2020年度第3次補正予算案に「グリーン住宅ポイント」制度の創設が盛り込まれました。2021年の国会で成立すれば、すぐに動き出します。新築の場合は最高で100万円相当のポイントが付与されるという見逃せない制度です。「グリーン住宅ポイント制度」とはなにか、どんな条件なら現金として使えるポイントが付与されるのかについて解説します。
(写真はイメージです)
目次
グリーン住宅ポイント制度の概要
国土交通省は、グリーン住宅ポイント制度についてこう説明しています。
「グリーン社会の実現および地域における民需主導の好循環の実現等に資する住宅投資の喚起を通じて、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の回復を図るため、一定の性能を有する住宅を取得する者等に対して、新たな日常及び防災に対応した追加工事や様々な商品と交換できるポイントを発行する制度です」
簡単に言うと
「省エネ効果が見込める設計の住宅を買ったらポイントをドカッと付与します。このタイミングでマイホーム買ってお金を使って経済を回してください。ポイントで結構いろんなものと交換できるからお得ですよ!」
というものです。
実際、特段ハイグレードな住宅でなくともグリーン住宅制度の適用は受けられ、ポイント交換も充実した内容になることが想定されるため、注目されているのです。
詳細は、以下のサイトでご確認ください。
住宅取得を支援するためのポイント制度は過去に何度か実施されてきましたが、今回実施される「グリーン住宅ポイント制度」は、新築だと一戸あたり最高100万ポイント(100万円分)が付与される「特大」といえるものです。
ポイント付与の条件
ポイントが付与されるためには、2つの条件があります。
(1)2020年12月15日~2021年10月31日の間に工事請負契約を締結していること。
(2)一定の省エネ性を有する住宅の取得、もしくはリフォームであること。
不動産は大きな買い物ですし、タイミングもありますので、この制度を使うために住宅購入をするのは難しいかもしれませんが、このタイミングで購入を迷っている人にとっては背中を押してくれる一つのきっかけになるかもしれません。
ポイント付与の内容
グリーン住宅ポイントでは、1戸当たり最高40万ポイント獲得が可能で、一定条件を満たす特例として最高100万ポイントが上限となっています。
新築物件
新築の場合は最もポイントが大きく、最大100万ポイント獲得が可能です。
対象住宅 | 発効ポイント | |
---|---|---|
基本 | 特例 | |
▼高い省エネ性能等を有する住宅 |
40万 | 100万 |
▼省エネ基準に適合する住宅 (断熱等級4かつ一次エネ等級4以上を満たす住宅) |
30万 | 60万 |
特例措置を受けるためには、以下のいずれかに該当しなければいけません。
・東京圏から移住
一定期間、東京23区内または東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県条件不利地域を除く)に在住し東京23区内へ通勤している人が、東京圏以外へ移住する場合。
・多子世帯
18歳未満の子3人以上がいる世帯の場合。
・3世代同居仕様である住宅
調理室、浴室、便所または玄関のうちいずれか2つ以上が複数ある住宅の場合。
・災害リスクが高い区域
土砂法に基づく土砂災害特別警戒区域または建築基準法に基づく災害危険区域から移住するために住宅購入をする場合。
中古物件
中古物件の場合、ポイントは下がりますが、新築と異なり現住居を処分する場合にもポイント獲得が可能となります。
対象住宅 | 発行ポイント |
---|---|
空き家バンク登録住宅 | 30万 (住宅の除却を伴う場合は45万) |
東京圏から移住するための住宅 | |
災害リスクが高い区域から移住するための住宅 | |
住宅の除却に伴い購入する既存住宅 | 15万 |
リフォーム物件
発行ポイントは上限が30万となります。(合計ポイントが5万ポイント未満の場合はポイント発行申請不可なので注意)
ただし、40歳未満で18歳以下の子供がいる世帯の場合は上限45万ポイント(中古住宅購入と併せて行う場合は60万)に引き上げの特例があります。
さて、対象となるリフォーム工事は下記のようになっています。
工事種別 | 工事対象(付与対象区分別) | |
---|---|---|
断熱改良 | 窓・ドア | ガラス |
内外窓 | ||
ドア | ||
外壁、屋根・天井又は床 | 外壁 | |
屋根・天井 | ||
床 | ||
エコ設備 | 太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器 | |
節水型トイレ | ||
節湯水栓 | ||
耐熱改良 | ||
バリアフリー | 手すり | |
段差解消 | ||
廊下幅等拡張 | ||
ホームエレベーター設置 | ||
衝撃緩和畳の設置 | ||
リフォーム瑕疵保険加入 |
それぞれの項目ごとで付与ポイントが異なるため、詳細は下記サイトでチェックしてみてください。
毛ガニ、冷蔵庫、PC・・・ポイントで交換できるものとは?
さて、気になるポイントで交換できるものはどんなものがあるのでしょうか? 国交省からは下記のような概要が説明されています。
・「新たな日常(ワークスペース設置、空気環境向上工事等)」に資する商品
・「省エネ・環境配慮」に優れた商品
・「防災関連商品」
・「健康関連商品」
・「家事負担軽減に資する商品」
・「子育て関連商品」
・「地域振興に資する商品」
このように列記されてもよく分かりませんよね(笑)。下記のグリーン住宅ポイントのポータルサイト「えこぽ」を見ると、具体的な商品がわかります。
毛ガニや炊飯器にはじまり、大きなものになると冷蔵庫や乾燥機、パソコンまであります。住宅購入と併せて買いたいものが並んでおり、かなり利用価値の高いポイントであることは間違いなさそうです。
政府のグリーン住宅ポイント制度導入の意図
今回、グリーン住宅ポイント制度を創設したのは、政府にどんな狙いがあってのことなのでしょうか。新型コロナウイルスの影響で、2020年度の新築着工戸数は大きな落ち込みを記録しています。やはり、住宅の取得意欲を喚起することで経済を回復させるという目的でしょう。
それなら、期間を限定(2021年10月末までの工事請負契約)しているのはなぜでしょうか。それはひとえに、付与されるポイントの量がかなり多いからでしょう。先に述べたとおり、今のタイミングで住宅購入を検討していた人にとっては、大きな追い風となりそうです。
グリーン住宅ポイント制度について詳しい業者に依頼を
グリーン住宅ポイント制度は分かりやすい内容で、ポイントがたくさんもらえるだけでなく、利用できる対象商品も幅広いため、ぜひとも利用したい制度です。
住宅購入をすればもれなく狙えますが、対象となる工事については大きな出費が伴うため、念のため、本制度に精通した施工業者へ相談・確認を行うことをオススメします。
半沢隆太郎(宅地建物取引士)
中央大学法学部法律学科卒。実家が建設・不動産会社を経営。新卒で大手機械メーカー、その後コンサル会社を経て、現在は不動産業種の上場会社の経営企画部門に勤務。