリウッドで英語漫才を披露。「英語でしゃべらナイト」(NHK総合)をはじめ、「ニュースモーニングサテライト」(テレビ東京)、「報道1930」(BS-TBS)など、多くのテレビ・ラジオ番組に出演。12年からは東工大非常勤講師を務める。著書に「パックンの『伝え方・話し方』の教科書 世界に通じる子を育てる」(2017年、大和書房)、「大統領の演説」(2016年、角川書店)、「逆境力」(2021年2月発売予定、SB新書)など多数。

 

■深谷十三(ふかや・じゅうぞう)
不動産流通システム(REDS)代表取締役。1964年生まれ。家電店の営業マンから1988年に不動産業界に転ずる。1994年に株式会社第一住創を設立。21世紀に相応しい不動産仲介モデルを目指して2008年に不動産流通システム(REDS)を設立。REDSでは、インターネットやスマートフォンでの集客に特化しながら、業務の無駄を徹底して排し、不動産業界では珍しい在宅勤務制度を導入するなど革新的な経営を進める。「囲い込み」という不動産仲介の悪しき商慣習の根絶を訴え、仲介手数料を割引から無料にするなど、不動産業界の慣行にとらわれず、お客様の実になるサービスを追求する経営を行う。