政府・与党は12月14日に税制改正大綱を取りまとめた。2019年10月の消費税率引き上げに伴う反動減対策として住宅の減税措置を拡充し、2019年10月から2020年末までに契約して引き渡された住宅やマンションを対象に住宅ローン減税の適用期間をこれまでの「10年」から「13年」に3年間延長する。10年目まではローン残高の1%、11年目以降は建物価格の2%分を所得税などから差し引く。注文住宅の場合は、来年4月以降の契約で10月以降の引き渡し、マンションと建売住宅は来年10月以降の引き渡し物件が対象となる。

 

家と電卓を持つ女性

(写真はイメージです)

 

住宅ローン減税の期間延長は優良政策

 

不動産業界団体では、ローン減税期間はこれまでの10年から5年延長し、15年とすることを希望していた。結局、3年延長の着地となったが、ほぼ要望通りの税制措置が取られたので、おおむね評価できるものとなった。住宅は一般的な消費者にとって一生で最大の買い物なので、住宅ローン減税は不可欠な対策だからだ。

 

住宅ローン減税については、所得税から満額控除できなければ、住民税からも差し引けることになるが、住宅ローンの専門家からは、「この住民税のところで促進税制的なものを自治体が導入してもいい」との指摘もある。地方税法で固定資産税の税率は標準税率をもとに自治体が独自に設定できるので、不動産取得税や固定資産税の減額に地域差を付けることが可能となるからだ。少子高齢化に伴い地方自治体の財政負担が増加する中で、住宅購入検討者が〇△市と□×市を比較して減税額が大きい市に住みたいということになれば、定住人口を増やすことにつながる。

 

優遇があるから変動型を選ぶのは危険だ

 

こうしたローン減税の拡充に加えて、消費者にとって重要なのがローン金利の動向である。東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まって以降、地価上昇とともに物件価格が高騰してきたにもかかわらず、住宅購入意欲を引っ張っていたのは、マイナス金利政策によってもたらされた空前の低金利である。

 

最近、住宅を買った人で優遇金利があるために変動金利型ローンを組み込んでいる消費者は少なくない。ただこれは、せっかく低金利により理想の物件を購入できたのに、金利上昇リスクを自分から抱えこんでいるともいえる。

 

金利タイプグラフ

 

ローン利用者が利用した金利タイプ

 

(出典:住宅金融支援機構)

 

現状の金利水準を見ると、住宅ローン金利は少し高めにシフトしつつある。各行とも利率を引き上げているのだ。住宅ローンのデフォルト率がかなり低いにもかかわらず銀行が扱っている他のローンに比べて住宅ローンの基準金利・店頭金利も高めになっている。銀行は、高めの店頭金利を設定して、それから優遇金利を設定する。銀行が最も金利上昇リスクを取らなくて済む変動金利について考えていくと、他行との競争の中で思い切った優遇金利を適用してきた。

 

住宅ローンの開始時に1%を下回る変動金利型ローンの優遇金利だと、未払い利息が顕在化する恐れもある。優遇金利が外れた後でそうしたリスクが発生する。ローンスタート時の金利だけでなく店頭金利と優遇金利をよく見る。いずれ優遇金利が外れて遅かれ早かれ店頭金利に戻るという前提でリスクをとらえる。そうしたリスクについて銀行サイドに尋ねることが欠かせない。例えば、短期返済がどのように進むのかなどシミュレーションをしてもらうほか、未収利息はどうした場合に発生するのかなどを問い合わせてみることである。

 

金利の上昇については景気対策にもよるし、その結果インフレが進んで上昇することも考えられるが、一般的に見れば急激に消費が進んでインフレが進むことは考えにくい。気をつけなければならないのは優遇金利と基準金利・店頭金利の差である。優遇金利はマーケットの金利水準の動きとは関係なく、各行の戦略の中で優遇金利を外すことになる。優遇金利が低ければ低いほど、外れる可能性が高い。

 

繰り上げ返済か固定ローンで自己防衛を

 

