都内の新築マンション価格が一般のサラリーマンでは手が出ない領域に達しており、それに伴い中古マンションの人気がうなぎ上りです。一方で、中古マンションを選ぶ時に「立地は申し分ないけど、設備や間取りが古くて満足できない」というケースがあります。こうした場合にリフォームやリノベーションが検討されますが、ところで皆さんは、リフォームとリノベーションの違いについてきちんとご存知でしょうか。本稿で詳しく解説いたします。

 

リノベーション

(写真はイメージです)

 

リフォームやリノベーションが注目される理由とは?

 

先ほど中古マンション人気の理由として、「都内の新築マンション価格の高騰」だと述べました。これは言わば表面的な理由であり、中古マンションが注目されるのにはさらに別の理由が存在します。

 

住宅が新築から取り壊されるまでの平均年数を比較してみると、日本が30年、アメリカが55年、イギリスが77年となっています。
参照:国交省HP 住生活基本法の概要

 

これは極端な例ですが、木造では建築後20年もすると資産価値が無いといわれるほど、日本では住宅のストックとしての資産価値が評価されてきませんでした。
資源の無駄使いというべきスクラップ&ビルドの住宅文化を改めるべく、ストック重視の施策展開、環境負荷の低減などを基本方針とした「住生活基本法」が定められ、2006年に施行されました。

 

また、住宅購入希望者の意識も、新築重視より利便性とライフスタイル重視へ変化しており中古マンション購入に対する抵抗感も低くなりました。

 

さらに、世代を超えて利用可能な「100年住宅」の普及も推進されており、その一つとして高耐久性と可変性が特徴の「SI住宅」のような物件も増加しています。
参照:スケルトン・インフィル住宅(SI住宅)の普及促進に向けた環境整備

 

このような購入希望者の意識と物件の仕様の変化が、リフォームとリノベーションの可能性を広げているのです。

 

リフォームとリノベーションの定義とは?

 

リフォーム・リノベーションの語源である「reform」「renovation」は、英語では共に「修復」や「補修」といった日本語に相当しますが、目的となる対象物が異なります。前者は、組織やシステムといった多少抽象的なものが対象になりますが、後者は主に建物という意味合いが強いです。

 

一方、日本語で「リフォーム」というと、建物の改装・改築を目的とした行為全般に用いられますが、特に「老朽化した部分を元の状態(新築時)に戻す」といった意味合いがあります。例えば、古いキッチンやトイレを最新型のものにしたり、はがれた壁紙を貼り替えたりする行為です。

 

また「リノベーション」は、従来のリフォームとの違いを打ち出すために民間から使われだしたようです。ちなみに国交省の近年のプレスリリースでは、リノベーションのことを以下のように説明しています。

 

「古い建築物の機能を今の時代に適したあり方に変えて、新しい機能を付与すること」

 

つまりリフォームとは違い、より積極的な再生や生まれ変わりを意味し、元の価値を超越したものにする言葉としています。時間軸という視点で見ると、リフォームが建築時のコンセプトを色濃く残しているのに対し、リノベーションでは、今の時代により合ったものにする、といったイメージです。

 

とはいえ両者が全く別物というわけではなく、互いにオーバーラップする部分もあることを理解しておいてください。

 

リフォームとリノベーションの選択をする前に考えること

 

通常のリフォーム工事では、「家のこの不具合を何とかしたい」といった目的がまずあって、その目的を果たす方法に2つ以上の選択肢がある場合には、費用・規模・工期などの要素からそれらを比較し、優位性を検討します。

 

一方、「リフォームか、リノベーションか」の選択においては、もう少し大きな視点で「この家で、何をしたいのか?どんな暮らしをしたいのか?」という、ご自身やご家族の要望の洗い出しと優先順位付けが必要になります。

 

例えば、「ライフスタイル優先で、多少費用的に高額になってもOK」とか「最低限の設備の更新にとどめ、住宅ローンの負担を小さくしたい」といったことです。これが、最初に中古マンション購入⇒リフォーム・リノベーションという道筋を考えるにあたっての基本となります。

 

この基礎の部分をあいまいにすると、あれもこれもとなって費用が膨大になったり、「あちらを立てれば、こちらが立たず」のジレンマに陥ったりします。まずは出発点として家族会議を開き、希望の優先順を決定しましょう。

 

リフォームとリノベーションの特徴

 

ご自身やご家族のニーズに合わせてリフォームまたはリノベーションの選択をするわけですが、この両者の特徴を踏まえていないと選択を誤ることがありますので、それぞれの特徴を簡単にまとめました。ご参考にしてください。

 

評価項目

 

「物件の選択性」という項目がありますが、これは、リフォームなら多くの中古マンションで実施可能ですが、リノベーションを実施するには、天井・床下の構造が適さない、配管・給電設備の交換が難しい、といった問題で実現できない物件も少なくないことを意味しています。

 

まとめ

 

25~30年の住宅ローンを背負い、ローンが完済した時には建物としての資産価値がなくなっている、というのは切ないものです。しかし日本の住宅の多くはこの問題を抱えています。それでも、リノベーションに適したマンションであれば、将来的にある程度の資産価値を認められます。

 

これから中古マンションを選ばれる方は、今の使い勝手ももちろん大事ですが、将来的にリノベーションに向いている物件か、時間軸の変化に対応できるポテンシャルを持つマンションであるか、といった点にも注目してみてください。

 

 

八木 裕(Life Assets Design 代表)
兼業サラリーマン大家として賃貸物件を経営している。優良経営を実践するために宅建士試験合格後、賃貸不動産経営管理士試験、土地活用プランナー試験に合格し、個人資産のコンサルティングを行っている。(FP2級技能士)