不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2022年4月12日
  • 公開日:2022年3月24日

不動産のプロがすすめる「専任媒介」

不動産を売却する際、不動産会社に売買の仲介(媒介)を依頼するのが一般的です。何となく価格査定を依頼するところまではわかっていても、その後の流れはご存知でしょうか?

 

仲介を依頼する場合は、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。その種類は3つ。基本的に依頼者が選べますが、どの媒介が自分に合っているかを判断するのは難しいことです。

 

今回は媒介契約のメリット・デメリットを依頼者側、不動産会社側の両視点から解説していきます。

 

不動産契約

(写真はイメージです)

 

媒介契約は3種類

 

媒介契約には3種類ありますが、その内容は下記のとおりです。

 

(1)一般媒介契約……簡単にいうと何社にでも売却の依頼ができる契約です。
(2)専任媒介契約……不動産会社1社のみに依頼する契約です。ただし自分が買主を見つけた場合は、その不動産会社を介さず売買できます。
(3)専属専任媒介契約……専任媒介と同じく不動産会社は1社のみに依頼する契約です。違う点として、自分で見つけた買主がいても、その不動産会社を介して売買契約をしなければなりません。

 

それぞれの特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

 

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる不動産会社 複数の不動産会社と契約可能 契約できるのは1社のみ 契約できるのは1社のみ
不動産流通機構への登録 登録する義務なし(依頼は可能) 7日以内に登録の義務あり 5日以内に登録の義務あり
販売状況の報告 定めなし 14日に1度以上の報告義務あり 7日に1度以上の報告義務あり
自己発見の買主 不動産会社を介する必要なし 不動産会社を介する必要なし 必ず不動産会社を介する必要あり
媒介契約期間 定めなし。一般的には3カ月程度。更新可 最長で3カ月。更新可 最長で3カ月。更新可

 

物件を売るときも買うときも不動産の仲介取引では、不動産業者専用情報システムのレインズを中心に行われています。だからこそ不動産売買を成功させる最大のポイントは、レインズを徹底的に活用することに尽きます。

依頼者側のメリット・デメリット

 

媒介契約には、それぞれメリット・デメリットがあります。まずは、これらを把握して自分に合った契約方法を探しましょう。

 

(1)一般媒介契約

 

複数の不動産会社に依頼できるので、多くのお客様に広く紹介してもらえる可能性があります。また、大手不動産会社と、地元で有名な不動産会社どちらに依頼するか迷った場合などは、両社へ売却依頼することができます。

 

デメリットは、内見の連絡や、同時に購入申込みが入った場合に、ご自身で調整しなければならないことです。これが案外難しいものです。各不動産会社から内見の約束がバラバラに入ると、終日在宅していなければならなかったりします。また購入申込みに関しても、同時に連絡があった場合、購入希望価格や条件が違うと、ご自身でどちらと売買契約を結ぶか判断しなければなりません。

 

さらに販売状況の報告義務がないため、売出し期間が長くなった場合、不動産会社からの連絡が疎遠になる可能性があります。

 

(2)専任媒介契約

 

一般媒介契約と大きく異なるのは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構(レインズ)に、物件情報を7日以内に必ず登録してもらえることです。この物件情報を見て、他の不動産会社も、媒介契約を結んでいる不動産会社を通して内見や購入申込書を入れられます。すなわち窓口が一本化し、物件情報が拡散されます。

 

販売状況も14日に1回のペースで報告する義務もありますので安心です。また不動産会社は単独で販売活動を任せられる訳ですから、積極的に取り組んでくれるでしょう。広告をする場合も一般媒介の他の物件よりも優先される可能性が高くなります。

 

デメリットは1社に絞らなければならないことです。そのため、どこに依頼するのかが重要になります。依頼してみたら「自分と合わなかった」なんてことがないように、事前の打ち合わせでよく確認する必要があります。

 

(3)専属専任媒介契約

 

