マンションの売却は、もちろん高値で売れるほどうれしさ倍増ですよね。でも、長らく住んで使い続けてきたままの状態では高値どころか値下げ交渉がきそう…。「リフォームした方が売却価格が上がる」とも聞きますが、リフォームにもそれなりの費用がかかり、おいそれとは実行できません。

 

そこで、マンション売却前におすすめのリフォームや修繕のコツを解説します。賢いリフォームや修繕でマンションの高値売却を成功させましょう。

 

マンション

(写真はイメージです)

 

リフォームと修繕の違い

 

最初に「リフォーム」と「修繕」の違いについて簡単に触れておきます。
両者は同じ意味のように思われますが、本稿においてリフォームとは、室内を作り替えることを指します。例えば、畳敷きの部屋をフローリング仕様に替えることや、独立型のキッチンとダイニングをアイランド型のキッチンとリビングダイニングに替えることなどです。
また修繕とは、ダメージを受けている場所や動きの悪い部分に手を入れて元の正常な状態に戻すことです。例えば、傷や凹みが目立つフローリングのリペアやガタつく扉の調整などです。

 

両者の費用的には、一般にはリフォームの方が高額となりますが、そのぶん見栄えも向上します。修繕は比較的低コストで室内の見た目や使い勝手の改善が可能です。

 

売却前のリフォーム・修繕における大切な考え方

 

住宅設備を最新式のものに更新したり、床や壁を新品にリフォームしたりすれば、一般に古い状態よりも売却価額は上がります。
しかし、何も考えずリフォームすれば良いものではありません。マンション売却前の最適なリフォーム・修繕を実行するためには、以下に示す2つのポイントを念頭に置いてください。

 

① 最小のコストで最大のメリットを目指そう

 

リフォームは建物の魅力を高めますが、当然、コストも大きくなります。たとえ高値で売却できても、手入れの費用を差し引きした実質の売却価格は必ずしも高値になるとは言えません。闇雲にリフォームや修繕を行うのでなく、売主はコストをできるだけ抑えながら売却価格を最大にする姿勢を大切にしましょう。

 

② 買い手目線で考えよう

 

リフォームというのは、住む人の「好み」が色濃く表れるものです。設備や壁、床などを売主の好みだけでリフォームしても、それを買主が気に入るとは限りません。「内装は好みではないが間取りや立地は気に入った」と、購入後に買主が自分好みにリフォームすることも考えられ、そうなれば事前のリフォーム費用は無駄になります。
その時々の住宅トレンドや市場のニーズをつかみ、また物件の特性を把握して、買い手が必要とするリフォーム・修繕を行いましょう。

 

こまめな修繕で売却価格アップ

 

中古マンションをより高く売るためには、大規模なリフォームよりもむしろ修繕を中心に考えたほうが良いかもしれません。
全面張替えまでは必要ないフローリングの傷や凹み、壁紙のはがれや穴は徹底的にリペアします。建具などの動きの悪い部分やガタついている部分は、稼働部の清掃やネジの増し締めで対応可能です。
マンションで売主が手を出せるのは室内だけですから、とにかく修繕で対応できる部分はまんべんなく修繕を行いましょう。キッチンや畳敷きの部屋をフローリングにするような大掛かりなリフォームは、買主が購入後に自分の好みでやり替えるのに任せた方がかえって無駄になりません。

 

なお戸建住宅の場合、外構や外壁、とい、軒下部などの破損の修繕は大規模なものになる傾向があり、リフォームで対応することもあります。費用面を勘案しながら対応方法を選択しましょう。

 

内覧会に向けての準備も考慮しよう

 

リフォームや破損の修繕とはやや主旨が異なりますが、売却価格を上げるのに重要な部屋の手入れとして、「内覧会の準備」があります。売却予定物件を購入希望者が見学する内覧会は、「売れる・売れない」の分岐点になる重要なイベント。内覧会での家の状態こそが「売り物」であるため、万端の準備が必要です。

室内の徹底した清掃、特にキッチンや風呂場、洗面台、トイレなどの水回りは徹底的に磨き上げる感覚で取り組みましょう。
また、室内から生活感を払拭させるのも大切なので、室内の余計なものは余さず片づけてください。ものが無くなると室内が見渡せて部屋の傷み具合が分かり、新たな修繕の必要性も確認できます。

 

リノベーション前提の物件にリフォームは不要

 

最後に、そもそもリフォーム等の必要がないケースというのも存在します。それは「リノベーション前提のマンション」です。

 

今日の住宅市場は、フロー型からストック型への転換期にあり、新築マンションの高騰もあって中古マンションの人気が高まっています。特に、利便性が高く災害リスクが低い人気エリアの物件が人気です。
そして、こうした中古マンションを自分好みの間取りや内装にチェンジするというリノベーションに注目が集まっています。自分のライフスタイルにこだわりを持つ人たちにとって「新築より低コストで夢の暮らしが実現できる」というわけです。

 

売却予定のマンションが、こうしたリノベーションに意欲的な層に好まれる立地か否かは、リフォームの実施を決める一つのポイントになります。もし好まれる立地にあるならば、初めからリフォームなどで手を入れない方が無難でしょう。不動産仲介会社とも相談しながら、実施の是非を慎重にお考えください。

 

 

八木 裕(Life Assets Design 代表)
兼業サラリーマン大家として賃貸物件を経営している。優良経営を実践するために宅建士試験合格後、賃貸不動産経営管理士試験、土地活用プランナー試験に合格し、個人資産のコンサルティングを行っている。(FP2級技能士)