マンション売却のステップとして、大きく分けて「売却依頼」→「売却活動」→「売買契約」→「引渡し」の4段階があります。いずれも重要ですが、この中でも最も重要な段階が売主と買主とで売買条件を約束する「売買契約」です。

 

この売買契約を締結する直前に、売主は購入申込書(買付証明書)を受理します。購入申込書とは、マンションを内覧し、気に入った買主が資金的な問題のクリアなどを経て、最終的に購入の意思を示す書面です。購入申込書を記入するということは買主にとっても大きな決断であり、売主が購入申込書を元にどのように返答するかによって売買契約に向かうか否かが決まるという重要な局面です。

 

今回は、この購入申込書を受理した後、どのように交渉を進めるべきかを解説します。

 

マンション売却

(写真はイメージです)

 

購入申込書のキャンセルは有効

 

まず前提のお話ですが、購入申込書はあくまで買主の「購入したい」という一方的な意思表示です。そのため、購入申込書を記入した後に買主の気持ちがゆらぎ、申込をキャンセルしたいと申し出ても、契約違反ではありませんし、法的な拘束力もありません。

 

一般に、一度は決意を固めて購入申込書を記入した後でも、買主には迷いが生じるものです。他に良い物件が見つかった、友人に話したら心配された、親に話したら反対された……。このように、購入申込書がキャンセルになる要因を挙げ始めたらきりがありません。買主は年収の数倍にもなるマンションを購入しようとしているのですから、他からの影響を受けやすくなるものです。

 

このようなことから、購入申込書を受領したら、買主が迷う前に素早く返答をすることが最重要です。出来るだけ早く売買契約の手続きに移行できるようにしましょう。

 

購入申込書に記載されていること

 

購入申込書には買主の購入希望条件が記されています。項目ごとに注意点を解説します。

 

 (1)売買価格

 

その不動産をいくらで買いたいのかという、最も重要な項目です。売出価格が4,200万円の物件に対して、たとえば「4,000万円で購入したい」というように、多くの場合、価格交渉が含まれています。現在の残債や売却の仲介手数料、抵当権抹消費用、印紙代などを考え、手元に残るお金がいくらになるのかを確認しながら判断するようにしましょう。その買主と契約しないことで販売期間が1カ月延びてしまえば、マンションの管理費や住宅ローンの金利など必要経費もそのぶん余計にかかります。ご自身の住み替え計画と照らし合わせ、どのような回答をするべきかを慎重に判断しましょう。

 

(2)手付金

 

売買契約時に買主から売主へ手渡す一部金であり、売買代金の一部に充当されます。売買契約書には手付解除期日が定められ、その期日までであれば買主は手付金の放棄、売主は手付金を返金して相当額を買主に支払う(預かった手付金の倍額を支払う)ことによって、一方的に売買契約を解除することができます。たとえば手付金を10万円とすると、売主も買主も10万円をペナルティとして支払うことで売買契約を放棄できるわけです。小さい金額ではありませんが、数千万円になる売買契約に対しては少し軽いと考えられます。手付金は売買代金の5~10%であることが一般的です。
 

 

(3)引渡し予定日(残代金精算予定日)

 

売買契約から2~3カ月後に設定することが一般的です。この間、買主は住宅ローンの手続きなどを、売主は引っ越しや住宅ローンの完済申請などを済ませます。2~3カ月よりも長く、たとえば半年先に設定することはまれですので、そのような期日が書かれていた場合には、その理由を確認するようにしましょう。

 

(4)住宅ローンの借入予定額・融資承認取得期日

 

売買契約では、買主が住宅ローンを利用する際、万一承認が得られなかったときは、売買契約を白紙解約できるよう特約が設定されます。多くの場合、売買契約は事前審査を経てから交わしますので、住宅ローンの審査が否認される可能性は低いのですが、ゼロではありません。特に購入に伴う諸費用も住宅ローンで賄う場合(売買代金を超える金額の住宅ローンを組む場合)は、多少なりともリスクがあることを把握しておきましょう。

 

(5)特約の有無

 

売買契約が解除になる条件を特約と言います。住宅ローンの特約が一般的ですが、これ以外にも特約を付ける希望が書かれていることがあります。たとえば、買替特約があります。買主の現在の住居が〇〇月〇〇日までに売却できることを条件とするものであり、売却できなければ売買契約を解除できると定めるものです。買主の現在の住居がどのような条件で売買されているのかによって契約が解除となるリスクが変わりますので、このような条件が付帯している場合には、詳細を確認するようにしましょう。

 

相手を知ることから始まる交渉術

 

売主は誰しも「どれだけこっちの条件に寄せることができるか」を考えているはずです。そこに向けて上手に交渉をするためには、相手方である買主の情報をよく知る必要があります。資金的な余裕がない購入希望者に対して金額を高くするように持ち掛けるのは非常に難しい交渉になります。そのような相手ならば、資金的な面は目をつむり、引き渡しまでの期間を長くして、もっとよい条件で買ってくれる相手を見つけるのも考え方のひとつかもしれません。

 

子供の入学など、引き渡しの時期を指定している買主であれば、金額面の交渉はたやすいでしょう。また、親が住んでいるマンションだからなど特殊な事情で購入を希望している買主には、強気で交渉に臨めるかもしれません。

 

売主も買主も売買契約ごとに事情が異なり、時期によっても希望条件が変化していきますので、すべての交渉に効くようなコツはありません。購入を焦る人もいれば、気長に探す人もいます。相手方の事情とご自身の事情を照らし合わせて、交渉のポイントを考えるようにしましょう。

 

最初から交渉しないという選択もある

 

購入申込書によって購入希望の意思を示している相手に対して売主からの返答で交渉を行うことは、少なからず交渉決裂のリスクを抱えます。4,200万円の販売価格に対して、4,100万円で購入したいという購入申込書が届くと、間を取って4,150万円という返答を売主側からすることが多々あります。

 

このケースの場合、最悪でも4,100万円で決着すればよいのですが、相手によっては購入そのものを撤回するという判断になってしまうこともあります。交渉を重ねることは時間がかかり、買主に対してストレスを与えることにもなります。結果、購入の意思が揺らぐことになるかもしれないのです。なので、購入申込書に対して交渉をするときには安易な気持ちで臨まず、最終的にその購入希望が撤回されてもしょうがない、という気持ちで臨みましょう。

 

交渉をせずスムーズに売買契約を締結させることで「いつ売却できるか分からない」という不安な状態から自身を解放できるというメリットもあります。ご自身の状況を踏まえ、そもそも交渉すべきかどうかということも慎重に考えましょう。

 

最後に

 

購入申込書を記入する時点で、買主は大きな決断をしています。なので、売主としても誠意を持って対応することが大切です。交渉すべきかどうか、交渉するならばどのような条件で交渉するのか。これらは双方の状況とタイミングによって左右されますので一律の答えはありません。交渉の窓口は仲介を依頼した不動産会社の担当です。彼らは経験が豊富ですので、譲っても良い部分と譲れない部分をしっかりと伝え、相手の情報を踏まえながら、どのような対応が良いか一緒に考えましょう。

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

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