専任媒介契約の条件をさらに厳しくしたのが専属専任媒介です。国土交通大臣が指定する不動産流通機構(レインズ)に、物件情報を5日以内に必ず登録してもらえるので、より早く他の不動産会社の目に触れることになります。また販売状況は7日に1回のペースで報告する義務がありますので、より詳細な活動を把握できます。

 

デメリットとして、親戚や知人が購入したいときでも、必ず不動産会社を介さなければなりません。双方にとって制限や義務を重くしたイメージです。バブルの頃は不動産の取引も盛んで、不動産会社同士の競争も激しかったため、不動産会社が専属専任媒介を提案するケースが多かったようですが、最近ではバランスのよい専任媒介を提案されるケースがほとんどです。

 

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
メリット 複数の不動産会社に依頼できるので、多くのお客様に紹介してもらえる。比較もできる。 レインズに必ず登録してもらえるので、物件情報が拡散される。販売状況の報告がある。 レインズに必ず登録してもらえるので、物件情報が拡散される。販売状況の報告がある。
デメリット 窓口が複数になり、自分で管理・判断する必要がある。販売状況の報告義務なし。 窓口は1つしかないので、不動産会社の販売活動の比較ができない。 自分で見つけた買主がいても必ず不動産会社を介さないといけない。
どのような人に向いているか 比較的時間に余裕があり、複数の不動産会社とやり取りするのを負担に思わない人。 1社に任せて安心したい。知人や親戚などが買主になる可能性にも担保しておきたい人。 1社に任せて安心したい。自分で買い手を見つける可能性がない人。

 

媒介契約を不動産会社の立場で考える

 

ここまで売主の立場からメリットとデメリットを考察してきましたが、不動産会社、営業マンの立場で考えると、どの媒介契約がよいのでしょうか?

 

(1)一般媒介契約

 

他社が先に買主を見つけて成約に至った場合、仲介手数料は成功報酬のため、どんなに頑張ったとしても手数料はゼロです。もちろん一般媒介だから頑張らないことはありませんが、営業マンも人間です。専任媒介よりもテンションが低くなることは否定できません。また、広告費があまりかけられない可能性もあります。

 

(2)専任媒介契約

 

複数の不動産会社の中から媒介契約を結ぶ1社に選ばれた訳ですから、営業マンも「頑張ろう!」とテンションが上がるはずです。また不動産会社としても仲介手数料が入る可能性が高いため、広告費をかけることもできます。また不動産会社の持つ他の一般媒介の物件よりも優先される可能性があります。

 

(3)専属専任媒介

 

知人や親戚が買いたいと申し出る可能性はきわめて低いため、不動産会社にとっては専任媒介も専属専任媒介も大差ありません。専任媒介と同等と思ってよいでしょう。

 

プロのおすすめは「専任媒介」

 

物件の特性やご自身の好みによって向き不向きはありますが、私がおすすめする媒介契約は「専任媒介」です。一般媒介は、多くのお客様に紹介してもらえるイメージが強いのですが、不動産会社はもちろん、今は一般のお客様もネットで情報を検索します。お客様が物件をネットで探して、不動産会社に「紹介してください」と逆に依頼するケースがあるぐらいです。

 

専任媒介だからといって紹介できるお客様が少ない訳ではないとすると、依頼する不動産会社がより頑張ってくれそうな専任媒介で依頼するのが一番お得だと思います。もちろんどの媒介契約であっても、どこの不動産会社に依頼するかが重要になりますので、よくご相談した上でご依頼ください。

 

 

桜木理恵(宅地建物取引士)
大学4年時に宅地建物取引士に合格。新卒で私鉄系不動産会社に入社し、約8年間売買仲介担当として従事。その後出産・子育てのため、大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身。ほかに信託銀行にて不動産調査、不動産管理会社にてPM経験あり。保有資格は2級ファイナンシャル・プラニング技能士(AFP)。

 

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