2018年4月に経営破綻したスマートデイズが運営していた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に対するスルガ銀行のあきれた不正融資の実態が明らかになった。本来なら投資家に返済能力があるかどうかを審査して融資すべきかどうかを決めるところを、無理やりにでも融資するために通帳残高などの審査書類を改ざんしていたのだ。

 

こうした不正はスルガ銀行にとどまらず、アパート建設のTATERUでも同様に顧客の預金データを改ざんして銀行に融資を申し込んでいることがニュースで報じられた。このような不正融資は氷山の一角であり、不動産投資の世界では日常的に行われていることではないか。そう感じる人が増えているのではないかと思う。

 

住宅契約

(写真はイメージです)

 

今後はフル・オーバーローンは出なくなる

 

金融庁は同年10月にスルガ銀行の投資用不動産向けの新規融資業務について6カ月間の停止を命じた。こうした収益物件向けローンは土地を購入してアパートを建てるタイプのもので、首都圏では金利2%前後~3.5%前後で展開しているケースが多いようだ。

 

不動産投資向けの不正融資を端緒に不動産融資が厳しさを増すとの見方も増えている。実際のところ、実需向け住宅ローンの融資目線を銀行が変更するとのアナウンスがあったわけではないし、金融庁が不動産向け融資に上限を設けるような総量規制に動くことは考えづらい。ただ、金融庁の指導や重たい空気を感じた銀行側が心理的に抑制傾向に働き、不動産融資で信用収縮を少なからず引き起こす可能性は否定できない。

 

今後の方向性として、不正融資問題を契機にした金融庁の検査厳格化だけでなく、日銀の金融政策の正常化、つまりマイナス金利の解除と金利引き上げなども懸念材料に上げて個人向け不動産投資市場の規模縮小と利益率の低下が指摘されている。また、今回の問題とは別であるものの、すでに地主向けのアパートローンは、物件価格の高止まりに加え、相続増税への対応が一巡したこともあって新規融資額は減っている。

 

今後、投資家・地主向け融資の慎重姿勢が実需に波及して住宅ローンの審査期間が長期化したり、ローンを組む際に一定程度の頭金を求められたりもありそうだ。以前のように頭金なしの100%ローンや住宅を購入する際の諸経費や引っ越し費用なども含めた120%ローンのような対応はもうない(期待できない)と言っていい。

 

「かぼちゃの馬車」の被害者への同情は少ない

 

ただ、今回の不正融資の問題での特徴としては、被害者であるサラリーマン大家(個人の不動産投資家)に対して同情の声が世間的に少ない点が挙げられよう。「投資家=事業者」という括りになって、不動産投資家が目利きを誤って事業に失敗した、賃貸経営が破綻した、などと捉えられているに過ぎない。つまり、株式投資で損失を被ったからといって証券会社が補填してくれるわけではないだろうという類いの発想と同じである。

 

かぼちゃの馬車などの被害者すべてに当てはまるとは思わないが、取材をしていてよく耳にするのが、「現地に足を運ばないで物件を購入してしまうお粗末さを棚に上げて……」や「預金残高が20万、30万円しかないのによくアパートを建てようと思いつくものだ」という顛末になっている。

 

そもそも不動産を購入するのに、現地を見ないというのは致命的である。インターネット環境の発達によって現地に行かなくても物件やその周辺をネット上で見ることができるのは確かだ。しかし、現地の空気感は味わえない。実際に足を運ぶことでネット情報との違いも確認できる。その物件の住民の姿や商業施設、空室状況、賃料相場を肌で感じながら調べることができるのに、それをしていないとは驚きである。投資家である以上、賃貸住宅の運用はビジネス、事業である。ならばなおさら現況調査は必要であるとの観点に立てていないことが不幸を招いた、といった評価をしているのが一般世間である。

 

この現地を見ていないというのは、投資家に限ったことではなく融資を出す銀行も同じだ。投資家が購入しようとする賃貸住宅の収益性を調べないで、勤めている会社が一部上場なのかそうでないのか、従業員は何人か、勤続年数、年収はどの程度かといった本人の属性に依存して貸し出している。資金を融通する以上、その物件の賃料水準と将来の賃料下落リスク、空室率のリスクを見て融資すべきところなのに、それをしていないのが実態である。

