不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年3月9日
  • 公開日:2018年3月8日

ボンビーガールが住む「夢のエリア」埼京線! 家賃も食品も激安なわけ

「お金がなくても幸せな生活」を楽しく明るくあたたかく描いたビンボー情報バラエティ番組『幸せ! ボンビーガール』(日本テレビ系、火曜22時~)。3月6日放送分では埼玉と東京をつなぐJR埼京線にスポットを当て、沿線での暮らしがいかに安くて充実しているかを紹介していました。

 

埼京線沿線が住むのにコスパがいいのは結局、地価が安いために商品の価格設定が低くてもOKだから、ということのようでした。埼京線沿線はなぜ地価が安いのか、これまであまりイメージがよくなかった埼京線ですが、その沿線住まいは今後どうなっていくのか、考えてみました。

 

埼京線

(写真はイメージです。)

 

なんでも激安! 「夢のエリア」

 

番組に登場した32歳のボンビーガールみあさんの自宅は、北戸田駅から歩いて少しの2DKアパート。広いキッチン、水回りはリフォーム済み、寝室にも収納たっぷりと独り暮らしには申し分のない部屋です。同じ条件だと都内なら家賃は10万円を超えるくらいなのに、なんと6万2,000円と激安。埼京線に乗れば新宿まで約40分で行けてしまうため、みあさんを訪ねた照英さんは「東京に住む理由が分かりませんよね」とその便利さに納得していました。

 

みあさんは、照英さんを自転車で近くにある「夢のエリア」に連れ出します。そこでは北海道函館港から毎日直送される新鮮な素材を使ったマグロ丼、サーモン丼、マグロソースカツ丼、マグロカツカレーの4種類どれも1,300円で食べ放題となる店や、野菜が通常価格の半値くらいのスーパーがありました。クリーニング代も飲食店のメニューもエリア外よりも格安でした。

 

この「夢のエリア」は埼京線沿いに点在しています。そして、なぜこんな価格が実現できるのでしょうか。

 

準工業地域とは?

 

番組では、このエリアが「準工業地域」だから、と説明していました。準工業地域とはなんでしょうか。少し回り道になりますが、頭から説明します。

 

どこの市町村でも、まず「どのエリアで街づくりをするか」を指定し、そこを「都市計画区域」と呼びます。この都市計画区域は積極的に市街化を進める「市街化区域」とそれを進めない「市街化調整区域」、それ以外の「非線引き区域」の3種類に分かれます。

 

「市街化区域」はたくさんの人が住み、商売をし、生産活動をするわけですが、土地や建物の使い方や目的が違う人たちが混在してはトラブルが発生します。これを防ぐため、エリアを12種類に分け、それぞれで建てても構わない建物やその建ぺい率、容積率、高さなどを規制しているのです。これを用途地域と呼びます。

 

たとえば東京の丸の内に牛舎はないですし、新宿の歌舞伎町に学校はありませんよね。閑静な住宅街のど真ん中にパチンコ店やごみ焼却場もありません。大手町といえばオフィスビル街、田園調布といえば高級住宅街、渋谷センター街といえば歓楽街という具合に、それぞれの街が歴史的に育んできたイメージやブランドを行政区分に落とし込んだものと考えたら分かりやすいでしょう。

 

用途地域は一覧にすると以下のようになります(国土交通省のサイトから引用)。この中に、番組にも出ていた準工業地域が出てきます。みなさんがお住まいのエリアはどこに該当するでしょうか。

 

第一種低層住居専用地域

 

 

低層住宅のための地域です。
小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。

 

第二種低層住居専用地域

 

 

主に低層住宅のための地域です。
小中学校などのほか、150m2までの一定のお店などが建てられます。

 

第一種中高層住居専用地域

 

 

中高層住宅のための地域です。
病院、大学、500m2までの一定のお店などが建てられます。

 

第二種中高層住居専用地域

 

 

主に中高層住宅のための地域です。
病院、大学などのほか、1,500m2までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。

 

第一種住居地域

 

 

住居の環境を守るための地域です。
3,000m2までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。

 

第二種住居地域

 

 

主に住居の環境を守るための地域です。
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。

 

準住居地域

 

 

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。

 

近隣商業地域

 

 

まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。

 

商業地域

 

 

銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。
住宅や小規模の工場も建てられます。

 

準工業地域

 

 

主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。
危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。

 

工業地域

 

 

どんな工場でも建てられる地域です。
住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

 

工業専用地域

 

 

工場のための地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

 

この12の地域は住居系、商業系、工業系に大別され、それぞれ住む人、商売をする人、生産をする人が自身の目的に応じて建物をつくるために便宜が図られています。工業系地域の場合、製造業者のために便宜が図られます。敷地面積を要する工場うをつくろうとしても、地価が高いと莫大(ばくだい)な費用がかかってしまうことになります。なので、土地の価格は住居系や商業系よりも安くしています。

