『正直不動産』宅建士のプロはこう見る!SHOJIKI-FUDOSAN

  • 最終更新日:2024年1月4日
  • 公開日:2024年1月3日

『正直不動産スペシャル』最速レビュー(後編)|自宅競売の友人に自爆営業する永瀬! 危機を救った父の愛

ある日突然、嘘(うそ)がつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、独特の商慣習で動く不動産業界で奮闘する姿を描き、2024年1月9日より放送されるNHKドラマ『正直不動産2』本編に先駆け、1月3日に『正直不動産スペシャル』が放映されました。この記事は前編の続きです。

 

(不動産のリアル編集部)

 

不動産売却

(写真はイメージです)

 

同級生の家を任意売却すると決めた永瀬

 

永瀬は売却価格査定のため希志(演:溝端淳平)の自宅を訪れました。希志も知人に電話して助けを求めているようです。家の壁には子供が描いた家族の絵、柱には息子の成長に合わせた傷があり、家族で幸せに暮らしてきた跡が見えました。

 

そこに妻と息子が突然、帰ってきました。仲が悪くなって別居しているわけではなく、解決するまでは離れて暮らそうという希志の提案だったのです。妻から「なんとかこの家で家族と住める方法はないですか?」、希志からも「この家は、手放すには、家族の思い出が詰まりすぎてる」と頭を下げられた永瀬。「分かった。なんとかしてみる」と応じました。

 

永瀬も自宅競売の危機を助けてくれた人がいた

 

登坂不動産の社長室―。2022年の『正直不動産』第7話で明かされていたのですが、実は永瀬も自宅を競売にかけられかけていたのです。父が友人の連帯保証人となり、その責任を負ってのことでした。

 

喫茶店で不動産会社と電話で話していた永瀬の会話を聞いていて、「やめておけ」と忠告してきた男性、それが登坂社長(演:草刈正雄)でした。

 

「このままだと、君と家族が暮らしてきた大切な家を奪われて、金は一銭も入ってこなくなるだろう。私のことを信じるなら、救ってやってもいい」と言われた永瀬は全てを任せたところ、市場価格で売ってくれて借金も完済できたのです。登坂は「君のためにやったわけじゃない。いちばんもうかったのは私だよ」と笑顔で返すのでした。

 

永瀬は登坂社長に「あの家を買ってくれる人を見つけ、仕事に就いていない希志のために家賃相場よりも低い月額10万円で賃す契約を結んでもらう」という策を提案しました。これが希志の負担を和らげ、自宅に住み続けることを可能にするための秘策だというのです。ドラマはこのゴールに向かって進んでいきます。

 

永瀬の計算では、希志の抱えるローン残債は4,500万円。自宅の査定額は3,900万円。これが競売だとせいぜい2,500万円にしかなりません。頭を悩ませていたところ、債権者が「光友銀行 光友信用保証株式会社」であることに目が止まります。

 

光友銀行で美波の上司・愛原とまさかの再会

 

光友銀行といえば、前シリーズで永瀬とちょっといい関係になったものの、永瀬の舌禍でクリスマスの約束をドタキャンした榎本美波(演:泉里香)が勤めている銀行。助けを求めてきた永瀬に、美波は先輩の愛原真耶(演:松本若菜)を紹介します。

 

愛原といえば、今回の冒頭で永瀬がデートしていた女性。このときも永瀬の舌禍によって最悪の結果となったのですが、奇妙な対面に、やはり微妙な雰囲気です。永瀬に「無理ですね。うちとしては元本および利息全額回収が絶対です」とにべもなし。

 

そこで永瀬に大きな風。「貸すときだけ、ニコニコしやがって、やむを得ぬ事情で返せなくなった途端、怖い顔して譲歩は認めないって、人としてどうなんだ!」とやってしまいます。

 

さらに永瀬は「任売の方が保証会社様にもメリットがあるんです。もし競売になったら、いくらで売れるか分かりません。額によっては希志が残債を払えず、自己破産する可能性が濃厚です。しかし任売ならば、時間はかかるかもしれませんが、しっかりと残債を回収できます」と声を振り絞ります。

 

真剣なまなざしの永瀬に根負けしたのか、愛原は間を取って4,200万円まで譲歩してくれました。

 

万策尽きた永瀬、ついに自爆営業!

