住んでいるマンションを売却しようと考えたとき、いくらで売れるのかが最も気になるところだと思います。多くの人が、「マンションは古くなるほど安くなる」、すなわち築年数と価格下落率は完全な相関関係にあると考えているでしょう。それは一面ではありますが、必ずしもそうではありません。築何年くらいのマンションが最も売れやすく、最も買われやすいのか、それは明確な答えがあります。

 

マンション売却価格

(写真はイメージです)

 

中古マンションの価格下落が最も大きいのはどの年数段階?

 

マンションの価格査定は不動産会社がやってくれますが、それまでに自分でおよその値段をつかんでおいたほうが、その先のプランも立てやすくなります。

 

マンションの古さと価格下落はある程度の相関関係にありますが、築年数だけで決まるわけではありません。詳しく見ていきましょう。

 

築年数と価格下落率について、東京のマンションのデータを引用します。

 

築年 物件価格
(万円)
面積
(㎡)
㎡単価
(万円)
価格下落率
築0~5年 6,190 64.2 96.5
築6~10年 5,500 61.8 89.0 ▲7.7%
築11~15年 5,180 66.5 77.9 ▲12.4%
築16~20年 4,493 66.1 68.0 ▲12.7%
築21~25年  3,657 63.3 57.8 ▲15.0%
築26~30年 2,426 54.00 44.9 ▲22.3%
築31年~ 2,391 44.9 47.9 +6.7%

 

出典:首都圏のマンション価格REINS TOPIC)を元に、独自算出しています。

 

首都圏の下落率と㎡単価は下記のとおりとなります。

 

築年 ㎡単価
(万円)
価格下落率
築0~5年 84.7
築6~10年 74.4 ▲12.2%
築11~15年 60.2 ▲19.0%
築16~20年 56.7 ▲5.8%
築21~25年 48.5 ▲14.4%
築26~30年 31.1 ▲35.8%
築31年~ 32.6 +4.8%

 

築年数ごとで下落率は大きく違うことがわかります。

 

新築マンションに1秒でも住むと、売却するときは中古マンションとなります。そのとき、状態は新築とほぼ同じであっても、価格は一気に10~15%くらい下がります。新築にそれくらい高い価値がついているわけで、これを「新築プレミアム」といいます。

 

下落率は築30年まで伸びていき、そこでいったん下落は止まります。その後、プラスに転じますが、それはリフォームやリノベーションをして売却することしている場合が多いためと考えられます。

 

下落の度合いについては、築15年でいったんやや下落が止まり、築25~30年の間で大きく価格が落ちる。これが一般的なマンションの価値下落の特徴です。

 

各築年段階の特徴

 

築5年ごろまで

 

新築~築浅という分類になります。この時期に売却されるケースは少なく、新しくきれいなので売却はしやすいです。ただし、新築プレミアムが剥がれてしまい、状態に比べて大きくなる価格下落度に納得できない人も多いかもしれません。売却はしやすいですが、オススメできる時期ではありません。

 

築10年前後

 

築10年前後ではまだ古くなった感じはしません。価格も新築より大幅に安くなるため、人気が高くなります。建物構造の寿命やローンの組みやすさなどを考慮すると、最もバランスのとれた築年数と考えられます。

 

築10年以内の物件は、住宅ローンが35年で組めることが、買う側にとって大きなメリットとなります。その理由は、住宅ローンの返済期間は物件の法定耐用年数内と決められているからです。多くのマンションは鉄筋コンクリート造で耐用年数は47年です。このため、築12年以内だとローンの返済期間の最大となる35年で組むことができます。

 

また、マンションでは12~15年周期で大規模修繕が行われることが多く、このタイミングで修繕積立費が上がってくることもあります。築10年のマンションというのは修繕積立金が上がる前ですから、売却を検討するにはいい時期といえます。

 

このため、売る側にとっても買う側にとっても築10年前後はベストといえます。

 

築15年前後

 

築15年前後のマンションは、設備面では築10年前後のマンションと大差ありません。ただし、前述した大規模修繕工事を実施した後のため、小規模のマンションなどでは修繕積立費用が上がりやすい半面、売却価格は下がってきます。この辺りまでであれば、売却は容易に進みます。

 

築20年前後

 

築年数が20年前後になると、売却価格の下落ペースは緩やかになり、リフォームの有無や保存状態、立地などによって下落幅が大きく変わってくる時期になります。新耐震基準でマンション構造はまったく問題ないので、価格を重視する買い手には需要があります。

 

ただし、築25年を超えると住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)適用のためには一定の条件が必要にもなってくるので、マンション販売に熟知した不動産会社を選ぶなど、売却方法に工夫が求められます。それでも、建物構造の寿命やローンの組みやすさなどを考慮すると、バランスのとれた築年数と考えられます。

 

築30年前後

 

鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は47年のため、築30年のマンションはまだ十分に稼働できます。大規模修繕などメンテンナンスがしっかり行われ、管理態勢が整っていれば売却は可能です。特に立地がよかったり、造りが特徴的な人気のマンション、ビンテージマンションでリノベーションされているものだったりすると、むしろ「安いのにステキ」となることもあります。

 

注意が必要なのは、30年住み続けると見た目も設備の機能もボロボロになります。高く売ろうとすると、リフォームもしくはリノベーションをする必要があります。ただ、退去してからでないと工事ができないため、資金的に難しければ中古マンションの買い取り専門業者に買い取ってもらうとすぐに現金化できるというメリットがあります。

 

下落率が少ないマンションの特徴

 

以上のように、築年数で価格下落の大まかな目安がありますが、下落を食い止める要素もあります。

 

(1)ほどよい駅近マンション

 

総じて、適度な駅近(5~7分程度)はマンション価格が下がりにくい傾向にあります。

 

繁華街を外れ、住宅街に入るくらいのちょうどいい立地の場合は利便性と居住性を兼ね備えています。希少性が高く、人気のため相場より高くても売れやすくなります。また、購入検討層が広いため投資用の用途としても需要が高く、買われやすいのです。

 

(2)ブランドマンション

 

プラウド、ブランズ、パークハウス、パークホームズなど、大手不動産会社が分譲しているブランドマンションは、その信頼性から売却価格が落ちにくい傾向にあります。ブランドマンションは好立地に建つケースも多く、規模も大きいため、修繕積立費が安定しているという点も価値の下落率が低くなる理由といえます。

 

どれくらいで売れるかを知っておけば今後の計画が立てやすい

 

どんなマンションであっても売れないということはありません。それなりの価格がついて、最後には必ず売れます。しかし、売るからには高く売りたいという人がほとんどでしょう。そのときになって査定価格にガッカリしないように、駅からの距離やマンションのタイプ、築年数、マンションのブランドなどを把握しておいて、どれくらいの価格になりそうなのかを知っておきましょう。

 

 

松村隆平
中央大学法学部法律学科卒。新卒で住友電気工業に入社し、トヨタ自動車向けの法人営業、および生産管理に従事。その後、株式会社ランディックスに入社し不動産業界に転身。その後同社のIPO準備責任者となり、経営企画室長を兼任。2019年に東証マザーズへ上場、2021年に執行役員。
趣味は司馬遼太郎の小説を読むこと。経営学修士(MBA)、認定IPOプロフェッショナル、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、統計調査士。