2021年10月31日までに住宅を購入したり、リフォームを行ったりすると家電や家具などの商品と交換できる「グリーン住宅ポイント」が受け取れる制度が始まります。新築物件の購入ならば最大で100万ポイント(1ポイント1円)がもらえる太っ腹な制度で、テレワークスペースの設置やウイルス拡散防止工事など「新たな日常」に対応したリフォーム工事でもポイントはもらえます。コロナ禍を機に、住宅購入やリフォームを検討しているなら知っておきたい「グリーン住宅ポイント」を解説します。

 

グリーン住宅ポイント制度

(写真はイメージです)

 

グリーン住宅ポイント制度の概要

 

グリーン住宅ポイント制度は、コロナ禍における住宅需要を刺激することを主な目的としています。加えて、エコ住宅の普及推進や、防災性の高い住宅推奨など、時代をとらえた内容も含まれています。

 

グリーン住宅ポイント制度が受け取れるのは「購入(新築・中古)」「リフォーム」「賃貸住宅」で所定の要件を満たした場合で、それぞれ次のとおりです。

 

●新築購入:所定の省エネ性能を有する住宅であること。また条件に応じてポイントの加算がある
●中古住宅購入:購入する住宅が「空き家バンク登録住宅」である、災害リスクが高い区域から移住するために中古住宅を購入する、など
●リフォーム工事:省エネ性を向上させる、バリアフリー化、耐震性の向上など
●賃貸住宅の建設:すべての住戸の床面が40㎡以上の共同住宅であることや、建築物省エネ法に基づく所定の省エネ水準に適合する共同住宅である、など

 

グリーン住宅ポイントをもらうには、単に住宅の購入やリフォームをするだけでは足りず、制度目的に適合する必要があります。制度の根底にあるのは「住宅の質の向上」を促すことでしょう。ただし何をもって「質が向上した」と判断するのか、基準が厳格です。それぞれの要件を詳しく見ていきます。

 

グリーン住宅ポイント制度の詳細

 

「新築住宅」「既存住宅」「リフォーム」「賃貸住宅」の4つの区分があります。国土交通省の「グリーン住宅ポイント事務局ホームページ」より、それぞれの要件を詳しく紹介します。

 

新築住宅の建築・購入

 

【対象者】
注文住宅建設、もしくは分譲住宅(マンション)を自分が居住するために新たに購入する者。新築住宅が対象で、新築住宅の定義はここでは「契約時に建築から1年以内、第三者が未入居の住宅」です。

 

【対象期間】
2020年12月15日〜2021年10月31日の間に注文住宅は「工事請負契約」、分譲住宅購入は「不動産売買契約」を結ぶ。

 

【対象住宅】
次の2つのうち、どちらかの性能を有する住宅

 

(1)高い省エネ性能等を有する住宅
「認定長期優良住宅」「認定低炭素建築物」「性能向上計画認定住宅」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」のいずれかの省エネ性能等を有する住宅です。
(2)一定の省エネ性能を有する住宅
日本住宅性能表示基準で定める断熱等性能等級かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅

 

上記がさらに、「東京圏の対象地域からの移住のための住宅」「多子世帯が取得する住宅」「三世代同居仕様である住宅」「災害リスクが高い区域からの移住のための住宅」の要件を満たすと、ポイントの加算があります。

 

【ポイント数】
発行ポイントは次の通りです。

 

(1)高い省エネ性能等を有する住宅 
基本ポイント 40万ポイント
加算がある場合 100万ポイント(基本ポイント+加算ポイント)
(2)一定の省エネ性能を有する住宅
基本ポイント 30万ポイント
加算がある場合 60万ポイント(基本ポイント+加算ポイント)

 

既存住宅の購入

 

【対象者】
自己が居住するために新たに購入する者。

 

【対象期間】
2020年12月15日~2021年10月31日の間に「不動産売買契約」を結ぶ。

 

【対象住宅】
次の3つのうち、すべての要件を満たす住宅が対象です。

 

(1)建築日要件
不動産登記事項証明書において「新築」と記載された日付が、2019年(令和元年)12月14日以前である住宅。
(2)金額要件
100万円(税込)以上。
(3)次のいずれかに該当する住宅であること
・空き家バンク登録住宅
・東京圏の対象地域からの移住のための(既存)住宅
・災害リスクが高い区域からの移住のための(既存)住宅
・住宅を除却した者が購入する既存住宅

 

なお、「住宅を除却した者が購入する既存住宅」については、他の3つ(空き家バンク登録住宅、東京圏の対象地域からの移住、災害リスクが高い区域からの移住)とあわせて、申請することが可能です

 

【ポイント数】
対象住宅の要件等に応じ、「15万」「30万」「45万ポイント」が発行されます。

 

リフォーム工事

 

【対象者】
「リフォーム戸別申請」の場合は、リフォーム工事の発注者。賃貸住宅で複数の住戸をまとめて申請する「リフォーム一括申請」の場合は、全住戸の所有者、管理組合法人、法人でない管理組合などの発注者です。

