不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年6月26日
  • 公開日:2017年5月26日

「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?

不動産業界を舞台とした人間模様を描き、2016年夏に大ヒットした日テレのドラマ「家売るオンナ」。

 

「私に売れない家はありません」が決めぜりふの天才凄腕不動産屋、三軒家万智(北川景子)が、奇想天外な手法で、家を売って売って、売りまくる痛快エンターテイメントです。

 

高視聴率をキープし続け、最終回前から続編を期待する声も上がるなど、惜しまれつつ終了した「家売るオンナ」が、一夜限りのスペシャルドラマとして帰ってきました。

 

今回も、不動産業界の現場にいる人間としてドラマに見えたウソとホント、所感雑感を交えてご紹介したいと思います。

 
 

舞台は、万智と屋代がテーコー不動産を去ったその2年後

 

かつて万智が在籍した「テーコー不動産新宿営業所」では、ベテラン布施課長(梶原善)の元、万智の後にチーフとなったエリート足立(千葉雄大)、結婚したにもかかわらず相変わらずの白洲美加(イモトアヤコ)、その夫となった宅間(本多力)、席順もより前列に近づいた八戸(鈴木裕樹)などなどおなじみの面々がいまいちやる気の感じられないイマドキ風新人社員、鍵村(草川拓弥)も迎え、家を売ったり売れなかったりしています。

 

かつてはうだつの上がらぬ新人だった庭野(工藤阿須加)は、万智に会いにはるばるサンチー不動産を訪れます。

 

久しぶりに二人の姿を見つけ、駆け寄ると、そこには、海辺で赤ん坊を抱く万智と屋代(仲村トオル)の姿が…!

 

万智に思いを寄せていた庭野はその姿にショックを受けます。
二人の関係を、聞くに聞けない庭野・・・
はたして赤ちゃんは、屋代と万智、二人の間の子供なのでしょうか?

 

そして、布施課長が営業成約費の半分をつぎ込んで作ったというテーコー不動産のマスコットキャラクター「すもうくん」の着ぐるみの中の人、バイトのおじさん一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)は、誰も居なくなった隙にテーコー不動産の社内でパソコンをのぞこうとしたり机の中の資料をあさったりと何やら怪しい動きを見せています。

 
一ノ瀬の真意とは・・・・?
 

万智に話しかける一ノ瀬

 
 

健在の「家を売るためです」 決めゼリフの「GO!!」

 

庭野がサンチー不動産を訪れた理由はズバリ、万智が去って成績不振に陥った新宿営業所を救うため、万智に力を借りるためでした。

 

最初は、必死の庭野の懇願に応じなかった万智ですが、屋代の進言でやむなく、月末までの2週間、期間限定でバイトとしてテーコー不動産に復活することにしました。

 

かつての活気は見る影もなく、すっかりたるみきっているテーコー不動産に久々に「GO!!!」の嵐が吹き荒れ、布施課長も満足げです。ただ一人、現チーフの足立は、自分のチーフとしての立場がぐらつき始めたことに不満のようです。

 

そんな足立の後ろ姿を見送りながら、ベテラン布施課長は「あいつまだ分かってねえな。家を売るってことの意味が」と独りごちます。

 
 

契約を逃すよりはサービス工事

 

内見に出かけた庭野は、2年前のように営業車にいつの間にか乗り込んで同行する万智に驚きますが、
成長した自分を見せようと意気軒昂としています。

 

高井戸のマンションで待ち合わせたのは、もうひと押しで家を買いそうな初老のご夫妻。ただ、この2人、極度の潔癖症で、リクエストに応じて何度もハウスクリーニングを入れて自信をもって臨みました。

 

しかし、トイレに手洗い器が無いことを理由に、申し込み寸前のお客様が一転、取りやめを表明します。愕然とする庭野をおいて、「トイレの問題さえ解決できれば、この家を買っていただけますか?」と食い下がる万智。

 

