不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年12月10日
  • 公開日:2018年11月15日

リノベーションでしか住まいの配管工事はできないというのは本当です。

昨今のテレビ番組では、芸能人や視聴者が購入した中古物件を見違えるようにリフォームやリノベーションをする企画が数多くみられます。リフォーム・リノベーションについてまことしやかに語られることとして、「配管はリフォームでは交換してくれない、リノベーションでしかできない」と言われることがあります。これは本当なのでしょうか。

 

配管と女性

(写真はイメージです)

 

リフォームは水回りを入念に工事

 

平成22年5月17日の国土交通省成長戦略会議で使用された資料では、リフォーム工事の対象部位は、浴室・キッチン・トイレ・給湯器・洗面所と上位のほとんどを水回りが占めていました。水回りはリフォーム工事の基本ですが、「リフォームでは配管工事はしてくれない」と言われています。配管工事と言えば水回りの設備の中でも最も基礎的で重要な工事にも思えます。なぜリフォームではその対象にならないというのでしょうか。それを知るためには、リフォームとリノベーションの違いを理解しなくてはいけません。

 

リフォーム工事の対象部位

(リフォーム工事の対象部位調査)

 

リフォームで配管工事をしてくれないのは本当

 

住宅の改築や修繕工事を「リフォーム」といったり「リノベーション」といったりしますが、その違いはどこにあるのでしょう。その差は必ずしも明確に分けられているわけではないのですが、「リフォーム」は主に老朽化した設備を修理したり新品のものに交換したりすることをいいます。劣化してマイナスになった設備や器具をまた元の状態に戻すことを差す場合が多いようです。なので、専有部分の間取り変更などは行われません。

 

これに対し「リノベーション」は、ゼロやマイナスだった状態から全く新しい価値をプラスすること、といわれています。住む人のライフスタイルを反映させ、デザインや間取りを一新し、機能や価値を向上させます。工事のコストもリフォームに比べて高くなりますし、工期も1~2カ月はかかります。

 

水回りのリフォームは、蛇口やシャワーヘッドの交換、壁紙やタイルの補修から、トイレやユニットバス、システムキッチンの交換くらいまでといえるでしょう。つまり、目に見える部分の修繕となります。給排水の配管工事まで交換するとなると、壁や床をはがしての大工事となるので、リノベーションの範疇になります。配管の交換には費用も掛かりますので気軽にできる工事ではありません。そのため「リフォームでは配管工事はできない」といわれているのです。

 

住まい選びをするときに配管のことまで考える人は少ないと思いますので、この際、配管についての知識を深めておきましょう。

 

古い建物の給排水管は、鋼管が使用されている場合が多いため、15~20年ほど経つと、経年劣化により配管が傷んで、さびや腐食が出る場合があります。そのため、水がまずくなったり水圧が悪くなったりします。また水漏れなどのトラブルにもなります。現在では給排水管は40~50年は使えるといわれる塩化ビニル管などの樹脂管になっています。一回交換すると、その先はほとんど交換する必要がなくなります。

 

配管の種類と特徴

 

水道には上水道と下水道の2種類があります。それに応じて、配管も給水管と排水管の2種類に大別され、さらに、給水管、給湯管、排水管などの種類に分類されます。それぞれの特徴を簡単にご紹介しましょう。

 

給水管

 

水道局の配水管から各家庭に引き込むためにつなげた水道管のこと。「引込管」ともいわれます。材質は「鋼管」と「樹脂管」に大別されます。昔は鉛を材質とした「鉛管」が主流でしたが、水に有害物質が混ざるため「亜鉛メッキ鋼管」が主流となりました。しかしこれも劣化すると管内に赤さびが発生します。そこで現在は塩化ビニル管が給水管の主流となっています。塩化ビニル管は、さびることがなく、耐食性・耐薬品性に優れ、軽量で施工性にも優れています。

 

給湯管

 

塩化ビニル管は一般的に熱に弱いため、温水の配管を特に「給湯管」として区別する場合があります。給湯管には、塩化ビニル管の中でも特に耐熱性に優れた水道用耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HTVP管)を使用することが多いです。銅管やステンレス管を使用することもありますが高品質なぶんだけ価格も高くなってしまいます。

 

排水管

 

下水道は、市町村などで管理する公営の公共下水道と、個人で所有する排水設備の2通りに大別され、公共桝を境とします。敷地内の排水管ではスムーズに汚水を流すため下流になるにつれて管径が大きくなることを覚えておきましょう。そうでなければ汚物や異物が詰まってしまいます。また、一般的に汚水・生活排水と、雨水は区別されて配管されています。排水管は耐食性・施工性に優れていることが求められるため、硬質ポリ塩化ビニル管(VU管)が用いられることが多いです。また、耐熱性に優れた配管用炭素鋼鋼管や、鋼管の内側に塩ビ管を取り付け鋼管の耐熱性と塩ビ管の耐食性を兼ね備えた排水用硬質ビニルライニング鋼管が使用される場合もあります。

 

マンションの配管工事 気になる費用は?

 

マンションの配管工事では、まず修繕や移設が必要な配管が個人の専有部分にあたるのか、共有部分なのかを確認しなければなりません。マンションの管理規約・使用細則に基づき規定されているもので、共有部分であればマンションの管理組合が管理責任を負うため勝手に修理や移設の工事ができません。水漏れなどのトラブルの際に、配管が共有部分かどうか争われる場合が多いのですが、判例では天井裏や床下は共有部と位置付けられることが通例となってきています。

 

配管工事にかかる費用は、給排水管の材質によっても異なりますが、給排水管の移設だけで一室あたりおよそ40万円、床や壁の取り外し工事を含めて70万円程度はかかるというのが相場でしょう。いずれにせよ工事の内容や仕様によって費用は大幅に変動します。なにを目的に工事をするかでも変わります。配管工事をする場合には、事前に詳細な見積もりを取る必要があります。

 

リノベ済み物件でも配管工事をしていない場合も?

 

買取業者が中古マンションを購入し、改装を施して「リノベーション済物件」として販売するケースが増えています。購入者が自らリノベーションするよりは、自由度は当然落ちますが、リノベーションにかかる費用は業者価格で工事をさせることもできますし、プロの目で必要な補修や改造を施しますから、お得な物件も数多いといえるでしょう。特に水回りの工事は、費用もかさみますし、プロのセンスとコストダウンの腕の見せ所といえます。

 

しかし、悪質な業者の中には、リノベーション物件といいながら、コストの低い表面的な部分のみを交換するリフォームしかやっていないものもあります。コストがかかり安全・安心に直結する給排水管の工事には全く手を付けていないのです。リノベ物件と銘打つ物件を購入する場合は、そうした中古物件を数多く手掛けた実績があるのか、実際にどういった部分を「リノベーション」と謳っているのかを確認するのが重要です。その際には、配管工事については実施したのかどうか、修繕履歴の提出を必ず求めるべきでしょう。

 

 

早坂 龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売会社勤務を経て、北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

 

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※2026年09月06日現在 本社・首都圏営業所の数値

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