小田 俊介(宅建士・リフォームスタイリスト)
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こんにちは。仲介手数料が必ず割引、最大無料の不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の小田俊介と申します。
人気コミックが原作のNHKドラマ『正直不動産2』の第1話が2024年1月9日に放映されました。1話ではタワーマンション(タワマン)がテーマとして取り上げられました。
その前に、今回の配役で主人公の永瀬財地が山下智久さんというのが、本当に、もう、最高にハマってますね! 私自身、この『正直不動産』を漫画で全巻読んでいたので、実写化されたものがどのようになるか興味深かったのですが、原作イメージどおりといった印象でした。
それでは、第1話のテーマとなった「タワーマンション(タワマン)」についてじっくり解説します。
※REDSはドラマの監修も担当しており、当日の放送直後にドラマの内容紹介をいち早くお届けしています。こちらの記事もご覧ください。
(写真はイメージです)
目次
大都市では駅周辺に巨大なタワーマンションがそびえ立っています。ところで、タワーマンションとはそもそも何なのでしょうか。定義はあるのでしょうか。
これについて、ドラマでも永瀬が「明確な定義こそありませんが……」と話していたようにタワーマンション、略してタワマンと呼ばれている建物には法的な基準が定められているわけではなく、その外観と形態から、世間から呼ばれている住居用高層建築物の俗称でしかないのです。
※建築基準法では高さ60mを超えた建物により厳しい構造強度基準を適用していることから、高さ60mを超える建築物を超高層建築とする見方があります。これはタワーマンションの定義ではありませんが、このようなことから、高さ60m超、もしくは地上20階建て以上のマンションをタワーマンションと呼ぶのが通例です。
タワーマンションの特徴として、主なものを8つ紹介します。
眺望と採光、これぞタワーマンションの醍醐味です。とりわけ眺望は高層階へ行けば行くほどメリットが享受できます。低層階でも、共用施設のラウンジや展望スペースなどに行けば、眺望を堪能できるでしょう。「この景色を手にするためにタワマンを買ったと言っても過言ではない」。そんな気持ちになるかもしれません。
タワーマンションの建設には敷地に一定の広さが求められますので、高層建物が林立する地域であっても比較的ゆとりがあります。このため、採光について優れている点も魅力の一つといえます。
タワーマンションのほとんどは居住者が利用できる共用施設を多く備えています。キッズスペースやミーティングスペース、ゲストルーム、フィットネスジムなどのほか、温泉がついたところまであります。ついゲストに自慢したくなってしまうかもしれません。
マンションの低層階は地上から近い位置にあるため、高層階と比べて虫が侵入しやすくなります。虫の中でも蚊やハエなど、飛行する虫が自力で到達できるのは高さ10m程度とされています。10mの高さとは、マンションの3階部分に相当。虫が確実に出ないとはいい切れませんが、4階より上の階になるほどいなくなるといえます。
タワーマンションにはオフィスやホテルと見間違うほどの壮大なエントランスがあり、居住者を見守るコンシェルジュが常駐しているところもあります。こまごまとした要望の窓口となってくれるため、日々の暮らしも快適になります。
タワーマンションの多くで洗濯物を外に干すことを規約で禁じています。洗濯物の干し方は入居前に確認しておきましょう。ほとんどで浴室乾燥機がついていますが、人によってはストレスを感じてしまうかもしれません。
タワーマンションでは朝の通勤通学時間帯に早く建物外へ出たいのに、なかなかエレベーターがやってこないためにやきもきするという経験も珍しくないようです。やってくるまでに時間がかかるだけでなく、各階止まりでエントランスまでたどり着くようだと、5分前後のロスが生じてしまうことだってあるかもしれません。
タワーマンションでは携帯電話やポケットWi-Fiなどの電波がつながりにくい場合があります。基地局の電波は基本的に下向きに流れているため、より高い位置にある住戸には届きにくいとされているからです。また、お部屋からエントランスまでの距離が遠いため、郵便や宅配ボックスに届けられた荷物をわざわざ集合ポストまで取りにいかなければならないのは、高層階の方の中には少々億劫と感じる方もいるでしょう。
タワーマンションの中には地震のときに揺れやすいものがあり、特に高層階は非常に揺れます。これは、建物によっては地震が起きたときにポキっと折れないように、あえて弾力性を持たせた作りになっているからです。また、タワーマンションに限りませんが、地震でエレベーターが止まることもあり、これは高層階であればあるほど致命的です。
