『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN
- 公開日:2024年2月27日
『正直不動産2』ドラマ8話最速レビュー|ワンルーム投資バトル! フルコミ黒須が客に襲われ大ケガ、不動産営業引退!
ある日突然、嘘(うそ)がつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描くNHKドラマ『正直不動産2』。第8話が2024年2月27日(火)夜10時に放映されました。
山下智久演じる主人公の不動産営業マン永瀬財地は、前シリーズでは嘘をもいとわないセールストークで売上ナンバーワンでした。ところがある日を境に、不思議な風が吹いてくると嘘がつけなくなることからナンバーワンの座から滑り落ち、客とのやり取りでもしくじって窮地に陥ります。しかし、その正直さが逆に、ライバルのミネルヴァ不動産をはじめとする悪徳業者にだまされそうになる客の心を動かしてきました。
今シリーズでも引き続き、ミネルヴァ不動産とのバトルは続きます。シーズン2も残すところあと3話。大人気ドラマ『正直不動産2』のレビューを、監修を担当したREDSではどのメディアよりも早く、そして詳しくお届けします。REDSのSNS「X」「Facebook」ではレビューと解説記事がサイトに掲載されたらお知らせ投稿をしていますので、ぜひフォロー&通知ONのうえ、見逃さないようにしていただければ幸いです!
(不動産のリアル編集部)
(写真はイメージです)
目次
地元で評判の永瀬とクレームの嵐の黒須。今回のテーマはワンルーム投資
商店街を通勤する永瀬と月下咲良(演:福原遥)。すると永瀬が店主から「店の家賃の相談に乗ってもらって助かった! この人も困ってるみたいでさ、助けてやってよ」なとど声をかけられます。月下は「商店街であんなに信頼される永瀬先輩、不動産営業としてうらやましいです」と見直した様子です。
一方、黒須圭佑(演:松田悟志)にはまたもクレームの電話が。「最近多いよな……」と大河部長(演:長谷川忍)もため息をつく中、トイレに向かい、個室でもどしています。「なんであんなコネだけのボンボンに負け続けちまうんだ」と成績1位の藤原結弦(演:馬場徹)にイライラを募らせる黒須。「フルコミ」で働く黒須は「売上こそが存在価値。トップじゃなきゃ居場所がなくなる」という立場。相当ストレスの多い毎日を送っているようです。
そこに、永瀬を指名の上で会社員の篠崎文彦がやってきました。なんと、ミネルヴァ不動産の神木涼真(演:ディーン・フジオカ)から紹介されたというのです。3年前に投資用ワンルームを購入したものの、契約した「TBGコーポレーション」という会社が倒産、その後も赤字続きで困っていたところ、神木にそれを売った上で新たに『ジュエル八起』(築20年、20㎡、駅徒歩10分、1,800万円)の物件の購入を勧められたと。価格の高さに気乗りしない様子の篠崎に、神木は登坂不動産で永瀬を指名して見積もりを取るように言ったというのです。
永瀬「マンション投資はサラリーマンが片手間に手を出すものじゃない」
現場を見た永瀬は割高であり、黒字になるか分からないので購入には反対だと告げます。「投資物件でそれ言ったらおしまいっす。究極にタムパ最高じゃないですか、不労所得って。ガチで夢ありますよね?」と口を挟んだ十影健人(演:板垣瑞生)を風に吹かれた永瀬が一喝。
「その夢は、醜い悪夢のような現実にしかならない! そもそもマンション投資なんて、サラリーマンが片手間に手を出すものじゃないんです! 現実的に考えれば、固定資産税や管理費など月々の支出で、赤字予想しかできません! 投資で黒字を出すには常に不動産の市場価格や市場金利の動向をつかむ努力が必要なの!」
「神木さんがデータ的には(ローンを払い終えた30年後に)1,800万円以上で売れる可能性があるって……」と食い下がる篠崎に、永瀬は「数字は嘘をつかない。だが、嘘つきは数字を使う」とぴしゃり。さらに、不動産業界の裏側を暴露するように続けます。
