今、不動産業界の中では、東京五輪が行われる2020年ごろまでは、不動産は活況というか、わりと大丈夫なのではないかとされています。この2020年という年が1つの大きなエポックメイキングになると私も見ています。

 

(牧野知弘氏講演【2020年以降の首都圏不動産のゆくえ】ダイジェスト動画)

 

下落する郊外の地価、強いブランド立地

 

埼玉県を代表する高級住宅地に「鳩山ニュータウン」があります。東武東上線の高坂駅からバスで10~15分くらいでしょうか。ここは、バブルの頂点の頃は8,000万~1億円くらいで分譲されました。ところが、2010年に1万人くらいだった人口は、たった6年で27%も減少しました。しかも、65歳以上の高齢化率は現時点で4割を超え、2040年には半分以上になるということです。

 

この鳩山ニュータウンのように、高齢者ばかりになった地域で高齢者が施設に入ったり死亡したりして住む人がいなくなったりすると、空いたアパートや戸建マンション用地が売り出される可能性があります。このように、高齢化が進むとともに、郊外部を中心に地価は下落に転じるというのが私の見方であります。

 

一方、日本の国民の資産は今、どんどん二極化して、格差が大きくなってきています。都内では坪単価で1,000万円を超える超高級マンションが今後、大量に供給されるでしょう。こういった超高額帯が出てくるのは、今タワーマンションが建ちまくっている湾岸エリアではなく、昔ながらのブランド立地になるでしょう。「腐っても鯛」という言葉どおり、このブランド住宅地というのは昔から場所が決まっております。関西で言えば芦屋、東京で言えば渋谷の松濤とか田園調布ですね。

 

こうした場所がなぜ地価が高いかと言えば、ズバリ災害に強いためです。東日本大震災で見られましたとおりですね、古来、人間の歴史というのは、災害との戦いでありました。災害に遭いにくいのは高台です。ブランド住宅地と言われているところは、東京圏でも、関西圏でもすべて高台にあります。したがって、ブランド住宅地を買うということは、多少、地価が下がっても、またここにマネーが集まってくるという意味では、正しいことだと私は思っております。

 

不動産価格が上がるスポットも変化している

 

一方、国内に外国人が非常に増えてきました。外国人の持っているインバウンドマネーが猛威を振るっていまして、たとえば北海道のニセコに昨年、分譲しました『綾ニセコ』というホテル運営つきのリゾートマンションが完売しております。分譲価格は坪単価でなんと500万円台後半です。つまり、港区の新築マンションとほぼ同じ価格なのです。

 

また、京都に『フォーシーズンズホテル』というラグジュアリーホテルがオープンして、その隣地にフォーシーズンズが運営するマンションが分譲されました。これは1戸あたり7億円ですが、すでに完売しています。誰が買っているのかと言うと、全員、外国人です。つまり、外国人の方が好まれるエリアの不動産は、日本人が考えるのとは全く違うマーケットができあがっています。こういったところに不動産投資をするというのも、今後のトレンドのひとつになると私は考えています。

 

それから、「ニセコはちょっとやっぱり怖くて買いたくない」という方は、こんな視点を持たれると良いと思います。「新陳代謝」という言葉がございますけれども、私は「人口がどんどん出ていって、また入ってくるというように、人の出入りの多い街を選んでください」と申し上げています。

 

たとえば神奈川県川崎市は人口が約150万人で、毎年10万人が入ってきて、9万人が出て行く街です。つまり、人口の1割以上が、がらっと変わってしまうのです。福岡なんかもまったく同じなのですが、なぜ転出入が多いと、不動産がよいのでしょうか。転出入が多いということは、不動産を買う・売る・借りる・貸すという動きも活発になります。不動産が動き、新しい人が街にやってくると、家具などの商品が売れ、外でご飯を食べるなど、街の消費が活発になります。街が経済的に発展をしていくと、不動産価格の上昇をもたらすわけです。

 

こういう考えに基づき、昨年『週刊東洋経済』という雑誌で、全国の自治体の「新陳代謝ランキング」を作ってみました。詳しくは東洋経済さんを見ていただきたいのですが、東京都千代田区を中心にですね、だいたいみなさんが想像されるような街が並ぶのですが、20位に石川県野々市市というのが出てきました。

 

関東の人にはほとんど知られていませんよね。私も知りませんでした。金沢市のへりに寄生したような街で、平成の大合併ではなく自力で5万人の人口を超えて、町から市になったという非常に珍しい市です。ここは石川県立大学や金沢工業大学といったような大学を抱えていて、もともと若い方は多かったのですが、こういったところを出られた若い方々がそのまま住みついて、金沢市で勤務をされるというパターンが多いようです。大学としての街と、ニュータウンとしての街を両立しているという意味で、新陳代謝を見事に実現している街です。

