不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月13日
  • 公開日:2016年7月11日

2016年の宅建業法の改正で不動産業界は変わるのか

不動産や住宅などの取引を規定する法律で、「宅地建物取引業法」という法律をご存じでしょうか。略して、「宅建業法」(たっけんぎょうほう)と呼ばれているものです。不動産の売買の規定にかかわる重要な法律ですが、この宅建業法を一部改正する法律案が5月27日に国会で成立しました。

 
従来と比べ、どのような点が改正されたのでしょうか。気になるその内容から、今後の不動産市場に及ぼす影響まで、不動産業界に詳しい三平聡史弁護士に、不動産流通システム(REDS レッズ) 代表取締役の深谷が伺いました。

 
2016年の宅建業法の改正で不動産業界は変わるのか_01
 
○弁護士法人 みずほ中央法律事務所・司法書士法人 みずほ中央事務所
代表弁護士 三平聡史氏
1973年生まれ。早稲田大学理工学部資源工学科卒業後、学習塾で講師をしながら法律学を学び、2000年(旧)司法試験合格。2007年弁護士法人 みずほ中央法律事務所・司法書士法人 みずほ中央事務所開設、現在は同事務所代表弁護士。主な著書に『Q&A事業承継に成功する法務と税務46の知識』『会社法対応 株主代表訴訟の実務相談』などがある。

 
聞き手:株式会社不動産流通システム 代表取締役 深谷十三
2008年株式会社不動産流通システムREDS設立。開業当初より運営の合理化を徹底し、仲介手数料を最大無料とする独自の料率を設定し、宅建士と宅建マイスターの資格保有者によるエージェント制での仲介サービスを展開している。

 

2016年5月の宅建業法改正のポイント

 
三平氏:改正案のポイントは、大きく分けると3つあります。1つ目がインスペクション(建物状況検査)の活用。媒介契約締結時に、売り主に対してインスペクションの意向を確認し、斡旋することを宅建業者に義務付けます。2つ目が、その検査結果の情報開示。契約の際に介在する仲介業者は、検査結果を重要事項説明書に記載しなければなりません。3つ目は、買い主が確認した情報の特定化。検査結果を書面で交付した上で売買契約締結時に、後から「これは聞いていない」などと不明瞭なことが起きないための措置です。
 
図1・宅建業法の改正内容(概要)
 
2016年の宅建業法の改正で不動産業界は変わるのか_02
 
(出所:国交省「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」「法律の概要」より抜粋)
 
そもそも改正することになった理由としては、年々増え続けている空き家問題や、自社内で情報を抱え込んで他社に照会しない、いわゆる「囲い込み」など、すでに不動産業界にはびこる問題点がいくつもあり、結果として中古不動産流通市場の停滞につながっているわけなので、その解消法の一環として今回の改正案は位置付けられているはずでした。
 
この法改正の背景にあった昨年、自民党の小委員会でまとめられた提言の中には、たとえば、すでに法律で禁じられている「囲い込み」の罰則強化や、不当な情報格差を生み出しているレインズ(不動産流通標準情報システム)(※)のルールの抜本的改善などが盛り込まれていました。ですが、フタを開けてみたら、それらにはほとんど触れられておらず、問題解消にはかなり不十分と思われます。
 
(編集部注:レインズ(REINS)とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通の標準情報システムです)
 

インスペクションで浮かび上がる問題

 
深谷:私は、インスペクションの活用が一般に定着するまでにはしばらく時間がかかると思います。なぜなら品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律。1999年成立)以前の戸建て住宅は、工務店や大工さんの感覚だけでつくられたものが多く、建物にとって大切な基礎や主要柱の強度・雨じまいなどの性能は品確法の実施後のものとは大きく違います。また、一律の基準でインスペクションを行った場合、建物によってはアラばかり出てきて、持ち主が落胆してしまうのではないでしょうか。もちろん、家を売るならば買主に対して正しく現状を伝えることは大切です。ただ、20年もすると建物の価値を認めない現在の不動産価格査定であるならば、インスペクションは品確法実施後の建物から始めるべきではないでしょうか。
 

インスペクションは誰がやるのか

 
深谷:今回の法改正の概要資料で、現在4兆円の中古住宅流通の市場規模を、平成37年までに倍の8兆円を目指すと公表されています。ただ、この数字が達成できるかどうかはかなり疑問です。改正案を提言していた人たちは、実際に売買仲介をしているわけではないので、机上の空論なのではないでしょうか。インスペクションの活用は、今後の不動産業界発展のためには大切ですが、見切り発車に思えてなりません。
 
三平氏:昨今、問題点が明るみに出た「民泊ビジネス」と同じですね。法律の整備が間に合っておらず、実例が出てから、建築基準法に違反する点はどうするのか、といった議論になっています。
 
深谷:この法律は既に国会で成立しているので、来年からインスペクションの活用が開始されます。インスペクションの実施自体が義務付けられるわけではなく、売り手に対してインスペクションの意向を確認することが義務付けられるということなので、売り手が「やりたいならやる」という形ではありますが、それでもインスペクションを実施する業者の人数は絶対的に足りないですよね。
 
三平氏:既存の住宅診断士の他に、今まで建築側にいた方々が移行するのでしょうか。
 

売買仲介の現場でインスペクションがついていけるか

 
深谷:ところで、この法律を考えた人たちは、実際の売買仲介の現場を知っているのでしょうか。たとえば、人気の高い地域の物件などは、販売を開始してから一週間で買主が見つかることも珍しくはありません。売主にも買主にもそれぞれの事情があるので、インスペクションの順番待ちだからと言っても、引渡し・決済をいつまでも先延ばしできません。少ない人数の検査員で、このスピーディな動きに果たしてついて来れるのでしょうか。
 
三平氏:一時的には不足するかもしれません。ただ、インスペクションを希望する顧客が増えれば、需要と供給のバランスが働き、その役目を担おうという方が増えてくるでしょう。
 
深谷:一般社団法人 不動産流通経営協会(FRK)には、大手や中堅の住宅・不動産会社が会員として加盟しているので、それなりの受け皿は用意するでしょう。でも、実際は多くの不動産売買を中小零細の会社が行っているので、かなり現場が混乱するような気がします。
 
三平氏:インスペクションサービス自体の競争がどのように起こるか、注目ですね。既存のインスペクション業者にとって、インスペクションが法に盛り込まれることは悲願だったと思いますが、新規参入の人たちにとっては、業界団体に阻まれる可能性があるかもしれないということですよね。
 
(つづく)
 

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