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REDS『正直不動産』ドラマ化記念座談会

参加者

  • 夏原武氏(以下:夏原先生)
  • パトリック・ハーラン氏(以下:パックン)
  • REDS深谷十三 社長(以下:深谷)

結婚や子どもの誕生、定年退職、老後など人生の節目で不動産会社の門をたたく人は少なくない。

 

マンションや戸建て住宅を購入するときには、大変なエネルギーを使うものだ。数千万円という大金で自分の城を構えるために頭金を入れて住宅ローンを組む人がほとんどだろう。また、なんらかの理由で不動産を売ろうとしたときは更に不安が付きまとうものだ。そのような人生最大の売買をするときに、はたして信頼できる不動産会社や営業担当者に出会えるか。不動産会社を舞台にした漫画「正直不動産」(小学館刊)では、業界が抱える不誠実な部分に焦点を当てて描いており、それをNHKが地上波でテレビドラマ化。そのドラマ考証を不動産流通システム(REDS)の深谷十三社長が担当した。ドラマ化を記念して漫画の原案者の夏原武先生と、タレントでREDS特命PR担当のパトリック・ハーラン氏の3人による座談会を行い、悪徳不動産会社を回避できるかを徹底議論してみた。

 

  • 深谷

やはり誰もが注目するテーマなので、ドラマの「正直不動産」もすべり出し好調ですね。
回を重ねるごとに、不動産業界の商慣習により奥深く切り込む内容なので、これからがさらに楽しみですね。

 

ところでストーリーの中で不動産売却の媒介契約について触れていますね。
あらためて整理してみると、媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の三種類があります。

 

売却を1社のみに依頼するのが専属専任媒介と専任媒介となり、一般媒介は複数の不動産会社に売却を依頼できます。
また、専属専任は1週間に1回以上、販売状況を売却の依頼者に報告する義務があり、専任は2週間に1回以上、同様の義務が生じます。
媒介契約の期間は共に3カ月以内で、3カ月ごとに更新することが可能です。

 

一般媒介で売却依頼すると、依頼者は様々な不動産会社に任せることができます。

 

ただ、定期的な報告義務やレインズへの登録義務がありません。
レインズとは不動産会社が物件情報を確認できるシステムのことで、専任媒介の場合、売却依頼を受けてから1週間以内に、専属専任の場合は5日以内にレインズに物件情報を登録するルールとなっています。
レインズは事業者専用のネットワークで、一般の方はアクセスできません。

 

 

  • パックン

一般人がアクセスできないのなら、あまり私たちには関係ないのでは…?

  • 深谷

そう思うかもしれませんが、じつはそうではありません。

 

不動産を高く売りたいと思うのなら、まずレインズを理解して、その仕組みの良いところと悪いところを知ることが大切なんです。

 

ちょっと不動産売却の流れを通してご説明しましょう。
たとえば売却を依頼した不動産会社にたまたま購入希望者がいれば、不動産会社は売り買いそれぞれの目線で値段の落としどころを探って、取引が成立するようにします。
この場合、売却依頼されていた不動産会社は、売り主と買い主の両方から手数料を貰うことができます。

 

これを両手仲介と呼んでいます。不動産会社にとっては一番効率よく儲かるパターンです。

 

でもどうでしょう。
本来であれば売却依頼者は、たまたま頼んだ不動産会社にいた人でなく、たとえレインズ経由で繋がった他の不動産会社の顧客であったとしても、最も高く買ってくれる人と契約したいと思いますよね。

 

そうなんです。ここに業界の闇が潜んでいるんです。
多くの不動産会社は両手仲介で双方から手数料を貰いたいがために、常に自社の顧客を優先して、さらには他の不動産会社から買い手の情報を受けても相手にしないのです。

 

つまり、レインズに掲載されている情報を見た別の不動産会社が「私のところに、その物件に興味を持っている人がいます」と売り主側の不動産会社に問い合わせても、「もう別の購入希望客と商談にはいっています」などと言って取り次いでもらえないのです。
本当は商談中ではなく、まだ買い手を探している最中であったとしてもです。偽ってでも、なんとかして双方から手数料を貰おうとするのです。

 

