都内の中古マンション価格は、この数年、上昇を続けてきました。
 
東日本エリアでの不動産物件の情報登録と提供を行なっている東日本不動産流通機構(以下、「東日本レインズ」と略称で記載)が4月に発表した統計では、2016年の東京都都区部の中古マンション成約価格の平均平米(㎡)単価は、2012年の54.75万円/㎡から、71.47万円/㎡に上昇しました。

 
マンション建設
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 
これは、都内の中古マンションの成約価格が4年間で130.5%も上昇したことを示しています。2016年の成約平均面積が56.96㎡ですから、単純計算では、マンション1戸あたりの価格が952万円も値上がりしたことになります。
 

(東日本レインズ資料より筆者作成)
 
このように、都内の中古マンションの価格が高騰していった背景には、
 
・中国をはじめとする外国からの不動産投資資金の流入
・住宅ローン金利の引き下げ、超低金利の持続
・2015年以降の相続税の増税
・タワーマンションによる相続税対策
 
といった要因があると指摘されています。
 
こうした価格上昇の傾向は、2017年の後半も継続するのでしょうか? 結論を先取りすると、筆者はこれ以上、都内の中古マンション価格が上昇し続けることには懐疑的です。その理由を東日本レインズのデータをもとに説明します。

 

四半期毎の販売動向から読み解く兆候

 
同じく東日本レインズの資料から、首都圏の四半期毎の取引件数と価格の推移を見てみましょう。
 

(1)在庫は積み上がっている

 

(東日本レインズ資料より筆者作成)
 
登録件数(オレンジ)とは、東日本レインズに登録して売り出された中古マンションの件数です。
 
例えば2014年1Q(1~3月期)は、41,195件の中古マンションが売りに出され、9,993件が成約。差分の3万件強は、在庫として引き続き販売活動がなされることになるわけです。なおレインズへの登録期間は3か月間なので、売れ残った場合は四半期毎に再登録される物件も多いと理解してください。
 
2014年は平均4万件で推移していた登録件数は、2015年から増加し、2016年にはピークを迎えて5万件を突破。その後も、5万件を若干下回るくらいの数が登録されています。これは、価格が上昇局面であることから、売却を検討する所有者が増加した、と見ることができるでしょう。
 
一方で、成約件数はずっと8,000件~9,000件程度で推移し、ようやく2017年1Qに1万件を突破しました。供給量に比して、需要はそれほど増加していない、と見なすことができます。
 
こうしたデータからは、中古マンションの市場在庫は3年前の3万件強から、さらに1万件積み上がって4万件程度に達していると見ることができるのです。
 

(2)価格は次第に横ばいに

 

 
次に1㎡当たりの成約単価は、2014年1Qから、3年間で7万円以上も値上がりしています。その中で、2015年2Qから2015年4Qは横ばいで推移しています。
 
ここで注目したいのは、登録価格と成約価格の差額です。
 
2014年4Qでは、この差額は1万円強でした。しかし値上がりが顕著になり始めた2015年から差は広がり始め、2015年4Q~2016年/2Qには7万円前後にまで広がっています。値上がりする成約価格から、強気の売り出し価格で登録され、登録価格が成約価格の上昇を促していたと思われます。
 
しかし、成約価格が頭打ちになり、登録価格の上昇は沈静化し始めて、徐々に成約価格と登録価格の差額は小さくなり始めています。首都圏の中古マンションの価格相場は踊り場局面を迎えていると言えるでしょう。
 

環境要因も下落誘引を示す

 
中国をはじめとする国外資本の流入は、中国経済の低成長・バブル懸念からその勢いに陰りが出ています。2015年時の120円に迫る円安基調から円高が懸念される状況も、円建て資本の割高感を呼ぶために、海外からの投資にはマイナス要因となります。
 
また2015年の相続税制改正対策としてのマンション投資も、価格の高騰に寄与していたといえますが、2017年の税制改正により、そのメリットは小さくなりました。
 
さらに金利引き下げによる住宅投資熱もマンション価格を下支えしていましたが、賃貸投資への個人向け融資残高が、全体の融資残高の3割を超えるような状況となり、金融界で問題視され始めています。
 
既にマイナス金利政策が続いている中、金利がこれ以上下がることは見込めず、米国長期金利の上昇に伴った上昇リスクが高まっている状況です。
 

需給・価格・環境……少なくとも上昇は見込めない

 
中古マンション市場について、需給動向は「在庫の積み増し局面」、価格動向は「上昇時期を過ぎ調整局面」、環境要因は「プラスの要因がない」状況となっています。
 
また、中古マンションの価格上昇をけん引しているのは、新築マンションの価格だといわれていますが、これも既に高値圏にあるとして警戒感も強く、販売戸数が低下しました。2016年実績で中古マンションの販売戸数が初めて新築を上回ったことの一因として、価格高騰のために新築から中古に購買層が流れたという点があります。
 
こうした状況下では、新築マンションでの価格上昇を期待するのは難しいでしょう。
 
とはいえ、東京の都心部は、老齢化する日本の中でも、唯一人口が増加しているエリアです。2017年中に急激に需要が減って価格が暴落するといったことは、天変地異でもない限り、現段階で懸念する必要はないでしょう。
 
しかし、これまでみてきた需給・経済環境・価格動向から考えて、長期的には、下落局面が到来することは、かなり高い確度で予想されます。短期的に見たマンションの売り時という意味では、もう高値のピークは過ぎたと言えるかもしれません。
 
早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。
 

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