不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 公開日:2019年1月21日

空き家の仲介手数料値上げが業界に完無視される理由とは?

2018年、不動産取引の仲介手数料の上限に関する告示が48年ぶりに改正されました。改正の背景には、昨今の社会問題となっている空き家問題があり、仲介手数料を実質値上げすることで、問題解決につなげることが目的といわれています。施行から1年が経ちましたが、現実の取引にはどのような影響を与えたのか、振り返ってみます。

 

昔ながらの町並み

(写真はイメージです)

 

従来の仲介手数料の規定と禁止事項

 

そもそも、不動産会社の仲介手数料とは、どのように決まっているのでしょうか。

 

宅地または建物の取引を業として行う不動産会社は、宅地建物取引業者として免許を受ける必要があり、宅地建物取引業法という法律で業務の内容や義務について厳しく定められています。報酬についても、宅地・建物の売買、交換、賃借の代理や媒介に関して受けることのできる報酬の額は国土交通大臣の告示で定められ、この額を越えて報酬を受けてはならない、とされています。その仕組みについてはこちらをご覧ください。

 

仲介手数料は、上限額を超えて請求してはならないだけでなく、実際に受領しなくても、要求しただけで法律違反となります。また、仲介手数料は成功報酬であり、売買契約が成立して初めて受領できるものです。交通費や雑費なども特別な経費として認められないものは基本的に仲介手数料に含まれます。そんな仲介手数料の決まりが以下のように変更されました。

 

「空き家取引かつ取引価格は400万円以下の物件に限り、従来の報酬上限に加え、調査費用などを上乗せできる。その報酬金額は、合計で18万円(税抜き)を超えないようにする」

 

つまり、仲介手数料は不動産会社がかけるあらゆる経費がコミコミだったものが、空き家取引で400万円以下と安い物件を扱う場合に限って、出張費や調査費用を18万円未満なら追加で請求できるということにしたのです。

 

改正の背景は空き家問題の深刻化

 

改正は不動産会社の手取りを18万円まで増やすことを容認することで、空き家の取引量を増やそうとしていることは誰でも理解できると思います。では、その空き家問題はどのくらい深刻なのでしょうか。

 

総務省の住宅・土地統計調査では、空き家の数は2013年の時点ですでに820万戸となっており、5年を経た現在では1000万戸に迫るともいわれています。少子高齢化に伴い、人口減、過疎化・都心部への集中、単身世帯化、健康期間の減少など複合的な要因があるためとされています。

 

空き家増加によって、防災面では家屋倒壊など、防犯面では廃棄物の違法投棄、無権利者の無断使用などにつながるほか、公衆衛生や景観面での悪化、固定資産税の不払いなどが挙げられます。こうした事態を放置することはできないとし、2015年5月に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。「地方自治体は、近隣に悪影響を与える空き家を『特定空き家等』と指定し、必要な措置について助言・勧告・命令をすることができる」という強制力を持つ法律です。

 

この法律を支援する目的で、2016年の税制改正では「特定空き家等」に指定された土地は固定資産税が最大6倍までに増加するというペナルティ的措置が加わりました。オーナーに空き家を放置させないための負の動機付けといえます。

 

また全国の自治体の6割が「空き家バンク」のシステムを構築し、情報を共有するなど、自治体と不動産会社が共同で空き家問題に対応することを模索中です。

 

空き家の仲介手数料改正の目的とポイント

 

今回の仲介手数料改正の目的も、空き家をはじめとする安価な中古住宅の流通を促進させることが最大の目的です。というのも、これまでの仲介手数料の仕組みでは、こうした安価な物件や空き家物件がなかなか動かなかったからです。

 

空き家は立地の悪い郊外や過疎化した地域の老朽化した物件がほとんどで、まず高値がつきません。先ほども述べたとおり、不動産会社の仲介手数料は、販売までの手間や交通費等の経費、販売の困難さに応じてではなく、物件の売買価格に応じて決まります。郊外の300万円の空き家を売却するために交通費と時間をかけて調査や内覧をして、何カ月もかけてやっと売却できても、売主からもらえるのは税抜でたった14万円が上限の仲介手数料です。これでは割に合わないというのが不動産会社の正直なところ。

 

一方で首都圏の戸建の2018年12月の平均価格は3151万円です。仲介手数料の上限額は約100万円が上限となるうえ、よく売れます。これでは、不動産会社が郊外の空き家の仲介に積極的にかかわろうとしないのも理解できます。

 

改正は業界でも話題にならず、効果なし

 

さて、改正後1年が経ちましたが、期待通り、改正により空き家取引は活発化したのでしょうか。残念ながら、公表されているデータからは「NO」です。筆者の体感でも、この1年、今回の改正について不動産業者間でも全く話題にならず、この改正を根拠に積極的に空き家ビジネスに取り組んだという業者も筆者の周辺では皆無でした。全く期待外れの結果といえるでしょう。

 

その原因は、以下の3つでしょう。

 

(1)適用限度の報酬額が上限18万円までであること
(2)特別の依頼業務の経費を請求することは従来から認められていること
(3)報酬額の上乗せ分は依頼者負担であり、依頼者のモチベーションが逆に下がること

 

まず(1)ですが、先述したように首都圏の戸建の販売手数料上限が平均100万円であることに比べて、最大でも18万円というのは、業界のモチベーションのアップを図るためには小さすぎるとしか思えません。不動産会社にとってみれば、「あまり変わらないじゃん」というのが本音です。(2)については従来から遠距離の物件に関する旅費や特別な依頼による広告費などについては、別途経費を請求することは認められてきています。(3)はもっと分かりやすく、増える分の仲介手数料は依頼主からもらうので、依頼主の売却意欲が失われかねないということです。もともと安い空き家物件では売却益も小さいので、不動産会社への報酬が売却額に比べて大きくなり過ぎては、払う原資がないということにもなりかねません。

 

空き家問題は深刻 公的資金をつぎ込むのも一案か?