もしかしたら、取り次がれなかった購入希望者は、売却依頼者の希望金額で購入してくれる可能性があったかもしれません。
このことを業界では「囲い込み」と問題視しています。
執拗に両手仲介を目指すこのような行為は、売却依頼者の利益を置き去りにしていますよね。

 

そこで2016年1月4日に、売却依頼者を守る目的でステータス表示(取引状況表示)というものがレインズに導入されました。
「商談中」などの表示で、掲載物件の状況が売却依頼者にも分かるようになったのです。
ただ、このステータス表示も不動産会社が切り替えるものであり、結局は依頼して任せた不動産会社の考え方次第というのが現状です。

 

 

  • パックン

なるほど。まさに闇ですね。

  • 夏原先生

少しずつは改善されてきているものの、まだまだレインズは情報システムとして中途半端ですね。

 

画面上でページを一度戻すと、すぐにログオフしちゃうこともあるし。
画像認証なども導入しようとしたのですが、高齢者が多い不動産業界では、「使い方が分からないからやめてくれ」となっちゃうんですよね。今でも不動産業界の通信手段のメインストリームは、メールではなくファクスですからね。

 

もう一つ問題なのが物件情報のポータルサイトです。既に成約している掲載物件を取り下げるスピードがものすごく遅いんですよ。

 

つまり、これがおとり物件的になってしまっているんですね。
敢えておとりとして掲載しているわけではないのでしょうが、ポータルサイトと業者との連携が悪いことで売れた物件が残ってしまい、結果としておとり的になっているんですよね。一部には、わざとやっている業者もありますけどね。

  • パックン

私は、それ何回か経験ありますね。連絡して「もうないです」って言われたことありますよ。

  • 夏原先生

本題に戻るとして、「正直不動産」の中では一般媒介を薦めていますが、あれは依頼した不動産会社に囲い込みをされてしまうと困るからです。

 

あの漫画の中で一般媒介が良いと言っているのは、残念ながら不動産会社の中には、けっこうな確率で囲い込みを行う業者がいるんですよね。もちろん依頼した業者がちゃんとやってくれさえすれば、僕も専任媒介のほうがいいと思っていますよ。
不動産の売買は一般人や素人では太刀打ちできないので、プロの知見・ノウハウに頼りたくなるのが正直なところですから。

 

最初の段階で専任媒介にするか、一般媒介にするかを決めなければいけないが、それこそ「正直不動産」に出会えればいいけれどもその保証はどこにもない。
専属専任や専任を批判的に描く背景のひとつに、業者の仕事に対する姿勢に誠実さが見られない、始めから買い取り再販が目的なのではないかと思わせる不動産業者が多すぎるのです。

  • 深谷

そういうことですよね。

 

ところで、専任媒介は「1社に任せる」と言いましたけど、これは「1社を窓口にする」ということです。不動産会社が売却依頼者に忠実に業務を行えば、この窓口を通じて何百・何千という不動産会社に情報が行き渡ります。本来はそうなるはずなんです。

 

一方で、一般媒介でA社・B社・C社に売却を依頼したとして、それぞれの不動産会社から同時に「うちにお客様いますから、あと3日待って、1週間だけ待ってください」と言われても、一般の方には、どの話が本当なのかを見極められません。

 

はたして住宅ローンを組める借り入れ能力を持っているのか。などという見極めはプロでないと分かりません。
ですから当社にも、一般媒介で疲れ果てた方からの、お問い合わせも多く寄せられます。

  • 夏原先生

そういえば、不動産会社の社内メールなどには、「あの物件は早く干せ」とか、「こなせ」とか書いているんですよね。「値こなし」とかの言葉も業界では普通に使われていますよね。

  • パックン

「干す」ってどういうことですか。売れないようにしておくということですか。

  • 夏原先生

そう。
「干す」っていうのはずっと物件情報を出してるんだけど、いつまでたっても購入相手が決まらないようにするんです。
「お客さん、この価格では売れませんよ」って話をして、どんどん値段を下げさせる。

 

最後は、始めに決めておいた買い取り保証額まで下げさせようとするわけです。

  • 深谷

例えば5000万円で預かった物件があったとします。

 

あらかじめ知り合いの会社から「4000万円だったら買い取りたい」という話を取り付けておいて、結局、最後は売却依頼者と知り合いの会社の間で両手仲介を成立させる。

だから5000万円の売却物件の販売活動は積極的にやらない。
「干す」というのは、「頑張って販売活動をやってますよ」と言いながら、本当は野ざらしにしておくような意味です。

