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  • 最終更新日:2021年12月11日
  • 公開日:2021年12月3日

住宅ローン控除を中古住宅購入に適用する方法とは? 要件や上限・期限を解説

住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、住宅ローン利用者の金利負担の軽減を図るための制度です。従来から定着していて、利用者も多いのですが、長期優良住宅の普及や消費税増税など社会状況の変化に応じてマイナーチェンジが繰り返されています。

 

2021年は、13年の特例期間が延長され、床面積の小さな住居も対象となったことが大きな変化です。どのような変化なのか、中古住宅購入で適用される要件などを詳しく解説します。

 

住宅ローン

(写真はイメージです)

 

住宅ローン控除とは

 

住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンを借りてマイホームを新築・購入、増改築などをする人が、年末調整もしくは確定申告をすることによって、年末(12月31日)時点での住宅ローン残高の1%が、最長10年にわたって所得税から還付されるという制度です。所得税だけで控除しきれない場合は、住民税からも控除が受けられるという、ありがたいものといえます。

 

従来の住宅ローン控除の要件

 

住宅ローン控除を受けられるためには、さまざまな要件があります。具体的に見ていきましょう。

 

控除額

 

これまでは毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除するものでしたが、2019年(令和元年)10月に消費税率が引き上げられたことによって一時的に控除期間が13年間に拡大されました。2021年現在もその措置は継続されています。3年間で最大80万円の税金還付があります。

 

居住要件

 

住宅ローン控除を受けるためには、その家に自ら居住することが必要です。不動産投資などの目的のために所有するものには適用されません。住宅の引渡しまたは工事の完了から6カ月以内に、自ら居住しなければなりません。

 

住宅要件

 

床面積が50㎡以上(一部、40㎡以上)の住宅が対象です。中古住宅の場合は、築年数が一定以下か、所定の耐震性能を有していることが求められます。中古住宅の要件については後述します。

 

年収要件

 

その年の合計所得金額が3,000万円以下である人が対象です。その年ごとの所得で判断します。

 

返済期間要件

 

住宅ローンの借入金の返済期間が10年以上である場合が対象です。

 

中古住宅の適用要件とは

 

中古住宅の場合、住宅要件がより細かくなるので注意が必要です。特別に厳しい要件というわけではありませんが購入検討段階で住宅ローン控除の有無を判断できるよう、しっかりと確認しておきましょう。適用要件を端的に言えば「耐震性能を有していること」です。「築年数」もしくは「耐震基準」で判断できます。

 

■築年数基準

築年数が一定年数以下であると基準を満たします。基準は耐火建築物とそれ以外の場合で異なります。

 

・耐火建築物以外の場合(木造など):20年以内に建築された住宅であること
・耐火建築物(鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート造)の場合:25年以内に建築された住宅であること

 

■耐震基準

下記のいずれか1つを満たしていれば、耐震基準を満たします。

 

・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
・既存住宅売買瑕疵保険に加入

 

上記のうち「築年数基準」「耐震基準」のどちらかを満たせば住宅ローン控除の要件を満たします。

 

2021年の改正点は

 

2021年の改正点のうち、押さえておきたいポイントを紹介します。

 

特例期間の延長

 

住宅ローン控除の適用期間は「10年」が基本ですが、「13年」に延長されています。既述のとおり、2019年(令和元年)10月に消費税率が引き上げられたことによって一時的に期間延長されたものです。当初の延長期間は終了しているのですが、新型コロナウイルスの影響を考慮して特例期間が延長されました。

 

ただし、適用を受けるための「契約期限」と「引渡し・入居期限」に注意しましょう。

 

■契約期限

・新築住宅の場合:2020年(令和2年)9月末日まで
・分譲住宅の場合:2020年(令和2年)11月末日まで

 

■引渡し・入居期限

・2021年(令和3年)12月31日まで

 

注意したいのが、個人間売買の中古物件購入に関しては「13年の特例期間」の対象外です。「13年の特例」は消費増税が原因でつくられたものですが、売主が個人の場合、消費税が発生しないからです。不動産仲介会社を利用するなら問題ありません。

 

中古マンションで「13年」の住宅ローン控除の適用を受ける場合は、購入対象が個人間売買ではなく、かつ、2021年11月末までに契約し2022年12月末までに入居することがポイントになります。

 

床面積要件の緩和

 

住居要件として床面積の基準があります。原則は床面積が50㎡以上でしたが、以下の要件を満たせば40㎡以上でも住宅ローン控除を受けることができるようになりました。

 

・合計所得金額が年間1,000万円以下に限り、40㎡以上でOK
・入居期限は2022年(令和4年)12月31日

 

注意したいこととして、マンションの床面積が壁や柱などの内側部分を測る「内法(うちのり)」の面積であることです。壁の中心線を結んだ「壁芯」の面積ではないのでよく確認しましょう。

 

床面積要件の緩和については、住宅購入時に所定の給付金を受け取れる「すまい給付金」においても共通です。床面積要件が緩和されることで「住宅ローン控除」「すまい給付金」がダブルで要件を満たす可能性があります。

 

住宅ローン控除の改正で恩恵を受けやすいのは

 

2021年における改正点の恩恵を紹介します。

 

特例期間の延長について

 

住宅ローン控除の期間が延長されたことで、より大きな控除を受けることが期待できます。所得税額や購入金額により控除額は異なりますが、最初の10年間は最大400万円、11~13年目は最大で80万円の控除が受けられます。つまり上限は480万円になります。

 

床面積要件の緩和について

 

単身者やDINKs世帯がマンションを購入する場合、住宅が50㎡未満であるケースもあるでしょう。年収要件をクリアできれば物件選びの幅を広げることができます。

 

以上のように、住宅ローン控除に適用要件はありますが、中古物件でも所定の要件を満たせば対象となります。2021年は特例期間が延長され、床面積の要件も緩和されました。今まで欲しい物件が対象外であった人には朗報です。ただ、期限は迫っていますので、急がれた方がいいでしょう。

 

 

横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)  
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)

 

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