不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年3月29日
  • 公開日:2018年3月18日

2018年の中古マンション価格は安泰? 在庫が増える都内マンション

2012年12月に始まったといわれる経済成長局面は、「アベノミクス景気」と称されて、高度成長期の「いざなぎ景気」を越えて戦後2番目の長期にわたる好景気といわれています。2018年を迎えても、日経平均株価は2万4,000円以上のバブル期以降の最高値を記録するなど、好景気が継続すると予測されていました。

 

ところが最近では、不正取引に端を発する仮想通貨の暴落や、米国の長期金利上昇懸念からの世界同時株安、それに伴う円高傾向など、景気も先行きに不安を醸す雰囲気が強くなりつつあります。

 

不動産市場においても、一定の家賃保証を前面に押し出したサブリース契約によるアパート投資のトラブルや、シェアハウス展開のビジネスモデルが破綻したなどと報道されていて、ムードがなにやら変わってきたように思われる方も多いのではないでしょうか。

 

筆者は2017年6月に「都内の中古マンション価格は下落に転じるのか?」という予測記事を本コーナーに寄稿しています。

 

昨年と同様に東日本不動産流通機構(略称:「東日本レインズ」)による統計資料に基づき、昨年の自分が立てた予測を検証するとともに、2018年の都内のマンションの価格動向について予測をしてみることにしてみましょう。

 

不動産

(写真はイメージです)

 

2017年は価格の上昇はない、と予想したが…?

 

前回の記事で筆者は、在庫・価格・環境の3つの視点から2017年の東京都内のマンション市況について「価格の暴落はないが、中古・新築ともに高値のピークを過ぎた」と予測し、長期的には下落の傾向を示すと書きました。実際にはどうだったのでしょうか。

 

結論から申し上げると「かろうじて3分の1は当たった」といえるでしょうか。2017年は「価格の暴落はなかった」うえに、「価格は上昇傾向が続いた」年であったといえるからです。

 

グラフで振り返る2017年の価格動向

 

下に示しているグラフは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県の中古マンションの㎡単価がどう推移したかを月ごとに示したものです。世間では東京23区内でマンション価格が激しく上昇していることばかりが注目されていますが、首都圏全体でも、上昇傾向は継続したといえるでしょう。

 

中古マンションの成約㎡単価(赤の棒グラフ)を見ても、2013年1月から2017年12月まで増加傾向にあることが分かります。

 

中古マンション推移

 

一方で、新規登録㎡単価(緑の棒グラフ)、在庫㎡単価(紫の棒グラフ)は、11、12月と直近2カ月連続で前年同月を下回りました(前月比はそれぞれ折れ線グラフ)。市場の先行指標として、この2つの価格が停滞したことは、留意しておきましょう。

以下の3つのグラフは、都内の地域別にマンションの成約価格をまとめたものです。

 

参考:都心3区の中古マンション成約価格推移

参考:都心3区

 

参考:都内の城西区・城南区(同)

都内城西区

 

都内城南区

 

参考:都内の城北区・城東区(同)

参考:都内城北区

 

都内城東区

 

2014年からの3年間で、成約価格は、都内のどのエリアも500万~1,000万円も上昇していることがわかります。千代田区・中央区・港区の超都心と呼ばれるエリアの平均価格は6,000万円超えの一方、城東区は都心からの距離に比較して値ごろ感のあるエリアとなっていて、今後は狙い目のエリアかもしれませんね。

 

さて、首都圏のマンションの在庫にも注目してみましょう。2017年の新規登録件数は、価格の上昇に伴い急増した2016年と比較するとほぼ前年並みとなっています。一方で、成約件数はやや前年から減少しているため、在庫は2年前の4万件から4万5,000件に増えました。3年前の在庫は約3万件でしたので、その時期から比べるとなんと1万5,000件の在庫増加となります。成約件数が各月約3,000件程度ですから、15カ月分の在庫を抱えているといえるのですが、この点に限って言えば、決して楽観できない市場といえるでしょう。

 

首都圏 中古マンション

 

2018年の中古マンションの価格動向は?

 

都内のマンションが高騰している理由としては、だいたい以下の点に集約されます。
・円安に伴う外国からの不動産投資資金の流入
・マイナス金利
・タワーマンションに代表される相続税対策
・ライフスタイルの変化による職住近接志向

 

マイナス要因は少ない

 

こうした要因は、納得性が高いと言えます。アベノミクス景気とマンションの高騰が時期を同じくしているのも、アベノミクスが主導する円安やマイナス金利といった政策が、マンション市場の動向に直結しているといえるでしょう。

 

これまでの経済政策が2018年に入って大きく転換されることはあまり考えられません。環境面では2017年と比してマイナスとなる要因はないといえるでしょう。

 

また、実需という点においても、雇用の改善や賃金上昇といった経済の活況を受けて共働き世代を中心とした職住近接の志向も高まるため、都心部のマンション人気は今後も継続するものと思われます。

 

新築のマンションは土地の仕入れ価格・建設コストの高騰により、販売価格も高いままで供給量も減っていく可能性が高いと思われます。そうなると、中古マンションの人気が必然的に高まることになるでしょう。

 

短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率差

 

ところで、価格の高騰が始まった2013年に購入された新築・中古マンションが今年、所有期間5年を超えることになります。個人が購入した不動産を販売する場合、所有期間が5年以内か5年を超えるかで、譲渡所得への税率が2倍くらいも違うのをご存じでしょうか?

 

所有期間が5年以内の場合は、短期譲渡所得といい、所得税30%・住民税9%の合計39%が所得に課税されます。ところが5年を超えると長期譲渡所得という扱いになり、所得税15%・住民税5%の計20%の課税で済むのです。たとえば、5,000万円で買ったマンションを7,000万円で売った場合の利益2,000万円に課税される税金が、5年以内の売却だと780万円だったものが、5年を超える所有期間だと400万円に減ります。同じ位の価格で売れるなら、5年を超えてから売った方が税金はお得なのです。

 

こうした事情から、長期譲渡所得の税率対象となり譲渡益を期待して、2013年に購入されたマンションが市場にどんどん出て行くことが予測されます。この予測をもって、供給量が増えて市況が軟化すると予測もありますが、筆者はそれには否定的です。実需であれば5年程度で手放す必要はありませんし、投機目的であればなおさら5年程度でわざわざ市況軟化時に販売しようとする人はそう多くないと予想できるからです。いくら税率にメリットがあっても、利益がないのなら意味がありません。

 

むしろ、この税制メリットは中古マンションの供給を促すことになり、直近の極端な市場動向に穏やかなプラスの作用になると思われます。

 

2018年の都内の中古マンション価格相場は、引き続き緩やかに上昇!

 

私は2017年の予測を外したから、逆張りをしているわけでは決してありません。2018年の市場を予測する際に、マイナス要因があまり見当たらないのためです。もちろん、為替や金融情勢に急激な変化がないことや朝鮮半島危機など安全保障上の問題が起こらないことが前提ではあります。しかし、そうした急激な変化が起こりそうな要因もまた考えにくい、といえるでしょう。

 

以上のことから、2018年の都内の中古マンション価格相場が下落する理由はありません。マンション価格相場を支える主な要因には変化がないからです。週刊誌や一部コンサルタントが下落をあおるのは、それが人目をひく記事になるからだと思います。彼らの主張の根拠は弱いと言っていいのではないでしょうか。

 

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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※2026年11月01日現在 本社・首都圏営業所の数値

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