  • パックン

いや~、「干す」というのは、われわれ芸能人にとっては、めっちゃくちゃ怖い言葉ですよ。

 

 

  • 深谷

それに似ていますね(笑)。
そして「こなす」ですれど、これは、「売却価格を100万円ほど値下げしましょうか、あと100万円だけ下げましょうか」と言って、少しずつ値段を下げて取引をまとめる方向にもっていくことです。

 

これは成約に向けてのプロのアドバイスでもありますが、一部の不動産会社にとっては、やはり両手仲介を目指す行為のときもあるんですよね。

  • パックン

本当は、もっと高い値段で買ってくれるお客さんがいたとしても、一部の悪徳業者はそんなことをやるわけですね。

  • 深谷

ここが最も重要なポイントなんですが、一般媒介で売却を依頼すると物件情報が広がり難く、仮にどこかの不動産会社に希望の値段で買ってくれる方がいたとしても、その方まで情報は届きません。

 

結局、依頼した不動産会社の身近なところで買主を探すことになり、依頼した不動産会社の知り合いとの間で話をまとめるケースが多くなります。

この点が、私が一般媒介を薦めない理由です。

  • パックン

一般媒介に登録義務はない。
とはいえ、実際に物件情報をレインズに登録してくれる事業者はいないのですか。

 

  • 深谷

残念ながら積極的に登録する不動産会社は少ないですね。

 

預かった物件を自分のところの購入希望者に紹介して成約すれば、どちらからも手数料がもらえる両手仲介になるわけですから。

  • パックン

よくチラシなどで「未公開物件」などがありますが、レインズに情報を載せていないという意味ですか。

  • 深谷

そう思っちゃいますよね。未公開って言葉は気になりますよね。でもネットやチラシなどに載せているんですから、本当は未公開でもなんでもないですよね(笑)。

 

実際にそのような表示の多くは、客引きや、反響取りの目的の為に使われています。
もちろん中には特別な事情により情報を開示しない物件もありますが、けっして高く売りたい売り主の利益に繋がるものではありません。

  • 夏原先生

ところで、多くの業者が媒介契約でつまらない姑息な手を使ってしまうのは、究極に言えば不動産仲介ビジネスは利益率が悪すぎるところにあると思っています。
だから何とか両手にして金をつかまないと、という意識になる。

  • パックン

成功報酬で貰える上限は3%+6万円ですよね。
両手仲介であれば6%+12万円ですが、これは他業界に比べて低いですか。

  • 深谷

一概には言えませんが、3%+6万円だと物件によっては利益率が低いと思うときもあります。

  • パックン

3%でも、数億円の物件であれば他業界に比べて高いと思いますけど。
でも、売れるかどうかわからない商品を扱っているわけですよね。つまりただ働きもあるわけですよね。

  • 夏原先生

たとえ手数料が1%のビジネスであっても確実に毎日売れるのならば問題はない。
かねてから私が不動産業界に必要だと主張しているのは、仲介手数料の自由化と成約に至るまでに何らかの方法で料金が発生する仕組みです。

  • 深谷

それについては私も賛成です。

たとえば不動産の査定ですが、机上の簡易査定ならともかく、本格的に査定する場合はしっかりと現地や地域性を目で確認して、近隣の取引事例はもちろん不動産市況なども織り込んで行います。
また、売却戦略を考えるのも実務経験が必要とされる場面です。
このような仕事を、もっと評価してもらえればいいんですけどね。

  • 夏原先生

調べれば調べるほど、調べることが出てくる物件もあるし、登記と合ってない土地もあったりする。

  • 深谷

そうなんですよね。

ときには、まる一日掛けても終わらない査定もあります。
このようなことを経験豊富な宅建士が行うことに対して、一定の対価が貰えるようになれば不動産業界も変わっていきますよ。

  • 夏原先生

この際だから言うけど、本当に問題だと思うのは大手業者の両手率ですね。

  • パックン

えっ、そうなんですか?

