不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月14日
  • 公開日:2018年6月9日

「ガイアの夜明け」が暴いた「かぼちゃの馬車」「レオパレス」問題。サブリースが招いた信義則違反から建築基準法違反の無限連鎖! を徹底解説(上)

2018年5月29日(火)にテレビ東京系のドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」が放映されました。テーマは「マネーの魔力2 ~追跡!不動産投資の深い闇~」で「不動産投資にかかわる銀行と不動産会社の不正に疑義を投じる」という内容。昨年末に放送分の続編でした。

 

前回は超低金利の環境下で過熱するアパート投資に焦点を当てて、不動産会社「株式会社レオパレス21」に代表される「サブリース」契約の問題点を訴えましたが、その後、番組内容が現実化するかのごとく、シェアハウスのサブリースを主要投資商品としていた不動産会社が破たんし、投資オーナーが経済的に困窮するといういわゆる「かぼちゃの馬車」事件が起きます。

 

また、株式会社レオパレス21もサブリース契約物件に施工不良が見つかったため、確認調査を行ったうえで補修工事を実施することになりました。これは自動車会社でいう「リコール」事案のようなものであり、異例のことです。

今回の放映では、この2点を徹底特集していました。そこで、今回は、番組の内容に沿って、言葉の意味や問題点の内容について、解説してみます。

 

不動産投資

(写真はイメージです)

 

地獄へ走った「かぼちゃの馬車」

 

番組冒頭では、進行役を務める江口洋介氏がサラリーマン大家の悲劇を演じるショートドラマが放映されました。

 

江口氏は不動産投資を検討するサラリーマン。ある日、不動産会社からシェアハウスへの投資を勧められます。「30年間家賃完全保証、8%確定利回り」というかなり魅力的なセールストークに江口氏は引かれてしまいます。投資額は1棟1億円程度。しかも不動産会社のオリジナルスキームとやらで、自己資金がなくても銀行が全額融資してくれる、というものです。「リスクや負担がほとんどなく資産が形成できる」と江口氏は投資を決めました。しかし、わずか1年後に30年間完全保証のはずの家賃の減額が告げられ、江口氏は途方に暮れてしまいます。

 

まさに、『株式会社スマートデイズ』という不動産会社が2014年4月から展開していた『かぼちゃの馬車』という1億~3億円の女性専用シェアハウスに投資した約700人のオーナーの身に現実に起こったお話と同じです。

 

株式会社スマートデイズは、ショートドラマで描写されたように、

 

・30年間家賃完全保証のサブリース
・8%確定利回り
・空き室の心配いらず
・提携銀行によるフルローン融資の紹介

 

などをキャッチフレーズとして、都内を中心に一時期は毎月50棟ものシェアハウスを建築するほど急速に業容を拡大、2017年3月期には300億円超を売り上げ、約800棟・1万室の運営を誇っていました。

 

しかし、急速なシェアハウス数の拡大に入居率は追いつかず、2017年10月の段階で入居率は40%程度であったといわれます。家賃保証の財源はシェアハウスの建設販売益で補填している自転車操業の状態。その結果、2017年10月、ほとんどすべてのシェアハウスへの融資を手掛けていたスルガ銀行より、「新規のオーナーへの売買に対する融資を制限する」という方針が出されて以来、急速に販売が縮小してしまいます。やがて、スマートデイズはオーナーに対し家賃保証の減額を通告、翌2018年1月にはサブリース賃料の支払いを完全に停止し、4月に経営破たんしています。

 

サブリース賃料の支払いを受けられなくなったオーナーは約700人、被害額はおよそ1000億円ともいわれています。また、自己資金のほとんどないオーナーに対して巨額の融資を高金利で実施してきたスルガ銀行に対しても責任を追及する動きがあることも番組で放映されていたとおりです。この件については、のちほどもう少し詳しく述べることにしましょう。

 

サブリースの仕組みとは?