 

銀行としては、ローン返済が滞れば物件やその人の給料を差し押さえればいいとの判断のもとに担保主義でローン審査を通過して貸し出しているに過ぎない。仮に将来、ノンリコースローン(非遡及型。ローンの返済に対する責任範囲を限定する融資方式のこと。責任財産の範囲にあるキャッシュフローを原資とし、その範囲以上の返済義務を負わない)が実需向けの住宅ローンや投資家・大家向けアパートローンに適用されるようになれば、銀行側もしっかり物件の収益力を見て、個人の属性だけで融資を決めることはなくなるだろう。

 

そして、物件の販売や仲介をする不動産会社の営業マンについては、売買手数料を得るために物件の魅力を過剰に説明したり、なかには購入前に〝サクラ〟を使い満室稼働を演じていたりする悪質な手口も聞かれる。

 

かぼちゃの馬車から学べる、家を買うときの3つの教訓

 

これから住まい探しをする住宅購入検討者にとって、今回のかぼちゃの馬車の問題は、不動産購入時のイロハを浮き彫りにしたと言える。その中から重要な教訓を3つに絞って解説しよう。まず1つ目は、物件探しでは必ず現地に足を運ぶこと。2つ目が不動産事業者のアドバイスを一度疑ってみること。3つ目は、自分の身の丈以上の住宅ローンを借り入れて住宅を購入しないこと――。この3点は不動産を購入するに当たって絶対におろそかにできないことである。

 

まず1つ目だが、住まい周辺の生活環境を調べてみよう。駅からの近さや商業施設の充実度といった利便性にとどまらず、人口動態や学区、行政サービスの充実度合などもチェックする。子供が風邪などで病院にかかったとしても中学卒業まで医療費がかからないところがある一方、小学生までしか無料でないところもある。水道料金や介護・福祉といった公共サービスも、財政破綻しているような自治体と潤っている都内自治体のサービスでは、クオリティと料金には雲泥の差がある。

 

2つ目、疑問に思うことを不動産仲介会社の担当者にしっかり伝えて、納得のいく回答を得られるかを確かめてみよう。回答を比較できるよう複数の不動産会社に当たることも一考である。

 

3つ目、自分の収入にあった物件を購入するために、将来考えられるリスクを考慮しながら返済シミュレーションをある程度しておこう。現状、不動産価格が高止まっているだけに重要なことだ。定年を迎えるまでに完済できるか、仮に会社の倒産や解雇という憂き目にあって物件を手放したときに残りのローン(残債)を完済できるのかなどである。現状として、新築だけでなく中古マンションの価格も高騰しているだけに、身の丈にあった物件が探しにくくなっていることを肝に銘じておきたい。

 

不動産調査会社の東京カンテイは、マンション価格が年収の何倍に当たるかを「年収倍率」として調べているが、2017年時の東京都の新築マンションの年収倍率は13.26倍となっている。平均年収556万円に対してマンション価格が7,371万円となっており、神奈川県(11.6倍)と埼玉県(10.13倍)も10倍を超えており、千葉県も年収の9.02倍に達する。東京は築10年の中古マンションであっても年収倍率10.46倍である。平均年収世帯の資金調達可能額を想定すれば分譲マンション価格は、新築・中古ともに上限に達している。

 

タイミングを選べない住まい購入だからこそ忘れないでほしい

 

以上、住まいを買うに当たって大事にしてほしいポイントを紹介した。なぜ、これらが大事かというと、投資向けならば物件価格が高いであるとか、投資利回りが低すぎるといったマーケットを見て購入するかどうかを決めるものだが、実需向けの住まい購入は相場観だけで成立するものでもないからだ。結婚して子供が誕生したり、子供の通う学校を考慮したり、親の介護が必要になったりしたりなど、新規購入や住み替えなど理由はさまざまである。個々のライフサイクルに左右され、景気や市場の動向を選ぶことはできない。逆に言うと、その人が必要だと感じたときが「買い時」なのだ。だからこそ、上記3点は重要になってくる。

 

今回の「かぼちゃの馬車問題」の本質を知るほど、これからの住まい探しをする上で参考になることが浮かび上がってくるのではないだろうか。

 

(不動産のリアル編集部)

 

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