 

これから起きるマイホーム価値革命

 

自分たちが住むためだけの効用としてマイホームを使うのだったら、鳩山ニュータウンでもけっこうなのです。「ここに住むだけで十分に楽しい」「子供たちはもうどうでもいい」というふうにお考えになる方はぜひ、こういったところでお住まいになることに反対はしません。

 

ただ、せっかく何千万もお金をかけるのだから、これからはマイホームにも「投資の概念」をつけていきませんかと申し上げています。取得したマイホームが、売れるのか、それとも賃貸としても活用できるのかというように考えていくのです。つまり、最初にマンションを買って住んでいて、お子さんももう独立されてご夫婦だけになったら、そこに住み続けるのではなく、どんどん買い替えていくのです。あるいは、自分たちのマンションを活用して稼いでもらうのです。こういった考え方も実は、今後のマイホームのあり方として、一種の価値革命が起こってくると考えております。

 

さて、その新しい価値観について、お話しします。

 

ディズニーランドとマクドナルドというと、みなさんよくご存じのアメリカを代表する資本主義カンパニーであります。このディズニーとマクドナルドは全然、違う展開の仕方をしていて、1971年に日本にやってきたマクドナルドは、今や、47都道府県どこでも食べることができます。一方、ディズニーランドは1983年にやってきましたが、ディズニーランド九州支店ってあるでしょうか? ミッキーマウスを見たい人は、舞浜に行かないと見ることができません。

 

ところがこの両社、1983年からの1日あたりのディズニーの入園料と、マクドナルド1個のハンバーガーの値段を指数化しますと、デフレ時代にマクドナルドはどんどん価格を下げますが、ディズニーランドは一方的に値上げしています。

 

これはどういうことでしょうか。マクドナルドのビジネスモデルというのは、今までの日本の不動産といえるのではないでしょうか。家が足りない、オフィスが足りないのでとにかく作り続けてきたのです。一方で、ディズニーランドのビジネスというのは、ディズニーというシンデレラ城はまったく変わってないのですけれども、そこの中で演じられる演目、ソフトウェアを、どんどん変えてきています。

 

私たちは今後、不動産について考える時には、マクドナルドではなく、ディズニー型を考えていく必要があるのではないでしょうか。ディズニーの中でやっているものというのは、ハードウェアではなくてソフトウェアです。したがって、今後の私たちの不動産事業というのは、この中身を作る人が問題になります。

 

新時代に大きく変わる不動産の捉え方

 

これは社会学でSTRONG TIESとWEAK TIESと言います。STRONG TIESというのは家族や恋人、親友、職場の仲間といった強い絆やつながりを持つ関係のことであって、強固な組織で圧倒的な資金力をもって、成功の方程式を繰り返しやっていく組織には合っています。ところが、このソフトウェアを考えていく、企画立案をするためには、頻繁には会わないけれど、尊敬し信頼する人との細く長い関係でつながったいろんなタイプの人たちを集めて、問題解決をしていくのです。こんな時代になっていくのを、私は「ブティック型不動産」と呼んでおります。

 

つまり、不動産の能力のみならず、こういうコンサルティング、IT、金融などの技術を組み合わせて、不動産の企画立案をやっていく時代になってくると思います。今後、新しい不動産事業が出てくる中で、みなさまのお持ちの土地や住宅を、どのように演出していくかを考えていきたいものです。今、注目の民泊もそのひとつかもしれません。マイホームもいかに稼がせていくか、こんな時代になってくると思っております。

 

この不動産の価値革命を私たちはポジティブに捉えてですね、先ほどの『綾ニセコ』ではありませんけれども、日本人が「え? なんで500万円台後半もするの?」と思うようなマーケットに挑戦したり、自分たちが持っている資産に付加価値をつけて高く売却をしていったり。こういったところで、いろんなご相談をいただければというふうに考えております。

 

▼セミナー後半の質疑応答はこちらからご覧ください。

≫ セミナー講師の牧野氏への質疑応答

 

 

牧野知弘氏

 

オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学卒業後、第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループなどを経て、三井不動産に入社。「コレド日本橋」「虎ノ門琴平タワー」など、数多くの不動産買収や開発、証券化業務を手がける。2015年にはオラガ総研株式会社を設立し、代表取締役に就任。ホテルやマンション、オフィスなど不動産全般のアドバイザリー業務を行う。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(祥伝社新書)、『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)、『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)、『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)などがある。テレビ、新聞などメディア出演も多数、精力的に行っている。

 

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