 

【対象期間】
2020年12月15日~2021年10月31日の間に「工事請負契約」を結ぶ。

 

【対象工事】
基本の対象工事は次の3つのうちいずれか1つが必須です。

 

(1)開口部の断熱改修
(2)エコ住宅設備の設置
(3)外壁、屋根・天井 または 床の断熱改修

 

上記3つのいずれかとあわせて「バリアフリー改修」「耐震改修」「リフォーム瑕疵保険等への加入」を実施する場合は、該当工事も対象となります。

 

【ポイント数】
リフォーム戸別申請の場合、リフォーム工事に応じてポイントが発行されます。一般世帯であれば上限は30万ポイントですが、若者・子育て世帯であれば上限は45万ポイントです。既存住宅購入と併用した場合、さらに上限が引き上がります。

 

リフォーム一括申請の場合、リフォーム工事に応じてポイントが発行されます。1棟(建物)につき「30万ポイント×総戸数」が上限です。

 

賃貸住宅の建築

 

【対象者】
新たに賃貸用の共同住宅を建築する者。

 

【対象期間】
2020年12月15日~2021年10月31日の間に「工事請負契約」を結ぶ。

 

【対象住宅】
次の3つのうち、すべての要件を満たす住宅が対象。

 

(1)すべての住戸が賃貸用に建築される共同住宅であること
(2)独立したユニットが2戸以上存在し、すべての住戸の床面積が「40㎡以上」の共同住宅であること
(3)建築物省エネ法に基づく住宅のトップランナー制度の賃貸住宅に係る基準に適合する共同住宅であること

 

【ポイント数】
「1戸あたり100万ポイント×総戸数」が上限です。

 

グリーン住宅ポイントで交換できる商品とは

 

グリーン住宅ポイントは、政策テーマに該当する商品との交換、もしくは一定の要件に適合する追加工事の代金に充当することができます。発行ポイントは最大で100万ポイント(1ポイント1円)ですので、上手く活用できれば恩恵は大きいでしょう。

 

しかしグリーン住宅ポイントはあくまで「ポイント」であり、現金ではない点に注意が必要です。ポイントが利用可能な商品は家具、インテリア、雑貨・日用品、地場産品、食料品・飲料、スポーツ・健康増進、福祉介護用品、防災・避難用品、ベビー・キッズ用品と幅広いジャンルから用意されています。ただ、そのなかに気に入ったものがあるとは限りません。

 

要件を満たすためには質の高い住宅の購入や、質の高いリフォームが必要です。ポイントの取得を目的として費用が上がり、予算オーバーになっては本末転倒です。

 

具体的に交換できる品物例については、こちらのサイトなどをご覧ください。こちらのサイトでは執筆時点(2021年2月26日)でロボット掃除機、新潟県産こしひかり、羽毛布団、牛タンセットなどが人気のようです。

 

グリーン住宅ポイント申請の流れ

 

ポイントをもらうためには申請手続きが必要です。工事または住宅の引き渡しの前に申請を行う「完了前申請」と、工事または住宅の引渡し後に申請を行う「完了後申請」があります。これから申し込む人を対象に、ここでは完了前申請のケースを見ていきます。

 

【完了前申請】
(1)工事請負契約または売買契約の締結
(2)必要書類を揃え、事務局にポイント発行申請
(3)事務局よりポイント発行
(4)事務局へポイント利用申請
(5)交換商品提供

 

「完了前申請」と「完了後申請」は申請時期が工事や住宅引き渡しより前か後かの差なので、大まかな流れは同じです。ただし、既存住宅の購入では完了前申請はできません。ポイントを追加工事に利用する場合は、追加工事代が「工事施工者(または販売事業者)」に支払われるため、申請も工事施工者(または販売事業者)が代理申請して行います。その場合は、代理者に要件や流れをよく確認しておきましょう。

 

条件合致ならグリーン住宅ポイント制度を使い倒そう

 

グリーン住宅ポイントはポイントの発行額が大きいので、住宅購入やリフォームにおけるメリットは大きいといえます。しかし、ポイントが交換・利用できる住宅だったりリフォームだったりが自身のニーズと合致していることが重要です。ポイントがもらえるのかは早めに不動産会社に相談しましょう。身の丈に合わない住宅購入に踏み切ってしまうと、後の住宅ローン返済で困ることになりかねません。受け取れるポイントが自分にとって価値があるか十分に見極めたうえで賢く制度を利用しましょう。

 

 

横山晴美 
2013年にFPとして独立してから一貫して「家計」と向き合い、マネーリテラシーの向上でお金の不安が軽減することを実感。お金の不安を抱える人が、自分自身で問題を解決できるよう、お金の基礎知識を底上げするための啓蒙活動を行う。WEBコラム・セミナーなどで家計や住宅ローンなどお金について幅広い情報を発信している。