 

上記の表中の工業専用地域は港のコンビナートなどが該当し、住居や物販、飲食店は建てられません。すなわち、人が住むことができません。これに対し、工業地域、準工業地域ではそれらはOKです。ただ、人と工場が共存している以上、工場が生産活動のために騒音を立てても、大型車両の出入りが激しくても、そこに住んでいる人は文句を言えません。そのかわり、地価が安いというメリットを享受できるのです。

 

準工業地域は工業地域の色を薄め、より人が暮らしやすくしたものといえます。工業地域では劇薬や可燃物などを取り扱う工場でも建てられますが、準工業地域には環境悪化をもたらすおそれのある工場はNGで小規模なものに限られます。工業地域内では設けられていた店舗の広さ制限も撤廃され、認められていなかったホテルやカラオケ、映画館などはOKになります。

 

なので、住居系の用途地域ほどは住環境はよくないが、工業地域ほどは住みにくくないという、いわばグラデーションゾーンと言えるでしょう。番組では印刷工場の作業音やトラックの出入りは確かにあるが、夜7時になればどこも閉まるので「みなさんが思っているよりも住みやすい」と表現していました。

 

準工業地帯のデメリット

 

ただ番組では、準工業地域に住むことのデメリットにはあまり触れられていませんでしたので、ここであえて紹介しておきます。

 

いくら環境悪化の懸念がない町工場主体とはいえ、畜舎の設置は可能ですし、やはり気分の問題も含めて空気が悪いといえるのではないでしょうか。また、トラックなど大型車両の出入りが激しく、自動車の倉庫や教習所も設置できるので、小さな子供を抱えている世帯には交通事故などの不安が残るかもしれません。お年寄りにもやさしくないといえるでしょう。風俗店はNGですが、パチンコやマージャン店、場外車券売り場などはOKなので、気になる人は受け入れがたいかもしれません。そして、日中はやはり騒音から逃れられません。

 

ただ、「独り暮らしで夜は寝に帰るだけ、休みの日は都心に遊びに行くので、住みやすさは二の次でいい」という方にはとても向いているでしょう。

 

地価が売り物の値段を決める

 

番組では、準工業地域内の土地の価格は1坪95万円ですが、エリア外は121万円と表示していました。ざっと1.3倍の安さになります。このほかにも、同じ3LDKのマンションの平均価格はエリア内は約2,980万円、エリア外は4,000万円。ほぼ同じ条件の賃貸ワンルームはエリア内は3万7,000円、エリア外は4万5,000円でした。先述のマグロ丼の店の経営者も「家賃が安い。都内で借りると月に150万円はする広さだが、ここでは40万円」と話していました。

 

つまり、仕入れ費や原価が同じなら、売られているものの値段を決めるのはズバリ、土地の価格だということがよくお分かりいただけると思います。埼京線沿線にはこうした準工業地域があるため、土地の価格が安く、売られているものが安いということになるのです。決して特別なことではなく、日本全国にこうした場所は存在します。

 

埼京線ライフの今後は

 

40代前半以下の世代は、物心ついた時、社会人になった時にはすでにデフレでした。不況に慣れ切った彼らは、価格の割に満足度が高いもの、すなわちコスパのよさをどの世代よりも最も求めているといえるでしょう。これに加え、最近は「モノ消費」よりも「コト消費」を求めるようになってきたといわれます。すなわち「何を買う」ではなく「どこで、誰と買って、どんなプレミアム感を得たか」、そしてそれをSNSで発信していかに共感してもらえたか(いいね!をもらえたか)を重視します。

 

この世代は、あの見栄っ張りなバブル世代と異なり、趣味に高いお金をかけることにはそれほど高い価値を見いだしていません。インスタグラムに上げた写真を「盛る」(かっこよさ、かわいさ、見栄えのよさを演出する)ために過剰にお金をかけていることがバレたら、それはむしろ逆効果となってしまいます。

 

先述したように、埼京線にはこれまであまりよいイメージはありませんでした。しかし、若者がデフレマインドを持ち続け、コト消費を求める傾向が続くほど、「埼京線住み」はもっと市民権を得ていくことでしょう。すでに埼京線の赤羽駅周辺は安くておいしい飲み屋街が充実しているとプラスのイメージが定着し、土地の価格とともにマンション価格も上昇の兆しを見せています。足立区の北千住も同様の理由とアクセスの良さから、住みたい街ランキングに入ってくるようになりました。埼京線エリアも今後、同様の道をたどるのかもしれません。

 

飛鳥一咲(あすか・いっさく)
大阪大学卒業後、全国紙記者として関西の支局や東京本社社会部などを歴任し、政治や選挙、事件、話題ものなどを10年にわたって幅広く取材。現在はフリーライターとして、不動産を中心に経済全般について取材・執筆している。

 

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