日銀の金融緩和政策は当面続くというのがマーケット関係者の見立てである。しかし、日本の金融政策を取り巻く環境は2年前とは異なり、米国が利上げ局面にある中で、日本だけいつまでも現状が続くとの見方は少なくなっている。金利負担や金利上昇リスクに対する個人の対応としては繰り上げ返済が効果的である。余力があるのであれば繰上げ返済も早めの方がローン完済期間が大きく縮まる。最も効果的なのは年100万円が一つの目標値だが、50万円でも定期預金に回す程度の貯蓄額をローン返済に回して、1カ月でも早く繰り上げ返済をすると効果が高い。

 

金利上昇を個人でどうすることもできない中で、唯一の防衛策が繰り上げ返済である。余裕がない人は、変動ではなくて全期間固定ローンにするなど固定の割合を多くするなどで対応するとよいだろう。

 

住宅購入をためらう消費者の理由として、頭金や諸費用に使う自己資金が貯まっていないことが最も多い。本来なら住宅価格の3割程度を貯める必要があるが、実際は自己資金がなくても全額ローンで購入できる。自己資金がなくても収入に見合った借入額や返済額であれば問題はないからだ。自己資金比率(住宅価格に占める自己資金の割合)よりも返済負担率(年収に占めるローン返済額の割合)を重視すべきだ。人生には何が起こるか分からないので、返済負担率は25~30%にとどめるのがあるべき姿。ただ自己資金がない人ほど返済負担率が高くなっているのが普通なので、一定の自己資金を用意しておくに越したことはない。

 

金融マーケット動向を踏まえた住宅購入を

 

バブル経済の崩壊とリーマン・ショックなど経済的なリスクが顕在化したことで、銀行はよりそうした意味でリスク対策を進めた結果、一般消費者にリスクを取らせるような仕組みにシフトしている。それを見抜いた消費者はローンを組むことに不安を感じ、住宅販売が縮小していく側面もある。

 

もちろん住宅供給が減ってきている背景には、経済的な問題もあるし、住まいに対する考え方や価値観の変化などもあるが、やはりローンを組むことについてのリスクの認識が大きくなってきている。最近の金利選びは変わってきた。以前とは違い、10年など固定金利を選択する人が増えている。

 

人口減少で住宅ローン市場の将来性は明るくはない。ただ、そうはいってもマンションも戸建住宅も、高齢化によって住み替えニーズがある。また、中古住宅市場において住宅ローンをどう位置付けられるか。現在の20代~30代の若年夫婦を見ていると、築古物件を格安で買い付けて、賃貸物件に住んだ場合の家賃よりも安いローン返済でいけるところまでいって住み潰すというパターンが多いようだ。そのような発想から中古住宅を選択する人が想定以上に増えていくという点から住宅ローンを考えていくと、新築対象だけでなく中古対象の借り換え住宅ローンの潜在的なニーズは大きく、そこに対応した住宅ローン商品の開発は必須であろう。

 

住宅購入を検討している人は、今後の金融マーケットと照らし合わせながら無理のない返済計画のもとで行動していくことで人生設計を組み立てる。高度経済成長期やバブル期のように「家を購入することがインフレ対策になる」などという時代は、もはや訪れないのだから。

 

(不動産のリアル編集部)

 

●ご存じですか? 不動産売買の仲介手数料は半額以下になることを

東証一部上場企業グループの不動産流通システム(REDS)は、不動産売買の仲介手数料を半額から最大無料としつつも、お客様からの満足度の高いサービスを実現しています。

広告宣伝費などのコストを徹底的にカットしつつ、資質と経験を兼ね備えたベテランスタッフの運営でサービスの質は高め、お客様に利益を還元しています。

業界の常識を覆すREDSの新たなビジネスモデルは、「ワールドビジネスサテライト」「とくダネ!」などのテレビ番組をはじめ、各メディアでも紹介されています。    平日・土日祝日も営業中(10:00-19:00)です。お気軽にお問い合わせください。フリーコールはこちら0800-100-6633


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る