インターネット上でサービスを提供するネット銀行は現在、国内に7社あります。今後も参入が予定されていて、利用者はさらに増えると予想されています。そんなネット銀行は、住宅ローン金利が低い傾向にあることから、住宅ローン商品にも注目が集まっています。従来型の銀行とは異なるネット銀行ならではの注意点もあるため、申し込みをする前に特徴を把握しておきたいものです。ネット銀行の住宅ローンにおけるメリットとデメリット、さらに注意点について解説します。

 

住宅ローンとネット銀行

(写真はイメージです)

 

ネット銀行とは

 

ネット銀行の概要について、従来型の銀行と比較しながら説明します。

 

両者の大きな違いは実店舗の有無です。従来型銀行は店舗を設けており、銀行員と対面での手続きが可能です。住宅ローンに限らずサービス利用時に不安や疑問を直接尋ねることができますので、安心感は大きいでしょう。

 

一方、ネット銀行は原則として実店舗はありません。ただ、電話やチャットなどでのサポートを受けることは可能ですし、振込・振替、残高照会といったサービスをインターネット上でいつでも行うことができます。また全国のATMと提携しているので現金の出し入れに不自由することも少ないでしょう。さらにネット銀行は預金利率が高い傾向にある点も特徴です。

 

ネット銀行の住宅ローンのメリットは

 

ネット銀行の一般的なメリットを5つ紹介します。

 

ネット銀行のメリット5つ

 

(1)金利が低い

 

ネット銀行のメリットとして第一に挙げられるのは、住宅ローン金利が低いことです。金利は返済額にダイレクトに影響するため、住宅ローン選びにおいて最重要項目です。

 

(2)保証料がかからない

 

従来型銀行では通常、住宅ローンを組むとき「住宅ローン保証料」を請求されます。かつては連帯保証人をとっていたものを保証会社に料金を支払うことで債務を保証するもので、金利上乗せ型の場合は0.02%程度が返済金利に上乗せされ、一括前払い形式であれば数十万円単位で支払いが発生します。ただ、従来型でも住宅金融支援機構と民間提携のフラット35では、原則的に保証料は無料です。

 

ネット銀行の住宅ローンにはこの保証料がありません。

 

(3)印紙税が不要

 

従来型銀行では金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)を紙の書面で締結することが通常で、借入金額に応じて2万~6万円の印紙税がかかります。ネット銀行は紙による書面を作らないため、印紙税がかかりません。

 

(4)団体信用生命保険(団信)の保障が手厚いことがある

 

住宅ローンには契約者が死亡したり高度障害に陥ったりしたとき、残債の支払いが不要になる団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的です。ネット銀行にはこの団信の保障が手厚い商品が多いのが特徴です。

 

従来型銀行は死亡や高度障害といった基本的な保障は無料ですが、それ以上の保障をつけるには保険料が別途かかります。住宅金融支援機構のフラット35の「新3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)付機構団信」の場合、0.24%の金利が上乗せされます。

 

一方、ネット銀行の団信には、保障範囲を特定の疾病時や入院時にまで広げているにもかかわらず、保険料が上乗せされないものが多いです。

 

(5)利便性が高い

 

インターネットでの手続きが可能なので、返済中に「繰り上げ返済がしたい」「返済方法を変更したい」などのニーズが発生した場合にも、インターネットで手続きが可能です。

 

ネット銀行の団信 事例で紹介

 

ネット銀行には実際にどのような住宅ローンがあるのでしょうか。「金利」と「団信」に着目して3例を紹介します。団信については無料で付帯されるものを紹介しています。

 

〈ネット銀行A社〉…変動金利・年0.44%、固定金利(20年)・年1.29%、団信

 

「全疾病保障」が対象で、内容は次のとおりです。
・疾病や傷害で「就業不能状態」になった場合、月々の返済が一定回数(最大36回)免除される
・就業不能状態が一定期間を超えると住宅ローン残高が0円となる
・女性がガンと診断された場合に30万円の給付金が受け取れる「ガン診断給付金特約」も付帯

 

