お部屋のクロス(壁紙)が新品だと、住む上では「気持ち良い」と誰もが感じるでしょう。しかしマンション売却に関して言うと、クロスの張り替えは賛否両論あります。張り替えで「資産価値が上がる」という意見もあれば、「工事費用の無駄でしかない」と言う人もいます。

 

マンション売却前にクロスは張り替えるべきなのか?

 

はたして中古マンションは売却前にクロスを張り替えるべきなのでしょうか? 今回は張り替えによるメリットやデメリット、費用対効果について考えてみました。

 

マンション売却

(写真はイメージです。)

 

肯定派「大事に使ってきたという印象を与えられる」

 

「クロス張り替えはメリットの方が大きい」そう考える人たちが強調するのは、内覧に来る人に与える印象面です。

 

壁は部屋に占める面積が大きいため、新品に替えることでお部屋のイメージが一新し、室内の汚れや傷、劣化した部分を覆い隠すことにもなります。そのため「手入れの行き届いた、大事に使ってきたマンションだ」という第一印象を内覧者に与えられるというのです。

 

内覧者から好印象を得られれば、成約の可能性は一気に引き上がります。キッチンなどの設備類や給排水施設の手入れについても、十分に行われてきたのだろうと連想させることにもなり、物件全体に対する安心感を喚起します。その結果、購入候補としてはライバル物件よりも有利になります。

 

価格査定の際にも、クロスの張り替えはプラスに反映されるという意見を多く聞きます。張り替えにかけた費用分を査定価格に上乗せしても成約率が落ちるとは考えにくいので、張り替えをしないままの査定よりも査定価格は上昇するというわけです。

 

「クロスの張り替えは、費用はかかるがその分高値で売却でき、成約の可能性も高まり、結果的に売却に好結果をもたらす。出費というデメリットを抑えて余りあるメリットがある」というのが、クロス張り替えを効果的だとする人々の考えです。

 

否定派は「ほかの劣化が目立ってしまう」

 

逆にクロス張り替えはマンション売却においてデメリットのほうが大きいと考える人たちは、どのような理由からそう主張するのでしょうか? 彼らは、デメリットの理由を内覧者の視点に求めます。

 

確かにクロスを張り替えると壁の汚れや劣化は覆い隠され、その清潔さから部屋を広く見せる効果があります。しかし、新しくなったクロスの周りには、当然ですが元からあった柱や敷居、建具や家具が存在します。

 

ただ、それらはクロスと違って何もリニューアルされていないのです。新品のクロスが、かえって古いままの部分の劣化を際立たせてしまい、見る者に統一感のなさやリフォームの必要性をも感じさせてしまうというのです。

 

また内覧に来る人たちには、それぞれの事情や好みがあります。「壁よりもキッチンやトイレを最新のものにしたかった」「クロスをきれいにするならば、売主が選んだものではなく自分の趣味に合うものにしたかった」などと考える人もいるでしょう。

 

仮にクロスが内覧者の趣味に合わなくても、購入後に再び張り替えれば良いのですから、成約の可能性がなくなるとまでは言いません。しかし、成約となった場合、それは物件自体の魅力によるもので、クロスの張り替えが成約の手助けとなったわけではないというのが「否定派」の意見です。

 

クロス張り替え費用の相場

 

売却前のクロス張り替えは是か非か。その結論を出す前に、クロス張り替えにはどれくらいの費用が必要かを紹介しておきましょう。

 

一般的にクロス張り替え工事の価格は、使用するクロスの材料費に、施工工賃と廃材処理費、業者の利益や消費税などを加算して計算されます。

 

材料費は長さ(m)か面積(㎡)当たりの単価を、施工対象箇所の大きさに乗じて計算します。延床面積80㎡のマンションなら対象箇所は300~350㎡程度となるので、材料費は30万~35万円前後、ここに他の諸費用が加わり工事全体では40~50万円前後の費用となります。

 

クロスの金額は柄やグレード、防水性などによって上下します。どんなに高額なクロスを使ったとしても、80㎡のマンションなら上記の値段にプラス20万円程度として、70万円前後までを総額の目安と考えておけば良いでしょう。

 

張り替えにかけた費用が「無駄金」に?

 

クロス張り替えの是非を考えるポイントは、張り替え費用を50万円として、その50万円が売却を有利に進めてくれるか否か、という観点です。その考察のためには、内覧に来る購入希望者のスタンスに立って考えてみることが重要になります。

 

「中古物件は安さが第一。リフォームの費用分が上乗せされるならば、不要だった」と考える購入希望者も少なくありません。したがって、実際に売却をスタートした際の値段設定と、購入希望者からの価格交渉も考慮しておくべきです。

 

査定価格が3,000万円だとすると、売出価格は強気に出るなら3,280万円とか3,180万円となり、早期売却を目指すなら2,980万円といった設定が一般的です。内覧者が物件を気に入ってくれた場合、価格交渉幅はとして端数(80万円)を切るケースが多くなります。

 

昨今は、価格交渉をせずに満額での購入申込を行う購入者はそう多くありません。全ての売却物件で価格交渉幅が80万円になるわけではないですが、多くの場合、クロス張り替えに要した50万円は、価格交渉によって無駄金に終わってしまう可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。

 

さらに「不動産は一生に一度あるかどうかの買い物」とよく言われます。そのような大切な買い物で、かつ購入後は長く住み続けるのですから、クロス一つでも、できる限り自分の趣味や事情に合ったものを購入したいと考えるのが普通ではないでしょうか。これは中古マンションに限ったことではありません。

 

したがって、売却前のクロス張り替えは、否定派の主張に軍配を上げます。いくら新品に張り替えたクロスがきれいで清潔であったとしても、内覧に来た人の好みに合わなければ、購入者心理をくすぐるまでには至らないと認識すべきでしょう。

 

結論「売却にあたってのクロス張り替えはデメリットのほうが大きい」

 

50万円前後というクロス張り替え費用は、売却の経費として支払うには決して少額ではありません。それだけの費用をかけても、購入者からの価格交渉によって相殺されてしまう可能性が高いならば、見た目の向上以外にメリットは見いだせません。

 

さらにその見た目も、内覧者の趣味に合わなければ逆効果。運良く成約に至ったとしても、購入者がまた一から自分好みのクロスに張り替える例も少なくないのです。

 

費用対効果の薄い売却対策を講じるくらいなら、マンションの売出価格をクロス張り替えの代金分だけ下げたほうが、よっぽど成約の可能性を高めてくれます。そこまでしなくても、価格交渉に備えて張り替え費用分を値幅として用意しておくだけでも、張り替え工事で出費を確定させてしまうよりはるかに売却を有利に進められます。

 

中古マンションを探す購入希望者は、築年数経過による劣化は織り込み済みです。したがってクロス張り替えのような、マンションの性能向上を伴わない見た目だけのリフォームは、残念ながら売却には好影響を与えないと考えたほうが安全と考えます。

 

伊東博史(宅地建物取引士)
大手不動産仲介会社で売買仲介に約10年間の勤務。のべ30年間以上にわたり、大手と中小、賃貸と売買と、多角的に不動産業務に携わる。現職では売買と賃貸仲介と管理、不動産投資や相続のアドバイスを行う。

 

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