現在は法令で非常用エレベーターの設置が義務づけられていますが、未曽有の大災害でライフライン、特に電気が停止すると、非常用電源で稼働するのは一般的に72時間程といわれており、それを超えて復旧が遅れた場合には、生活に大きく支障をきたすこととなります。
以上が、タワーマンションの主な特徴です。
低層マンションは立地や建物のグレード・規模・共用施設などにより、タワーマンションに匹敵、もしくはそれを超える資産価値を有することがあります。
ドラマでも家族がタワーマンションではなく最終的に低層マンションを購入しましたが、ご家族の状況や、ご予算、今後のライフスタイルによって低層マンションのほうが向いているケースも往々にしてあります。ドラマでは奥様の足の状況を考慮して、震災などの万が一をリスクとして判断したようですね。賢明な判断だと思います。
低層マンションの主な特徴を5点、挙げます。
高層マンションと比べると、低層マンションの総戸数は少ないため、住民同士が顔見知りになりやすく、関係性を築きやすいといえます。住民同士が顔見知りになることは、防犯面でもプラスに働きます。どんな人が同じマンションに住んでいるのかわからない環境で暮らすよりも、安心感を得られやすいでしょう。
また、部屋のサイズや間取り、価格などに差が出にくいことから、家族構成が似ている世帯が集まりやすい傾向にあります。このような点も、関係性を築きやすいといえる理由です。ただし、万が一関係性が悪くなった時の気まずさ、過ごしにくさも持ち合わせておりますので、程よい距離感の構築ができることが望ましいですね。
日本は地震大国と呼ばれているほど頻繁に地震が起こりますが、高層マンションなどの高層建築物では「長周期地震動」により長い時間揺れ続ける場合があります(「周期」とは揺れ1往復に要する時間のこと)。低層マンションであれば、高層マンションと比べ揺れが短くなるといえるでしょう。
また、低層マンションでは耐震性に優れた「壁式構造(かべしきこうぞう)」という建築方法が採用されることが多く、地震に強い造りとなっています。壁式構造は、各居室を隔てる壁にもコンクリート壁が使われているので、壁を取り払うような大規模なリフォームはできません。しかし、居室内の壁も利用して建物を支えるため、梁や柱を太くする必要がなくなり、柱や梁の出っ張りが少なくなるメリットもあります。
このほかエレベーターが止まったりライフラインが止まったりしても、地上に近く避難が容易な点も、安心材料として魅力の一つではないでしょうか。
マンションデベロッパー(開発業者)は、一般的に大規模なマンションを人気エリアに建てたいと考えます。そのため、閑静な住宅街に建てられる低層マンションは希少価値が高まる傾向にあり、住環境が整っていることもあって、一定の需要があることが考えられます。
特に、住宅街として人気のエリアでは、築年数が長く経過してもヴィンテージマンションとして価値が高まり、常に購入希望者を抱えるマンションに成長する例もあります。一定数の需要がある反面、新築の低層マンションの供給が少ないことから、希少性が高いため、立地にもよりますが、売却しやすく資産価値を保ちやすいというメリットがあります。
高層マンションからの眺望のように、街全体を遠くまで眺めることは難しいかもしれません。ただ、低層マンションが建てられることが多い「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」は、緑が多い傾向にあります。落ち着いた雰囲気を感じたい方なら、デメリットには感じないでしょう。
供給戸数が少ない低層マンションでは、デベロッパーの収支の兼ね合いから、そもそも共用施設があまり多くないものが一般的ですが、中には、コンシェルジュサービス付きの低層マンションもあります。しかし、それらの費用は毎月支払っているマンションの管理費から出されているため、供給戸数(総世帯数)が少ない低層マンションでは、1住戸あたりの管理費が高くなる傾向があります。
以上、ドラマ『正直不動産』のテーマになったタワーマンションと低層マンションについて考察してきました。結論としては、メリットとデメリットは表裏一体のため、どっちがいいとか悪いとかはありません。ご家族構成や諸々のご状況、今後のライフプランなどを踏まえ、どこのエリアにするのか、タワーマンションを選ぶのか、それとも低層マンションにするのかをご判断いただければと存じます。
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引き続きよろしくお願い申し上げます。