REDSエージェント、宅建士の菅野です。

 

新型コロナウイルス感染症の影響は不動産関係では当初、住宅設備の納期遅延が知られていましたが、ついに購入されるみなさまにとって肝心要の住宅ローンにも暗い影を落としてきました。

 

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(写真はイメージです)

 

目下、全国のサラリーマンが在宅勤務のテレワークで仕事をしていますが、住宅ローンを扱う金融機関の社員がテレワークや自宅待機などを行っていて、人員が不足しているようです。このため、ローン審査に非常に時間がかかるようになってきました。以前はせいぜい2、3日、早ければ翌日に事前審査がおりていたのですが、現在は1週間かかることも普通になってきました。

 

たとえばイオン銀行は支店がイオンモール内に多くあります。このイオンモールは緊急事態宣言の全国拡大を受けて4月18日から全国142施設の専門店を臨時休業するなどの対応を取っていて、かなりの数の支店が一時休業となっています。このためか、公式発表はしていませんが「どうやら新規受付を休止している」などといううわさも流れてきています。

 

このほか、いくつかの都市銀行でも同様に新規の審査受付を停止するかもしれないなど、真偽不明のうわさが流れてきています。

 

また、住宅ローンの審査基準が厳格化してきたように感じます。たとえばエビデンス確認や属性に対する融資基準の変更などですが、これまでなら借りられるだろうと判断できたレベルの内容で否決されるケースが明らかに増えています。実際、キャッシュをそれなりに用意されているお客様が、土地を購入して住宅を建設しようと住宅ローンを地方銀行に申し込んだところ、本審査で否決されてしまうのを目の当たりにして、私も驚きました。

 

「フラット35」についても、住宅ローンで購入した物件が不動産投資に使われていた問題が大きく響き、審査の厳格化が続いています。これまでなら何の問題もなかったレベルの方の審査が急に不適となることが、いっそう懸念されます。

 

たとえば、旧耐震基準(1981年以前に建てられた)のマンションについては一部の金融機関がすでに基準外という扱いをとっていますが、フラット35でもローンが組めないとなると資産価値の評価がぐっと低下してしまうことが予想されます。耐震診断や補強、建て替えの検討をしない旧耐震マンションは、今後さらに売れにくくなるかもしれません。

 

新規受付停止といえばアパートローンも今は非常に厳しい状況です。地銀はもちろん、不動産投資に積極的とされるオリックス銀行や、三井住友トラストローン&ファイナンスなどのノンバンクも軒並み受付をストップしているようです。

 

もともと以前より、スルガ銀行の「かぼちゃの馬車」不正融資問題、西武信金の反社融資問題などで、投資用不動産への融資は門戸が狭まっていましたが、このコロナ禍がとどめを刺すことになっているかもしれません。国交省からは賃料のモラトリアム(支払い猶予)要請や家賃減額請求が出ることが予想されていますが、これでは困っていく大家さんが増えていくのではないでしょうか。今後、オーナーチェンジ物件はキャッシュを持つ投資家の狩場となっていくことが予想されます。

 

賃料モラトリアムについては現時点(2020年4月24日)では与野党が法整備を準備しているレベルではありますが、業界に与えるインパクトは非常に大きく、下手をすると不動産への融資が不良債権化し、バブル崩壊後の銀行破綻の再来すら招く可能性があるかもしれません。

 

政府はコロナの影響で倒れる人が出ないよう、いろいろな施策を打ち出しています。今はとりあえずやるしかないという場面かもしれませんが、緊急避難的政策はあくまでも緊急避難ですので、後に禍根とならないよう、全方向に速やかなバックアップをお願いしたいです。

 

総量規制がバブルを崩壊させ、後に平成不況、就職氷河期を起こしたように、一部の人、団体、世代、属性に大きな負担をさせるような施策は、その後に大きな歪みを生むことになると思いますので。

 

 

菅野 洋充(REDSエージェント、0800-100-6633、hiromitsu@red-sys.jp)
北海道出身。所有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)、住宅ローンアドバイザー、ホームステージャー2級、競売不動産取扱主任者、情報セキュリティマネジメント、住宅ローンアドバイザーなど。
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