 

永瀬はまず、不動産女王のマダム(演:大地真央)を訪ねます。しかし全く相手にされず。食い下がるも「検討ぐらいはしてあげる。その代わり、私のお願いも聞いてもらうけどいい?」と言われてしまいます。

 

永瀬は顧客リストを元にひたすら電話営業をかけますが、結局ダメでした。ところが翌日、永瀬は希志に「買い手が見つかった」と告げます。声を弾ませて買い手が誰か尋ねる希志。永瀬の口から出たのは「俺だ。これしかないんだ、希志。希志と家族が一緒に暮らせるならそれでいい」でした。

 

これはノルマを達成するために社員が自ら自社商品を購入する「自爆営業」にほかなりません。

 

パワハラ撲滅のため国も自爆営業に規制強化に乗り出す

 

自爆営業といえば、郵便局で社員が年賀ハガキを自腹で買い取り、その後、金券ショップで換金することが常態化していたことが有名です。このほか、スーパーやコンビニでアルバイトがクリスマスケーキや恵方巻き、おせちなど季節商品の購入を強制的に購入されられるなどの例があります。

 

こうした自爆営業の裏にはパワーハラスメントが存在する可能性があるため、2023年、政府は規制強化に乗り出しました。

 

自爆営業で友人を守ろうとする永瀬に希志は「やっぱり、そう言うと思った。俺が頼ったら、お前は何があっても助けてくれる。だから頼れなかった」とポツリ。「もう諦める。自己破産する」……。

 

希志親子の確執はまるであのグルメ漫画のレジェンド

 

永瀬は月下を伴って希志の父で野菜農家の哲夫(演:柄本明)を訪ねます。話を付けた永瀬は希志家族を呼び出し、哲夫が希志の家を購入することを告げます。

 

父と不仲だった希志は取り乱し、「この人は俺を見捨てたんだぞ!」と15年前にあった確執の発端を明かし始めました。広告代理店への就職が決まった希志に、哲夫は大学の授業料を返すよう迫ったのです。

 

「返すよ! あんた本当に自分のことばっかりだな! 体が弱い母さんに無理やり、畑仕事させて。母さんが死んだのはあんたのせいだからな!」と吐き捨てる希志。まるで伝説のグルメ漫画『美味しんぼ』で繰り広げられた父と子の確執を思わせる展開のようです。

 

父の気持ちを正直に暴露する永瀬

 

そこで永瀬に吹く大きな風。

 

永瀬「希志、お前、大きな勘違いをしている。おふくろさんは嫌々、農業をしてたんじゃない。この畑はおふくろさんの夢だったんだ」
希志「夢……」
永瀬「ここで有機野菜を作るって決めたのはおふくろさんだ。おやじさんは体が弱いおふくろさんに無理させたくなかった。でもどうしても夢を叶えてあげたい。だからおふくろさんの体を気遣いながら、必死にふたりで野菜を育てたんだ」
希志「……」
永瀬「お前が返した学費、おやじさん、手を付けず、取ってあるそうだ。お前が困ったときに返すつもりで、ずっと貯めていたそうだ。今回、お前の話をしたら、すぐにあの家を買うって言ってくれた。なぜか分かるか?
希志「……」
永瀬「おふくろさんが亡くなって、自分の家族はバラバラになった。そんな思いを二度と息子のお前にも、奥さんにも、悟志君にもさせたくないって。しかも、お前の家を買うのに、おやじさんとおふくろさんが大切にしてきたこの畑を担保にしてくれるそうだ」

 

よく考えると、哲夫に短時間でここまで打ち明けさせた、永瀬の情報を引き出す力は大したものですね。

 

父が先に素直に謝って子の危機を救う展開

 

哲夫は「悪かった。あのとき、母さんが死んで、俺も余裕がなかった、だからついあんなこと……すまなかった」と希志に謝罪。希志も「父さん、ごめん」と返し、15年の確執は氷解しました。

 

結果、希志の自宅は残債の4,500万円で父が購入し、希志の仕事が安定するまで、本来は16万円が相場の家賃を10万円で希志に貸し出す契約を結んでもらうことになり、一件落着です。

 

いちばんもうかったという永瀬、稼いだ仲介手数料の額は?

 

「今回は私情が入りすぎたんじゃねえのか」と大河部長は突っ込みますが、永瀬は「いちばんもうかったのは私です」と胸を張ります。永瀬は相場3,900万円の物件を4,500万円で売却。では永瀬はいったいいくら稼いだのでしょうか?