 

筆者は、もともと不動産会社の仲介手数料は自由化すべきだと考えています。全国ネットワークで駅前など好立地の場所に店舗を構える大手不動産会社と、地域の零細不動産会社が同じコスト構造であるわけでもありませんし、同じ収益が必要なわけでもありません。業容や業態に応じてサービス料金は設定されていき、いずれそれぞれのマーケットで適正な相場が生まれていくものだろうと思います。空き家に関する仲介手数料も、同様に自由に設定されるべきだと思います。

 

ただ空き家問題の解消を加速させるために政策的な施策を実施するのはよいことだと思います。提言ですが、たとえば再生エネルギーによる電力固定価格買取制度(FIT制度)のように、空き家取引に関しては、不動産会社の仲介手数料について一定の公的補助を出す制度などはいかがでしょう。社会インフラへの貢献という意味で、公的資金導入は検討に値するアイデアだと思います。

 

 

早坂 龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

REDSではすべてのお客様に、
Googleクチコミの投稿を
お願いしています。

※2025年12月07日現在 本社・首都圏営業所の数値

※2025年12月07日現在 本社・首都圏営業所の数値

  • 平均評価
    5.0
  • 投稿数
    159

    2 週間前

    自宅(中古戸建て)の売却でお世話になりました。

    まず何よりも、営業(小室様)の方に、超丁寧&超迅速&超親身なご対応を頂き、★5では足りないです!!

    当方、介護や仕事や新居(二世帯住宅)の建築対応や仮住まいへの引越しで日々バタバタしてしまい、必要な物を紛失してしまったり、諸対応が遅くなってしまったり、、、と、色々ご迷惑をお掛けしてしまいましたが、都度、豊富な専門知識で臨機応変に気持ちの良いご対応を頂き、本当に心強かったです。感謝しかありません。

    隅々まで行き届いたサービスにも関わらず、仲介手数料は他社様の半額以下という、申し訳なくなるほどありがたい内容でした。

    また、買主様も先方の仲介業者様も素晴らしい方々で、非常に恵まれたお取引ができました。

    こだわりを詰め込んだ思い入れのある注文自宅でしが、まさにそのこだわりを気に入って頂けた買主様に引き合わせて頂き、ご購入頂く事ができ、大変嬉しく思っております。

    また何かありましたら、絶対REDS様にお願いしますし、お友達に不動産取引を検討している人がいたら、全力で勧めようと思います!

    もういくら御礼を言っても足りないです!
    本当に本当にありがとうございました!!

    1 か月前

    知識、対応力、気配り、全てに感謝!! 安心してマンションを購入できました。
    息子のマンション購入で約1年半に渡り大変お世話になりました。担当の小室様には物件の内見から契約、引渡しまで一貫して迅速かつ的確なアドバイスを頂き、その知識の深さに何度も助けられました。どのような相談や質問にも即座にご回答下さり心から信頼できると感じました。
    また、平日はなかなか時間が取れない私達の状況を考慮して下さり、最小限の面談とメール、郵送を効果的に活用してスケジュールを組んで頂いたおかげでスムーズに手続きを進めることができました。
    大変満足のいく物件を安心して購入することができ、親身になってサポートして頂いたことにどれだけ感謝しても足りません。しかも仲介手数料が半額で本当に恐縮しております。
    また不動産売買の機会がありましたら必ずREDSさん、そして小室様にお願いしたいと思っております。本当にありがとうございました。

    1 週間前

    戸建住宅購入の仲介を志水さまにご担当いただきました。

    住宅購入において知識がない中で、事細かに丁寧なご対応いただき、不安なく取引を進めることができました。
    また、住宅ローンを借り入れる際も銀行さまとも細かくご確認いただいたりと、不安な面を親身に相談に乗っていただけて安心してお願いすることができました。
    とても話しやすい雰囲気で、とても良いエージェントで大変満足です。

    この度はお忙しい中、スムーズなお取引をありがとうございました。

    1 か月前

    担当してくださった下山さんには、大変お世話になりました。
    初めてのマンション購入で、物件選びはもちろん、ローンや保険など、細かな決め事や判断を無数に迫られる中、本当にわからないことや悩む場面が多くありました。

    そんな状況で、日々のメールや電話、内見にご同行いただいた際には、これでもかというほど質問をしましたが、いつもレスポンスが早く、とても親身にご対応いただけました。そのおかげで、安心して物件を購入することができました。本当に頼りになる方でした。

    仲介手数料も他社と比べて圧倒的にお得ですし、今後不動産に関わることがあれば、またぜひお願いしたいと思います。周りの人にもぜひ勧めたいです。
    このたびは本当にありがとうございました!

    1 週間前

    担当は志水さんでした。
    厳選されたであろうプロフェッショナルな宅建士エージェントが、低コストかつ低負荷に不動産仲介をしてくれました。
    仲介手数料を抑えるためにありとあらゆる手を尽くしてくれるので、手取り足取り対応してほしい人には不向きかもしれません。一方で、自分で勉強して調べたりする人には最適です。
    また機会があれば利用したいです。