  • 夏原先生

はい、××社はまったく信頼できないところがあります。
いや本当に〝大手だから安心〟っていうのが通らない。
もうほぼ両手手数料になっていますしね。

  • 深谷

仲介手数料率を各社別で調べてみると大手不動産会社の多くが4~5%になっています。

 

3%を大きく超えていますので、おそらく殆どが両手仲介ですね。
確かに大手と言われる不動産会社が多いですね。片手仲介で1.5%+3万円の仲介手数料が基本の当社からすると、ちょっと羨ましいですね。

 

 

  • パックン

でも、大手は信頼できそうなので、看板を信じて大手不動産会社に任せるという判断はいかがでしょうか。

  • 深谷

いいと思いますよ。大手の看板を信頼して購入するのも一つの選択肢だと思います。
ただ、仕事内容としては大手も中小も変わらないので、けっして大手だから高く売れるわけではありません。

  • パックン

もう一つ先生にお聞きしたいのですが、漫画の中で「手数料の上限は取引金額の3%+6万円」とありますけど、これは上限なんですよね?
「もっと手数料を安くして」という交渉はできるのですか?

  • 夏原先生

もちろんできますよ。まったく問題ありませんね。

  • 深谷

3%+6万円の仲介手数料を、あたかも「法定料率」として求める不動産会社が一部あるようですが、これはあくまでも上限なのです。

不動産売買は金額も大きいので、最も大切なのは、誠実な会社・誠実な営業マンを見極めることです。

  • 夏原先生

まったくの同意見ですね。

 

誰にとっても不動産売買は、幸せになれるかどうかを左右しかねない大きな出来事です。
そういうときに看板の大きさにこだわるのではなくて、売ったら終わり、という会社を選ばないようにすることが大切です。
誠実な会社をみつけるのは大変そうですが、けっこうクチコミって頼りになりますよ。私はGoogleのクチコミが公平で一番信頼できると思っています。

 

あとは、「正直不動産」をしっかり読むことですね。
本当にリアルに近いところを描いていますよ。営業マンにとって宅地建物取引士というのは持つべき最低限の資格です。
「正直不動産」の知識をしっかり身につけておいて、場合によっては不動産会社を訪ねるときに、一冊持ちながら行けば、ちょっと対応も違ってくるんじゃないかと思うんですけどね(笑)。

 

それと宅建士の社会的地位も上がってほしい。
年々試験の難易度が高くなり、いまでは過去問を解くだけでは受からない。それなのに、なかなか宅建士の評価が上がらないのは不動産業界にも問題があると思う。契約の重要事項説明を読むときだけ宅建士が登場し、普段の営業活動は無資格者でも行えるようでは業界の評価は上がらない。
宅建士の資格がいらないのは事務職だけにするべきですね。

  • 深谷

現在の宅建業法では、不動産業務従事者5人に対して1人の割合で宅建士が在籍していれば良いことになっていますが、専門性や金額を考えると営業マンの全員が持つべき必須資格ですよね。

  • 夏原先生

これは大手の営業所もそうですよね。重要事項説明以外のことは宅建士の資格なくてもできるわけです。専門知識も持たない営業マンが会社の看板だけで数千万円の不動産を扱うんですよね。怖いったらありゃしない。

 

「正直不動産」では、何がしたかったのかっていうと、普通の営業マンたちの苦労をまずは描きたかった。それから、日常的に人間って嘘をついて生きているのですが、もしウソつけなくなっちゃったらどうなるか。不動産を舞台にしたのは、不動産と縁のない人っていないからです。

 

 

  • 深谷

二十年近く不動産ビジネスを取材テーマに活動している知り合いのジャーナリストは、「そもそも売り主と買い主の利益が相反しているのに、両手仲介が宅建業で違反とされていないのは、不動産事業者が誠実にビジネスをすることを前提にした、つまり性善説に立ったビジネスモデルだからだ」と言っていました。

 

だからと言って、それに寄り掛かったままで消費者置き去りの商習慣が横行しているのだとしたら、それが不動産業界の健全な発展を阻害する一つの要因になりかねませんね。

 

当社では近日中に「囲い込み110番(仮称)」をホームページ上に開設する予定です。
リアルに物件の囲い込み状況を開示することにより、不動産売却を検討する皆様のお役に立てればと考えております。

  • パックン

それは面白そうですね!

  • 夏原先生

賛成です。売り主の利益保全と不動産業界の健全化のためにも、ぜひ早くやってください!

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