「いいですか、不動産業界に巣くう一部のハイエナどもは、あなたのような情報弱者にすぐ目をつけます。そして、数年ごとに物上げ屋が現れては、格安でマンションを買い上げ、さらにそこにワンルーム屋が現れて、新たな物件を売りつけることを繰り返す。まさに無限ループ地獄にたたき落とすんです!」
永瀬はその足でミネルヴァに乗り込み、神木と対峙。なぜ篠崎を送り込んだのか問い詰めると神木は「勝負したくなってね。俺が勧める明らかに割高なワンルームを篠崎さんが買ったら俺の勝ち。買わなかったらお前の勝ち。どうだ?」と笑みを浮かべてタップを踏みました。さらに、「簡単じゃない」もう一人を登坂に派遣したと告げてきました。「簡単じゃない」とは……。
ミネルヴァの不穏な企み! 神木の〝虎の巻〟とは
永瀬があわてて帰社すると、すでに派遣された海野慶人に黒須が投資用ワンルーム物件の案内をしていました。海野はすでに赤字続きのワンルームを抱えており、新しく買うなら手付金や諸費用など初期費用のかからない物件にしたいとの意向です。
一方、ミネルヴァ不動産では、鵤社長(演:高橋克典)と神木がよからぬ話をしています。神木が投資用ワンルームマンションを売りまくっているおかげで、「資金調達が万全で次の計画もやりやすくなった」と鵤。いったい何を企んでいるのか……。
神木は後輩からどうしたらあんなに次から次へと投資用ワンルームが売れるのかを尋ねられ、「顧客リストだよ。TBGコーポレーションのな」とあっさり明かしました。それを聞いた花澤涼子(演:倉科カナ)は「2年前に行政処分を受けて倒産したワンルーム専門の販売会社。恫喝、恐喝、何でもありの営業スタイルで、ひどいときは相場の3倍近い価格で物件を売りつけた。それも通報されないように、気弱そうな客を狙って」と解説します。
さらに神木が「TBGコーポレーションの強引な営業スタイルの生みの親は、鵤社長だ。これ(USB)は社長から1,000万で買った」と衝撃の告白。あっけにとられる後輩に「欲しいなら売ってやる。900万円でどうだ。使いこなせるならな」と言い残してその場を去りました。
神木の懐柔劇! 篠崎の娘が永瀬に通報した理由とは
篠崎がワンルーム投資をする理由は娘、琴乃の学費のためでした。有名私立高校に進学したため、学費が想定より跳ね上がったとのことです。しかし、妻は乗り気ではありません。そのため、新規購入はあきらめることを神木に伝えました。そこで神木の懐柔劇が始まります(悪用厳禁!)。
「気づいてますか? 篠崎さんは今、勝利か敗北かを決める分岐点に立たされています。敗北が決定するのはいつだと思いますか? 戦うのをやめたときですよ」「あなたならできますよ」
かつてのスポーツ漫画で見たようなセリフを交えながら、「コンコルド効果(これまでの投資分を惜しんで止められなくなる心理的傾向)」や「ダニングクルーガー効果(能力や経験が低い者ほど、自らを過大評価してしまう心理現象)」を駆使して篠崎の翻意を迫ります。
結局、篠崎は神木の懐柔に負けてしまい、契約の意向を固めてしまったようで、激怒する妻には神木に吹き込まれた屁理屈を力なく繰り返すばかり。翌日、ミネルヴァに向かう篠崎夫妻の前に息を切らした永瀬が立ちはだかりました。永瀬を呼んだのは娘の琴乃。父がワンルーム投資を始めた理由が自分が私立高校に進学したのが理由だと思って、永瀬に相談したそうです。結局、篠崎夫妻は神木からマンションを買うのを取りやめ、抱えているワンルームは永瀬に売却を依頼することにしました。
ところで、琴乃はなぜ永瀬に連絡したのでしょうか。彼女は商店街の清掃ボランティアに参加していて、永瀬のことを知っていたというのです。「みんな言ってました。登坂不動産の永瀬さんは、正直で頼りになる人だって」という琴乃。
