『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN
- 公開日:2024年2月20日
『正直不動産2』ドラマ第7話最速レビュー|打倒神木に燃える花澤。今シーズン最悪の不正行為に手を染める!
ある日突然、嘘(うそ)がつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描くNHKドラマ『正直不動産2』。第7話が2024年2月20日(火)夜10時に放映されました。
山下智久演じる主人公の不動産営業マン永瀬財地は、前シリーズでは嘘をもいとわないセールストークで売上ナンバーワンでした。ところがある日を境に、不思議な風が吹いてくると嘘がつけなくなることからナンバーワンの座から滑り落ち、客とのやり取りでもしくじって窮地に陥ります。しかし、その正直さが逆に、ライバルのミネルヴァ不動産をはじめとする悪徳業者にだまされそうになる客の心を動かしてきました。
今シリーズでも引き続き、ミネルヴァ不動産とのバトルは続きます。そんな大人気ドラマ『正直不動産2』のレビューを、監修を担当したREDSではどのメディアよりも早く、そして詳しくお届けします。REDSのSNS「X」「Facebook」ではレビューと解説記事がサイトに掲載されたらお知らせ投稿をしていますので、ぜひフォロー&通知ONのうえ、見逃さないようにしていただければ幸いです!
(不動産のリアル編集部)
(写真はイメージです)
目次
今回のゲストキャラはマッチングアプリでカモにされた男と榎本美波の祖母
カフェで仕事をしていたミネルヴァ不動産の花澤涼子(演:倉科カナ)は、近くの席のOLの話し声から、ある婚活アプリの男性会員に〝家持ち〟が多いと知りました。「30代で億ションに住んでいたり、実家相続してるようなセレブ系に出会えるんだって」といいます。
花澤はさっそく「ようこ」という名前で登録。男性会員のプロフィールを検索していると、「綿村博士、35歳、TNNデータのSE、年収700万円」といういかにも理系オタクの男性が出てきました。自己アピール欄に「30代でマンション購入めざしています!」と書かれているのにくぎ付けとなり、早速「イイね」をつけました。
一方、永瀬は前話のラストシーンで意中の榎本美波(演:泉里香)から「恋人になってほしいと迫られていました。それは、見合いを勧める故郷の祖母に結婚したい人がいると嘘をついたら確かめに来ると言われたので、恋人のフリをしてほしいとのこと。嘘がつけない永瀬にそんな役が務まるのでしょうか。同僚の月下咲良(演:福原遥)は「ボロが出ないようにフォローする」と言うのですが……。
ミネルヴァの支店長の座をかけ花澤VS神木バトル勃発
ミネルヴァ不動産では、鵤社長(演:高橋克典)から、今月の売上トップを立川にオープンさせる2号店の店長にすることが告げられました。ライバルの神木涼真(演:ディーン・フジオカ)は、今月はすでに売上は絶好調のようです。射るようなまなざしを向けた花澤は、婚活アプリで綿村に会いたいとメッセージを送りました。
駅前のロータリーで綿村を見つけた花澤は「ようこは体調を崩した」とのメッセージを送った後、「ようこの友人」と名乗り、「会話が続くか分からないから同席を頼まれた」と嘘をついて接近しました。花澤は綿村から「30代でマンション購入を考えていると言うと、ようこは賛成してくれた。貯金は1,000万円ある」との情報を引き出したところで名刺を差し出してズバリ斬り込みます。
ようこの部屋を仲介したと嘘をつき、さらに「この近くにようこちゃんが『結婚したら絶対住みたい!』って決めてるマンションがある」と誘い、連れ出しました。席のついたての向こうには神木の姿が。なぜここに神木がいたのかは謎ですが……。
業界のタブー「勧誘の誘引」に手を染めてしまう花澤……
内見している綿村は「本当にようこちゃんがここに住みたいって言ってたんですか?」と花澤に疑問をぶつけました。アプリでの言葉のやり取りだけで綿村が「ようこ」に対して勝手に抱いたイメージに過ぎないのですが、「思ったよりも庶民的」というのです。部屋は5,000万円、手付金500万円を払って35年ローンで毎月の支払いは約11万円。
花澤は「『ようこちゃんのために買ったんだよ』ってサプライズしたらきっと喜ぶと思いますよ」とあおります。しかし、綿村は「手付金が払えない」と言い、媚びるようなまなざしを向けてきました。しかし、不動産会社が客に手付金を用立てることは業界のご法度。ドラマではこう解説されていました。
“手付金が用意できない客に「貸し付けますから」「後でいい」「分割でいい」などと言って契約を急がせて不動産を売りつける「契約の誘引」は宅建業法違反だ。バレたら、罰則として6カ月の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。不動産屋の営業停止は確実。場合によっては宅建免許取り消しというキツーいペナルティも科される。だから不動産屋は、この「契約の誘引」というやつにだけは絶対に手を出さない!”