 

ここで、「サブリース」の仕組みについて説明します。

 

サブリースとは、オーナー(家主)が建築あるいは購入した共同住宅などの賃貸物件を、一括で借り上げ、一定の家賃をオーナーに保証し、管理・入居者募集を実施して、転貸する仕組みをいいます。

 

サブリースの事業形態は、大きく2つに分類することができます。

 

(1)建築提携型…遊休地の所有者にアパート建築を提案し、アパートの建築と一括借り上げのサブリース契約を受注する。
(2)購入勧誘型…サラリーマンなどに対し、資産運用を目的にサブリース契約付きの賃貸物件を販売する。ワンルームマンションなどアパート経営に限らない。

 

(1)では、所有者自身の意思・資金でアパートを建設するため、サブリース業者は「宅地建物の売買・交換または売買・交換・賃借の代理・もしくは媒介」のいずれの行為にも該当しないため、宅地建物取引業法ではなく、特定商取引法の適用を受けることになります。

一方、(2)では、サブリース業者は宅地建物取引業法の適用を受けます。勧誘や解約にかかわるトラブルについては、どういった契約類型なのか確認しておく必要があります。

 

サブリースの契約内容は、業者によって異なりますが、概ね「30年一括借り上げ」として、当初10年間は一定額の固定保証家賃とし、その後2年もしくは5年毎に見直しを行う、と定める契約が多いようです。入居者の募集、家賃・共益費の徴収や建物の管理もサブリース業者が請け負うかわりに、一定の手数料をサブリース業者が受け取る契約になっています。

 

サブリースの罠(わな)はどこに?

 

サブリース業者が、不動産業界で急成長を遂げたのは、やはり、投資家にとってメリットに感じた部分が大きく、魅力的であったからにほかならないといえるでしょう。それらは以下のとおりです。

 

サブリースのメリット

 

(1)収入が長期固定化される
(2)管理も手間いらず
(3)事業計画が立てやすいため融資が付きやすい

 

投資の一番のリスクは不確実性ですから、サブリースは固定収入を約束するというリスクヘッジ商品として市場に受け入れられた、といえるのではないでしょうか。

一方で、サブリースに伴うトラブルが急増していることにも、注目しなければいけません。こうしたトラブルの可能性を考慮しなければならないのがリスクといえるでしょう。タイプ別のトラブルは以下のとおりです・

 

サブリースのトラブルの類型

 

(1)勧誘時の説明不足…特に大規模修繕費用や入居者退去後の原状復帰費用、家具・照明・冷暖房などの設置・メンテナンス費用についての負担について、担当者からの説明が不十分なことによるトラブルが多い

 

(2)賃料減額…借地借家法上は借主であるサブリース業者が保護の対象となるため、「保証期間内でも賃料の減額交渉は可能」という最高裁の判例があるため、サブリース業者の支払いが困難な状況となれば、賃料の減額を要求されることがあります。

 

(3)契約打ち切り…収益性が低下した物件について、大幅に家賃減額を要求しオーナーが難色を示すとそれを理由にサブリース契約を打ち切ったり、入居者を近隣の自社物件に転居させたりなど、もはや信義則に反するようなことをする業者もあります。「終了プロジェクト」との隠語を使って会社ぐるみで積極的に進められていたというから驚きです。業界全体のイメージダウンにもつながる由々しき事態といえるでしょう。

 

安易なローン…サブリース物件は事業計画の見込みが立つ、ということで自己資金のないオーナーや、事業性に欠ける物件に対しても、銀行融資が安易に行われてしまいます。フルローンといわれる土地・建物資金の全額融資や、諸費用まで含めたオーバーローンといわれる融資などを前提に多くのサブリース物件が販売されています。「かぼちゃの馬車」問題では、スルガ銀行の不正な融資も明らかになりました。

 

物件価格の水増し…サブリース業者は、仮に入居率が低くても、家賃保証をしなければなりません。その財源を確保するために、土地・建物の販売価格の利益幅が市況レベルより大幅に上乗せされているとみなされています。かぼちゃの馬車などはシェアハウスであり、キッチン・シャワー・トイレなど水回りが共用部分となっており各部屋には設置されていません。本来の一般的なアパートよりも建築費は安価であるはずです。

 

手抜き工事の噂が多かったり、建築会社からサブリース業者へのキックバックなどが噂されたりするのは、こうした土壌があるからではないでしょうか。今回の番組の後半で特集される「レオパレス21」の界壁工事の不備についても、こうした背景を知るとうなずけてしまうような気がします。

 

=(下)に続く

 

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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