彼女は颯爽と業者を手配して、その場でドアノブをもう一つ取りつけてしまいます。2つのドアノブを「綺麗な手用」「汚い手用」に使い分けることを提案する万智に、お客様はすっかり納得して5000万円で購入を決断してくれました。

 

実際のところ、お客様を引き留める提案としては、トイレに手洗い器を設置できれば一番良いのですが、
手洗い器を追加する工事をするには水道の配管やスペースの問題、工事費用も掛かります。

 

その点、ドアノブを追加で取り付けるだけであれば費用も大分抑えられますし、時間もそれほど要りません。工事費用をサービスすることで成約につながるのであれば安いものです。

 

まるでとんちの様なアイディアですが、咄嗟に機転を利かせて、それも大真面目にお客様に提案する手腕はさすが華麗です。

 

現実では、当日に業者を手配して目の前で取り付け完了させるというのはなかなかの離れ業です。まるで目くらましのようなこの提案で、お客様が納得して購入を決めてくださるかは、お客様がその物件をどれだけ気に入っているかにかかっており、かなり危ない提案です。

 

しかも、引渡し前はまだ売主の所有ですから、申し込みすら取れていない状態で了承なしに工事をすることも実際にはあり得ません。これはドラマならではの演出でしょうが、久々にみる「サンチー」の奇抜な手腕を思い出すには十分なエピソードですね。

 
 

中国人投資家の高層マンション購入

 

次は、外国人相手に強い八戸が中国人客を案内している現場に現れた万智。

 

「景色は最高、みんなが欲しい物件、間違いなく資産価値も上がるので投資用としても最適」と案内した25階高層階の物件に気に入らない様子を示すお客にたじろぐ八戸ですが、万智は咄嗟の隙に、庭野を走らせ8階の居住者に売却を打診していました。

 

「8」は中国人にとって大切な数字であることを知っていた万智。また「八階」は「お金が儲かる」という意味の「発財」に似ていることから、「8階の808号室ではどうか」と打診された中国人のお客様は、なんと大喜びで即決しました。
8階の物件を、まさかの25階の9000万円という価格でで、購入したのです。

 

それを受けて、808号室の居住者は、間取りは同じでも眺望が抜群に良い25階の物件に喜んで買い替えを決断しました。スゴ技としか言えない手腕ですね。

 

日本の不動産事情は世界的にみると「遅れている」のが実情で、海外から見ると日本の不動産価格はとても安く、「お買い得」なのだそうです。

 

中でも爆発的な経済成長を続けている中国の投資家の購入は多く見られ、ここ数年で不動産市場でも中国人による「爆買い」が話題になりました。都心に建つ超高層マンションの高層階には、中国人の所有者が見られることは珍しくありません。

 

名前まで「八男」に変えてしまった八戸はやりすぎかもしれませんが、都内の不動産仲介業者が、中国語を身につけ対応の準備をしておくことには大いに意味があります。扱う物件も高額なものが多いため、もしかしたら名刺の名前を変えるくらいなら、やるだけの価値があるのかもしれません。

 

結局、万智の活躍で、危なかった契約も息を吹き返し、庭野の担当の高井戸のマンション、八戸担当の雑司ヶ谷の高層マンションについては2件、立て続けに売れてしまいます。

 

足立がかかわっていたペット小屋用アパートも順調に売り上げ、あっという間に新宿営業所の営業成績はうなぎ上りになりました。

 

さて、この間、万智が稼いだ仲介手数料がいくらになるかを計算してみましょう。

 

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4=1,104万円

・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2= 312万円

・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2= 39万円

・タワーマンション (9,000万円×3%+6万円)×4 1,104万円
・潔癖症マンション (5,000万円×3%+6万円)×2 312万円
・ペット小屋アパート (450万円×3%+6万円)×2 39万円

 

合計1,455万円(※)となりました。大したものです。

 

(※すべて両手仲介で仲介手数料は売買価格の3%+6万円とした場合で、消費税は除く計算。)

 

後編に続く)

 

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

 
 

この記事に関連する「「帰ってきた家売るオンナ」にみる不動産仲介の世界」もぜひご覧ください。

 

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