「好事門を出でず」というように、とかくこの世は世知辛いもので、よい行いをしても世間にはなかなか広まらないのが現実です。しかし、永瀬の日頃の行いは、思わぬところで実を結んでいたようです。
突然の契約解除にうろたえる黒須。中間金とは
さて、もうひとり、神木が登坂不動産に派遣したという海野。突然、契約解除を申し入れ、黒須が取り乱しています。黒須は今回の契約は〝奥の手〟を使ったために一方的な解除はできないと伝えていたようです。海野はどんな事情で解約を希望し、黒須はどんな手を使ったのでしょうか。
まず、海野には病弱な妻がおり、ワンルーム投資で貯蓄を増やそうとしていたのだそうです。しかし、妻は急逝。通常の不動産売買なら、売買契約時に手付金を支払うのですが、今回は初期費用を抑えるために手付金をゼロで契約して、その後に「中間金」が支払われていたといいます。
番組では、中間金について以下のように説明されていました。
“中間金とは本来、不動産売買契約成立後に、代金の一部として支払う「内金」のことである。手付金を払わず、中間金を払うことによって取引した場合、初期費用を抑えることは可能になる。しかし、中間金を払った時点で「契約履行の着手」、すなわち契約の実行を開始したということになり、その後の契約解除は難しくなる。違法ではないが、かなり強引といえる。通常は使わない営業手法なのである”
契約解除のためには売主、買主双方の合意が必要となり、多額の違約金が発生します。海野は2,000万円のワンルーム物件を契約しており、違約金の額は400万円に上るそう。永瀬も月下も藤原も十影も黒須のピンチに協力、3日後の決済までに海野に代わる新たな買主を見つけて、売主に違約金の減額を迫るため、動き出しました。
神木、悪魔のささやき……。黒須が受難
そのころ、疲れ切った様子の海野が夜の公園のベンチで缶ビールをあおっていました。隣に神木が座り海野に言い聞かせていました。「中間金で取引ですか。強引な手だ。もしかして、その黒須とかいう営業、海野さんを利用したのかもしれない。自分の成績のために海野さんを犠牲にしたんですよ」
登坂不動産オフィスでは、みんなで営業電話をかけ続ける中、黒須が買い手を探し当てます。黒須はすぐに売主と話をつけ違約金は全額免除に。黒須は月下とともに海野に報告に向かいます。階段にさしかかり、下りようとしたところで鉢合わせしたのは海野でした。気づいて笑顔を見せた黒須に、海野は「何笑ってんだ!」と駆け寄り、つかみかかりました。もみ合いの末、黒須は階段から激しく転落! 月下の絶叫が響き渡りました。
このことを知った花澤が問い詰めると、神木の返事は戦慄するような内容でした。「海野さんは俺が営業をかけたときから、すでに精神的に参っている感じだったよ。ビジネスにするのは難しいが爆弾にはなると思って登坂に送り込んだ。思った以上の結果に驚いている、狙っていた的からも、少しズレてしまったしね」
明らかに、「錯乱した海野を使って、永瀬に有形力の行使を企てていた」と言ったに等しいではありませんか。『正直不動産』もシーズン1からこのエピソードまで、言葉でのバトルはあったものの、だれかに危害が加わるということはありませんでしたので、残す2話の展開に少し怖さも感じてしまいますね。
黒須、不動産引退! 永瀬と美波の同棲バレる
入院している黒須の見舞いに行った永瀬と月下に、黒須は愛媛の実家に帰って家業の旅館を継ぐことにしたと打ち明けました。黒須の最後の営業成績は永瀬に僅差をつけてトップ。「これでお前は一生俺に勝つことはない!」と豪快に笑う黒須。トップを争った営業マンどうしの爽やかな別れとなりました。
一方、同棲を始めた永瀬と榎本美波(演:泉里香)の仲も、ついに行きつけの居酒屋の仲間にバレてしまいました。永瀬も「ただいま絶賛同棲中! 今どきはやらない、押しかけ女房だけどな!」と言い放ち、美波にツッコまれながらも、一同「おめでとう!」と大盛り上がりです。残り2話、永瀬と美波の恋の行方が楽しみです。