前編(「帰ってきた家売るオンナ」が稼いだ仲介手数料はいくらなのか?)に引き続き、5月26日に放映された日本テレビのスペシャルドラマ「帰ってきた家売るオンナ」について、不動産の現場にいる立場からみたレビューや「不動産あるある」を綴っていこうと思います。

 

万智の不可解な行動と家族の問題

 

「あなたにあの家は売りません」

 

メゾネットタイプのマンションに目をつけ、ついに動き出した一ノ瀬(笑福亭鶴瓶)。
テーコー不動産にアルバイトとして入り込み、内部資料を盗み見るなどしていた彼の真の狙いはテーコー不動産で誰が一番優秀かを調べて、娘と同居する家を買うことでした。

 

独りよがりに娘との同居を夢見て、メゾネットタイプのマンションも買おうとする一ノ瀬に、万智はなんと、「あなたに、あの家は売りません」と宣言。資金内容にも問題はなさそうなのに、「売らない」宣言をする万智に一ノ瀬は激昂しますが、美加が連れてきた娘に「あなたとは暮らさない」と言われてしまいます。

 

そこに颯爽と現れた万智は、一ノ瀬の目の前でスタントマンのプロダクションを経営する夫婦に、このメゾネットの物件を売ってしまいます。この夫婦は2階から飛び降りたり階段を転げ落ちたりして、この部屋の使い方に胸を膨らませていました。こういう使い方があるとは、見ている私も泡を吹きましたが…。

 

相撲で子供を投げ飛ばす!

 

ある日、有名子役の葉山蓮君と、付き人である父親の友明(要潤)がテーコー不動産を訪れます。生意気でわがまま放題のレン君に担当の庭野もたじたじ。次の日、庭野に同行した万智は、葉山親子に会うなり開口一番、蓮君に「あなたは本当に家が欲しいとお思いですか?」と尋ね、「来い!このクソガキ」「大人をなめ腐ったバカ子役」と挑発して相撲を取るようにけしかけます。

 

技を決めて何度も何度も蓮君を投げ飛ばす万智、父の友明に対しても「お前もしっかりしろ!」と挑発します。

 

読者のみなさんに、ここは誤解してほしくないのですが、実際の不動産業者がお客様相手にこんなことをしたら大問題になります。このあたりはドラマ上の演出です!

 

足立の物件を横取り

 

万智の活躍に、チーフとしての面目丸つぶれで面白くない足立のもとに、アパートの老朽化で退去を強いられているフリーのイラストレーター、極貧シングルマザーの淀川水樹(芦名星)が訪れます。

 

自己資金は50万円、年収は220万円ほど。これではローンを組める見込みがなく、足立は難色を示しますが、家を買うことを夢見て懇願する水樹を断れない足立は、淀川親子のために家探しを始めました。

 

「こんな物件しかないんですが」と紹介したボロアパートに「夢みたいです」と大喜びする水樹に、足立は胸を打たれます。

 

内見風景

 

一方、足立がペット用マンションを売った客のお嬢様が「犬小屋」となる物件を求めにテーコー不動産にやってきます。接客中の足立に代わり、万智が対応し、なんと、足立が水樹に売るつもりで確保した物件を万智は「犬小屋」用として売ってしまいます。

 

一見、血も涙もない万智の行動に庭野も足立も開いた口が塞がりません。

 

「家を売ることは人生を売ること」

 

赤ん坊のことも気になっていた庭野は、万智の不可解な行動も相談しに思い切って屋代のもとを訪ねます。赤ん坊は、子育てや高齢者のための施設建設のため、広大な土地の取引をサンチ-不動産に依頼している客の子供を預かっているだけということが判明します。

 

「万智が家を売った人はみんな幸せになっている、これってすごいこと」「家を売るということは人生を売るということ、お客様は人生をかけて家を買う」ー。屋代のこんな言葉に、しみじみとなった庭野は東京に戻ります。

 

東京に戻った庭野は友明に、「レン君はふつうのお父さんが欲しいのではないか?」と話し、親子で相撲を取ることを提案。小学校の校庭でレンは思い切りぶつかって「付き人なんかやめてほしい」と友明に心中を吐露します。レンが欲しいのは立派で高級な住まいではなく、普通のお父さんと普通の小学生として暮らすことでした。本当の気持ちを言えないことが、わがままをエスカレートさせていたのです。