〈ネット銀行B社〉…変動金利・年0.41%、固定金利(20年)・年1.005%、団信

 

ガンと診断されたら住宅ローン残高が半分になります。また、ケガ・疾病による入院保障は次のとおりです。
・入院日数が31日以上になると月々の返済が保障される
・継続入院日数が180日以上になると、住宅ローン残高が0円となる

 

〈ネット銀行C社〉…変動金利(借換)・0.380%、固定金利(10年)・0.599%、団信

 

ガンと診断されたら100万円の給付金が受け取れます。さらに、先進医療を受けた際の治療費について1回あたり500万円を限度(通算1,000万円まで)に保障します。
※原則として精神障害による就業不能や入院は対象外。また、2021年4月16日時点の情報です。

 

ネット銀行の住宅ローン デメリットと注意点

 

金利や諸経費の面でメリットが多いネット銀行ですが、注意すべき点もあります。

 

ネット銀行のデメリット

 

(1)審査が厳しい傾向

 

ネット銀行は住宅ローン審査が厳しい傾向にあるとされています。一概には言えませんが、対面で話を聞いたうえで審査を行う銀行の方が個別事情を考慮しやすく、対面ではないネット銀行では、最初からハードルを高くしているのかもしれません。適用金利は最終的には審査によって決定します。低い金利が魅力のネット銀行ですが、想定よりも適用金利が高くなることも考えられます。

 

(2)書類に不備があるとやり取りに時間がかかる

 

ネット上からスピーディーに手続きできるのがネット銀行のメリットですが、書類に不備があった場合はかえって時間がかかる可能性があります。書類不備の連絡を受け、データを再送信する必要があるからです。対面であればその場で書類を確認してもらえるため、後に不備を指摘されることは少ないでしょう。

 

(3)自分で手続きを理解しなければならない

 

住宅ローン手続きの多くを自身で進めなければなりません。疑問点はチャットや電話で解消できますが「何をどう聞いていいのか分からない」「認識が違っていることに気付いていなかった」ということもあるかもしれません。この点、従来型銀行では手取り足取り教えてくれます。

 

ネット銀行の注意点

 

ネット銀行では、保証料がかからないケースが多いのですが、その一方で多くの場合、事務手数料が従来型の銀行よりも高いことがあります。金額は定率制で「借入額の2.2%」程度、定額制で「税抜き30万円」程度です。

 

また、従来型銀行も低金利化は進んでいます。ネット銀行の金利は従来型銀行よりも低い傾向にあることは事実ですが、とりたてて大きな差があるわけではありません。従来型銀行でも金利が1%を切るものがありますので、「それだけ低ければ従来型銀行でも十分」と考える人もいるかもしれません。

 

手厚い傾向にある団信についても、詳細をよく確認することが重要です。もともと団信は健康状態に問題がない人が対象です。無料で手厚い保障を付けられる団信は、さらに「50歳未満」といった年齢要件が設定されているものがあります。

 

また、保障の免責事項もよく確認しましょう。「免責事項」が重要なのはネット銀行に限りませんが、対面での契約であれば質問すれば済むところを、ネット銀行では自身で内容を把握していかなければなりません。

 

ネット銀行はメリットとデメリットを見極めて利用しよう

 

これまで述べてきたことをもう一度整理すると、ネット銀行の住宅ローンが向いているのは第一に金利を重視する人です。さらに、自身で住宅ローンの諸経費や団信の内容について調べるのが苦にならず、インターネットでのやり取りにも抵抗がない人といえるでしょう。

 

また審査が厳しい傾向にあるため、「収入に対して返済額の割合が低い」「頭金を多く入れられる」といった人はより向いています。万が一審査に通らなかった場合のために、従来型銀行の住宅ローンも併せて検討していくとよいでしょう。

 

 

横山晴美 
2013年にFPとして独立。お金の不安を抱える人が、自分自身で問題を解決できるよう、お金の基礎知識を底上げするための啓発活動を行う。WEBコラム・セミナーなどで家計や住宅ローンなどお金について幅広い情報を発信している。