百年に一度の金融危機と言われたリーマン・ショックから10年が経過。国内経済はその資産バブル崩壊から回復したものの、再び資産バブル崩壊の懸念が台頭している。日銀による大規模金融緩和によって市場にあふれ出たマネーが不動産に向かい、2016年2月にはマイナス金利が導入されて依然として金利水準が低空飛行にある。

 

この低金利を背景にサラリーマンの不動産投資家が増加したが、トラブルも多発している。女性専用シェアハウスを建てさせて、それをサブリースしていた会社が破綻したり、その投資家への融資で銀行が審査書類を改ざんして身の丈に合わない融資を実行したり。コンプライアンスを放棄した金融機関は今新聞紙上をにぎわしているスルガ銀行だけではないとの指摘は少なくない。

 

日本の不動産市場

(写真はイメージです)

 

不動産価格高騰で海外投資家の動きに変化が

 

投資家が不動産投資で重視するのが、利回りである。〈年間の賃料収入÷不動産価格〉で算出する。管理費や税金といった諸経費を考慮しない数値は表面利回りである。これに対し、空室による損失を考慮した年間賃料収入に諸経費を引いて算出したのがNOI利回りで、実質利回り、ネット利回りとも呼ばれる。NOIは、Net Operating Income(純収益)の略。一般的に賃貸マンションの諸経費は減価償却費を除いて総収入の2~3割が多い。

 

日本不動産研究所の不動産投資家調査によると、東京23区のワンルームの場合、NOI利回りは城南エリアで4.5%、城東エリアで4.6%などとなっている。高級賃貸では、いわゆる赤坂・麻布・青山の東京3A地区と呼ばれるエリアの期待利回りは低層型・高層型ともに2001年10月の調査開始以来で過去最低水準にある。

 

新築分譲マンションの価格は、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の1坪当たりの単価が500万円台に達する。東京の城南・城西エリアは350万円、城東エリアが250万円、千葉県・埼玉県が200万円前後の価格帯に収れんされており、当面は、需給面において高値圏でバランスを保つ展開が続く見通しである。

 

しかし、日本の不動産価格が高騰していることもあって、海外富裕層による対日投資姿勢にぶれが出始めている。

 

まずは強気の例として、台湾人投資家の場合、飲食店などをテナントとする店舗ビルや区分マンションの価格が億に達する「億ション」の引き合いが依然として強い。東京や大阪、京都といった訪日客に人気の都市の不動産ニーズはおう盛である。強気の背景としては、「物件価格の高止まり=資産価値の維持」と考え、それが賃料水準の緩やかな上昇や高い稼働率につながっていると歓迎しているからだ。

 

台湾仲介大手の『台湾房屋』は、今年5月に不動産・住宅サイト運営の『ライフル』と不動産投資事業で提携した。台湾房屋の顧客は、主に東京都心5区や大阪中心部を対象にネット利回り5%以上を求めて億ションや1棟ビルに着目しているという。

 

一方で弱気になっている人たちもいる。彼らは日本の不動産価格が上がり過ぎたことで投資の旨味が減っているというよりも、最近の海外情勢に関して神経質になっている。特に米中貿易戦争に対する懸念が強い。米国は中国だけでなく、欧州や日本に対しても貿易ルールに注文を付けて貿易摩擦を引き起こしそうな雰囲気である。「この貿易摩擦が日本の不動産マーケットに悪影響を与えるのではないか」との不安を抱いているのだ。

 

実際、不動産大手の集まりで構成する不動産協会の菰田正信会長は、「米中貿易戦争は、英国のEU離脱の影響よりも大きい影響を不動産マーケットに与えるのではないか」と見ている。貿易摩擦を受けて企業業績が落ち込み、それが社員の給与所得にも悪影響を及ぼす。そうなると、企業の賃料負担能力が落ちてオフィスビルの移転・拡張に消極的になって、オフィスビル市況が今の好調から転落する。賃料と商業用不動産の価格に対する下げ圧力が強まる。社員の収入が下がることで住宅購入意欲がなくなり、マンションや戸建て住宅が売れなくなって在庫が積み上がり、その結果、住宅価格が下落に転じる。彼らはこういったシナリオを予想し、弱気になっているのだ。

 

日本の自然災害の深刻さも地価に影響

 

上記のような要因に加え、実はもう一つの懸念材料が急浮上している。今年、相次いで日本を襲った自然災害である。6月には大阪府北部地震、7月には広島や岡山、愛媛など西日本各地を襲った豪雨と洪水被害、9月には震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生した。

 

いずれも各地で多大な被災者・犠牲者を出し、訪日客のキャンセルが相次いだ。こうした災害が日本国内で頻発するということが悪いイメージで世界に伝われば、インバウンド需要によりもたらされていた地価の上昇に与える影響は小さくなさそうだ。

 

海外情勢と自然災害。この2点によって海外富裕層の対日不動産投資に二の足を踏ませる可能性が出ているのだ。この状況を避けるためには、正しい情報の発信が欠かせない。不動産マーケットで言えば取引の透明性が重要になる。

 

日本の不動産市場透明度は世界に劣る

 

米不動産サービス大手の『JLL』と『ラサール・インベストメント・マネジメント』がこの7月に発表した「2018年版グローバル不動産透明度インデックス」によると、日本の不動産市場の透明度は世界で14位(2年前の前回は19位)だった。彼らは、日本の不動産取引では、成約物件の賃料や売買価格の情報が集めにくい点が大きなネックになっている、その実態が市場の信頼性を損なっているといい、「世界の市場透明化のスピードに追い付いていない」と指摘している。

 

欧米ではすでに売買価格など不動産情報の開示が進んでいる。またアジア諸国でも透明化に向けた取り組みが広がりを見せている。

 

たとえば台湾は、今年になって売主と買主に権利移転時に共同で売却価格の登記を義務化し、デベロッパーにも売却価格の登記を義務化した。売買価格が入手しやすいようオンラインでのデータ化も進めている。この不動産情報については、投資家だけでなく、実需でマンションや戸建て住宅を検討する一般消費者にとって一生に一度の買い物であるだけに、より重要な要素となる。

 

この情報格差、つまり、不動産事業者と一般消費者の間で大きな格差があると指摘されてきた。ひと昔前とは違いインターネット環境が整備されたことで、一般消費者が不動産情報にアクセスしやすくはなったものの、核心部分に触れることはいまだに難しいのが実態である。価格・賃料の取引履歴を追える環境づくりが業界に課せられた大きな課題になっている。

 

海外個人投資家目線で住まい探しをすることも重要では

 

来年10月には、消費税率が8から10%に引き上げられる予定だ。今後、駆け込み需要も出てきそうだと言われている。不動産や住宅メーカーなど主な業界団体は、駆け込み後の反動減を招かないで済むように住宅ローンの拡充など各種税制改正要望も決定した。一般消費者としては、慌てずにマーケットを見ながら、時には海外個人投資家目線という第三者的な観点から住まい探しを進めていくことが肝要であろう。

 

(不動産のリアル編集部)

 

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