 

ドラマでは示されませんでしたが、登坂不動産は売主の希志と買主の哲夫から仲介手数料を受け取ったはずです。不動産売買の仲介手数料は宅建業法で上限価格を「売買価格の3%プラス6万円(税別)」と定められています。今回は、(4,500万円×3%+6万円)×2=282万円(税別)が上限価格です。

 

さらに、賃貸借契約まで結ばせました。賃貸の仲介手数料は、依頼者から受け取れる金銭の合計が「賃料の1カ月分に相当する金額以内」と定められていますので、家賃10万円なら上限は10万円です。

 

今回、永瀬は上限292万円の仕事をしたということになりますね。

 

助っ人桐山登場! 原野商法の元締めとは誰?

 

希志の件に先立ち、月下は自分の祖父がなぜ原野商法の狙い撃ちにあったのか調べていました。希志の件で頭がいっぱいだったはずの永瀬は、さすが先輩としてかっこいいところを見せ、月下に黙って助っ人を送り込んでいたのです。それは不動産ブローカーの桐山貴久(演:市原隼人)でした。登坂不動産では永瀬のライバルでした。

 

桐山は月下に不動産会社のリストを手渡します。ここに載っている不動産会社がかつての原野商法の被害者の名簿データを使って再び狙っていて、名簿から名前を消さない限り、永遠に狙われるという桐山。「必ずこういう犯罪には元締めがいる。(名前を)消すには、そいつからデータを取り上げるしかない」と助言しました。

 

永瀬と桐山はなぜ元締めが誰か分かった?

 

希志の件が解決し、場面が変わってとあるスポーツジム。ミネルヴァ不動産の鵤社長(演:高橋克典)がダンベルで腕を鍛えています。すると、向かいのベンチに座り、鵤よりも重いダンベルを持った男性に「奇遇ですね」と話しかけられました。永瀬です。

 

「奇遇ついでに、お聞きしたいんですが、その昔、原野商法という詐欺が流行ったのはご存じですか? そして今、当時の被害者のデータを使い、もう一度だます第二次原野商法が広まっています。あなたその元締めですよね?」

 

「証拠は?」と返す鵤の前に不動産会社のリストが置かれました。桐山です。「酉水(すがい)不動産。鳳凰不動産、フェザーハウジング、カモメエステート……。全ての不動産屋に鳥の名前が隠されてる。あなたがかつてリーダーを務めていた地上げ屋グループも『烏(カラス)』」という名前だったそうだな」

 

押し黙る鵤に桐山は「あなたは自分と関連する仲間に鳥の名前を付けるクセがある。そういえば鵤って名前もアトリ科の鳥の名前だな」とたたみかけます。しかし鵤も「それだけで私を詐欺師と決めつけるのは、いささか強引だ」と反論。永瀬はすでに強風に吹かれています。

 

善良な不動産会社に詫びてください!

 

永瀬「すぐに詐欺に遭った人たちのデータを削除してください。そうしたら訴えるのだけはやめておきます」
鵤「……」
永瀬「私は許せないんです。大多数を占める善良な不動産会社に詫びてください。あなたのような一部の悪徳不動産屋のせいで、世の中の不動産屋のイメージまでもが悪くなっているんです」
鵤「君は違うのか?」
永瀬「私は違います。私は、正直不動産で行きます」
鵤「そんなやり方、この業界で通用するわけがない」
永瀬「いや、通用します。なんせ私は嘘がつけない人間ですから」

 

それにしても新年早々、ドラマで「大多数を占める善良な不動産会社に詫びてください」と言った永瀬の言葉。不動産業界で働く多くの人が胸の空く思いをし、幸先のよいスタートと感じたのではないでしょうか。

 

新キャラ登場で『正直不動産2』へ

 

数日後、街の片隅に座り込んだ路上生活者の前に、100万円の札束が放り投げられました。投げたのは鵤です。「やっと見つけた。俺がお前を救ってやろう。不動産屋に戻ってこい、神木」。神木と呼ばれた男は不敵に笑みを返します。

 

一方、登坂不動産にも異変が。朝礼にいきなりマダムが乱入、「永瀬君に私のお願い聞いてもらおうと思って」と連れてきたのはミネルヴァ不動産にいた十影健人(演:板垣瑞生)でした。「この子、私の大切な子なの。だから、ここで働かせてもらえない?」とマダムは言います。

 

十影「あ、俺、プライベート大切にしたいんで、休日出勤とか時間外労働とか絶対しないっすから」
月下「何、この子? 私、絶対なかよくなれない」
登坂「じゃあ、永瀬。君が教育係で」
永瀬「えええ!」

 

加わった神木と十影、翌週から始まる『正直不動産2』ではどれだけみんなを引っかき回すのでしょうか。今から1月9日放映の第1話が楽しみですね。

 
=(おわり)

 

最後までお読みいただきありがとうございました。『正不動産』監修のREDSエージェントは100% 宅建士

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