 

「天才不動産屋」は聞き上手である

 

ふてくされた一ノ瀬のもとを訪ねる万智と美加。一ノ瀬は心中を思い切りまくし立てますが、万智は「で?」と次の言葉を促し、答えを引き出し続けます。言いたいことを言い尽くした一ノ瀬に、万智は「すべての人の人生は孤独だ」と話し、「人の行きかう交差点」として賃貸アパートの大家となることを提案します。

 

家族を失ったことのある万智だからこそ、「人は孤独な存在」であり「でも一人では生きられないのも事実」ということを知っているのでした。

 

「人は孤独」だからこそ、その声に耳を傾け、お客様にとっての幸せとは何なのかを真剣に考える、それが万智の貫いている姿勢なのです。

 

高齢化により、配偶者を失ったいわゆる「独居老人」や、非婚・未婚・離婚率の増加により、単身世帯が増えていることで人々が心に抱える「孤独感」は、静かに深刻な問題の一つとなっています。

 

管理が行き届かない空き家の再生事業や、家賃負担を減らしたい若者と広い家を持て余している高齢者の互いのニーズを合致させた世代間ホームシェアなど、少子高齢化だからこその「交差点」となる新しい住まい方の提案が実際に増えてきています。

 

ドラマ放映第8話で、万智が語った「ひとつ屋根の下で暮らすなら、それは家族」という言葉がありましたが、血のつながりだけではない「家族の在り方」について改めて考えさせられる内容でした。

 

足立「僕はお客様の人生を投げ出しません」
庭野「お客様の人生をあきらめません」

 

万智に物件を奪われたことで、目が覚めた足立は、今まで馬鹿にしていた低額の「ちまちました物件」を、水樹のために探すことにやりがいを見つけます。高額な物件を仲介しても、低額の物件を仲介しても、得られる手数料は取引価格が元になりますから、1億円の物件と1000万円の物件では不動産業者が得る利益は単純に10倍になります。なのに、かかる手間や必要な手続きはほとんど変わりません。「ちまちました物件」を敬遠している理由はここにあります。

 

万智が一ノ瀬にメゾネットマンションを売らなかったことも、子供を相撲で投げ飛ばしたのも、足立の物件を奪ったのも、言われたままに売ってしまうことは、近い将来、お客様が人生を投げ出すことになってしまう。このことに気づかされた足立は、不動産屋の仕事の本当のやりがいと喜びを見つけたのだと思います。

 

不動産屋、担当営業にとって、お客様はたくさんの顧客の中の一人ひとりにすぎませんが、お客様にとってはそうではありません。この先の何回もの四季をそこで過ごすと決めて、住まいをその担当から買うということは、一つの人生をかけた一大事です。お客様の人生の一大事を預かるということの重大さを理解し、やりがいを感じられるということも、不動産業に携わる者としてはとても大切な資質の一つなのだと思います。

 

不動産業界の将来を示唆する結び
「じじいばばあの輝く国」

 

空き地空き家を買い上げて、老人ホームを設立する計画。「この国はじじいばばあの国になります。じじいばばあが輝かなければこの国は輝きません」という万智の言葉。赤ん坊を預かることを通して万智と家族になることを意識するようになった屋代。

 

ドラマの終盤は、不動産業界だけでなくこれからの日本が抱える大きな問題である「少子高齢化」「人口減少」を考えさせる内容に入っていきます。不動産業界の動向は、家族のあり方とは切り離せません。
現在、激動の過渡期を迎えています。

 

住まいとは、家族とは、暮らすとは、「家」とは何か。
「家売るオンナ」を通して改めて考える機会とし、現在そして今後のリアルな住宅事情に興味を持ってみることをおすすめします。

 

関根祥遙(宅地建物取引士)
都内北西部を中心エリアとする不動産会社で売買営業として勤務。消費者に寄り添った視点で、これからの宅建業者に何が求められるかを真摯に伝えたいという思いから執筆活動に従事。東京都出身・在住。

 

 
 

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