もちろん花澤がこれを知らないわけがなく、葛藤します。しかし神木に「2位なら敗者のトップ」とあおられ、鵤社長に腹をくくって切り出しました。「くれぐれも内密に」と分割で貸し付けた綿村には感謝されるのですが……。
綿村に追い詰められる花澤、裏にやはり神木の暗躍
後日、綿村は花澤に契約をなかったことにしてほしいと申し出ます。突然、関西に転勤が決まったことが理由だとか。花澤は「今、契約を解除すると、買い手都合の契約解除になって、手付金は戻ってこないんですよ」と食い下がるも、逆に宅建業法違反を指摘されます。さらに「返済する義務はないですよね。それでも払えとおっしゃるなら、東京都住宅政策本部に訴えます。ミネルヴァ不動産の営業停止は確実……」と言われ、花澤は動けなくなりました。
オフィスに戻った花澤は神木と同僚の西岡将生(演:伊藤あさひ)の会話から、神木が裏で糸を引いていたことを知ってしまいました。「なんでそんなことまで?」と怒りを隠せない花澤ですが、地団駄を踏むしかなく……。
美波の祖母が神木にだまされる?
永瀬が美波の祖母と面会する当日。美波から「祖母は東京に来ているようだが、連絡がつかない」と告げられました。祖母の近影を見せてもらうと、2日前に登坂不動産を訪れ永瀬に「孫にタワマンをプレゼントしたい」と相談した人でした。祖母は子供の頃から美波に結婚するときには家を買ってあげると口癖のように言っていたそうです。
そんな祖母はミネルヴァ不動産で神木の案内を受けていました。神木は祖母にVRで高級タワマン『ヘブンリークレスト八起』の内見をさせています。8,000万円だというその物件を買うために、神木は祖母が所有している自宅と畑が大規模開発で高く売れる、と持ちかけました。難色を示す祖母に神木は「お孫さまご夫婦と一緒に暮らせばいいじゃないですか、タワマンで。大都会を一望しながらの、かわいいお孫さんとの至福の時。それはまさに楽園!」などとまくしたて、祖母もまんざらではない様子です。
そこに永瀬、月下、美波が飛び込んできました。神木の企みを察知した花澤が月下に連絡したのです。しかし、祖母はすっかり買う気になっていました。そこに風に吹かれた永瀬が一喝します。
「ありがた迷惑って言葉をご存じですか? お孫さんの気持ちをちゃんと確かめたんですか? タワマンを買ってもらうことを本当に望んでいるのか。不動産で一番大切なのは、そこで暮らす方ご自身の夢と人生設計です」
神木は「けれど、夢も人生設計も幸せも、ふとしたすきに一瞬で消え去ってしまうものです。つかみかけたら絶対に手放してはいけません。買い時とは、買いたいと思ったその瞬間なのです」と余裕で反論してきました。
そこに割って入った美波、タワマンは要らなければ秋田の実家も売らないように祖母に訴えました。「あそこにはばっちゃんとの思い出がたっくさん詰まってる。私にとっても、大切な宝物なんだよ」。月下も「榎本さんが、毎日お元気に過ごしていることが、美波さんにとって一番のプレゼントなんですよ」と告げると、祖母は我に返り、契約はなかったことにしたいと神木に申し出ました。
手付金800万円は戻らない?
8,000万円のタワマンを購入する契約をすでにかわしていた祖母は800万円の手付金を払うことになっていました。この時点での契約解除は買い手都合となり、祖母は手付金を支払わなければなりません。
そのとき永瀬は、祖母が契約したのが耐震偽装疑惑で住人トラブルになっているマンションであることに気づきます。神木がそのことを知らないわけがなければ、祖母に告知するはずもありません。怒りのあまり、神木を平手打ちしかけた美波を制止した永瀬は「神木さん、あなたは価値が下落しているそのタワマンを欠陥住宅であることを伏せて、高値で売りつけようとした。明らかに告知義務違反だ!」と詰め、見事、契約を解除させました。
月下は花澤に謝意を伝えますが、花澤も不動産営業マンとしてやってはいけないことをしてきただけに、浮かない顔です。失った500万円を自腹で返済することを鵤社長に伝えたところ、鵤社長は「いらん。仕事で返せ。お前は不動産屋の営業だ」と突き返しました。ミネルヴァの中でも良心が残っているはずの花澤、「ケジメは不要」だとした社長の言葉をどう受け取るのでしょうか。
美波が永瀬と一緒に暮らす?
数日後の朝。永瀬が自宅で寝巻きのままバナナをかじっているとドアをノックする音が。そこにいたのは大きな荷物を手にした美波でした。「来ちゃった。今日から私、ここに住みますので。最終選考です」。美波の目は真剣そのもの。呆然とする永瀬ですが、ふたりの関係は今後どうなるのでしょうか。次回、第8話。『正直不動産2』も残すところあと3話です。