不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月10日
  • 公開日:2018年2月15日

マンション売却の前に床の傷はどうすればいい? 補修と値引きの考え方

マンションの購入から売却までに、ほとんどの方は数年から数十年という時間を過ごすことでしょう。その間、どれだけ気を付けていても、床や壁には傷を付けてしまうものです。お子様やペットが付けてしまうこともあれば、物を落としたり、イスやテーブルを引きずったりして傷ができてしまうケースもあると思います。

 

そのマンションを売却するとき、購入検討者はマンションを見に来ることになります。売主としては「できるだけきれいに見せたい」というのは当然の心理。床や壁に目立つ傷があれば、補修を検討されるかもしれません。さて、こうした日常的にできてしまった傷はマンション売却に向けて補修するべきなのでしょうか?

 

リフォーム

(写真はイメージです)

 

中古マンションの傷や汚れに対する考え方は、購入検討者によって違う

 

マンション売却を検討中の売主から、床や壁などの補修について冒頭のような相談を受けたとき、私は「補修をしない方が良い」と伝えています。その理由は、買主によって補修に対する考え方が違うからです。

 

例えば、売出価格4,000万円のマンションの室内廊下に、大きな目立つ傷があるとします。重たい荷物を落としてできた傷で、売主自身でいろいろと試してはみたけれど、どうにも消えなかった傷です。こんな場合、多くの売主は傷をマイナス要素と考えてしまうでしょう。しかし実は、購入検討者の考え方は十人十色なのです。

 

「傷は確かに気になるけど、購入予算にも限りがあるので、そのままでもしょうがない」

 

「傷が気になるが、購入予算にも限りがあるので、専門業者の補修(リペア)で我慢しよう」

 

「傷が気になるので、フローリングの張り替えを前提に検討しよう」

 

「立地は気に入っているが室内は自分好みにしたいので、(傷に関係なく)全体リフォームを前提で検討しよう」

 

このように、傷に対する購入検討者の判断・評価は各々の価値観によってさまざまです。例えば全体リフォーム前提で考えている人にとっては、床の傷など全くマイナス要素になりません。こうした買主の思いに反して先に売主が補修してしまえば、その行為と費用が無駄になってしまいます。

 

売主側でフローリングの張り替えを行ったとしても、そのフローリングが購入検討者の好みに合うかどうかも分かりません。落ち着いた色合いを好む方もいれば、明るめを好む方もいます。全ての購入検討者が好む張り替えなど不可能と言って良いでしょう。

 

売却するマンションの傷や汚れの補修は買主の判断に委ねるべき

 

中古マンションには、上述のように目立って大きな傷ばかりでなく、目立たないものや、大小さまざまな傷や汚れがあるものです。これら全てを売主側で修復することはできませんし、そもそもどこをどこまで修復するのが良いのか、という答えも、一定ではありません。

 

したがってマンション売却をするとき、傷や汚れの補修については、購入検討者にその判断を委ねるのが正解です。そして、それを含めて売買金額の交渉を行います。例えば、フローリングの張り替えを前提としている購入検討者であれば、「4,000万円が売価だが、フローリングの張り替えを前提としているので、それを含めたリフォーム費用として100万円値引きしてほしい」といった交渉になります。

 

もちろん、リフォーム以外の理由で値引き交渉をすることもあります。「4,000万円が売価だが、傷があることは我慢するので、ハウスクリーニング代20万円を値引きしてほしい」という交渉になるかもしれません。そして値引き交渉ですから、売主としてもそれを受けるかどうかを判断しなければなりません。

 

同時に複数の交渉があれば売主としても優劣を比較して判断しやすいのですが、多くの売買では、タイミングがずれて交渉話が届くため、1つ1つの交渉の良し悪しの判断は難しいものです。不動産会社の担当者にもよく話を聞きながら見極めていきましょう。

 

マンション売却では「傷や汚れを隠さずに購入検討者に伝えること」が重要

 

これまでご説明した通り、中古マンションの売主側で費用をかけて傷や汚れを補修してしまうのは得策と言えません。傷や汚れに対する補修の要否や方法は、購入検討者に判断を委ねましょう。

 

そして、マンション売却前に売主自身が気付いている傷や汚れのことは、積極的に購入検討者に伝えるべきです。「購入検討者の印象を良くしたい」といういから、傷や汚れをカーペットやポスターで隠す売主も実際におられます。その気持ちも分からなくはありませんが、最終的にはそれがトラブルの原因になりかねません。

 

売主が居住しながらマンション売却をするケースでは、買主が空室の室内を確認できるのは売買契約後です。契約時には、マンションをどのような状態で引き渡すかを記した「付帯設備表」を記載し、売主・買主・不動産会社で共有します。しかし床や壁紙の傷・汚れは、この付帯設備表の項目には存在しません。それに売主が居住している段階での室内見学は、買主にも遠慮があるため、すみずみまでは確認しにくいものです。

 

売買契約締結後、最終の引渡し確認の段階で空室の床に大きな傷を見つけたら、買主のショックは大きいでしょう。リフォーム前提の買主ならまだしも、そのまま使用する想定だったとすればトラブルに発展しかねません。その段階ではフローリング張り替えの費用を住宅ローンに上乗せするのも難しく、買主は自己資金で対応するしかありません。

 

マンション売却後のトラブルを避けるためにも、大きな傷や汚れについては、早めに購入検討者にお伝えした方が良いでしょう。

 

マンション売却時は、補修よりも価格の交渉の幅を持つべき

 

中古マンションの売買には「定価」がありません。もちろん過去の売買実績に基づいた査定や周辺物件によってある程度の相場価格は示されますが、そのマンションは1つしかなく、その販売価格が妥当であるかは、最終的には売主・買主双方の気持ち次第となります。したがって売主は、買主の気持ちを引き寄せるためにある程度の交渉幅を販売価格の中に設けておくべきです。

 

販売価格4,000万円のマンションを買主が「3,700万円で購入したい」と交渉を始め、最終的に3,800万円で売買契約が成立したとします。この場合、買主としては交渉幅の半分よりも大きい200万円を値引いた形になり、満足感は高いでしょう。もしこれが最初から販売価格3,800万円だったら、3,800万円で契約という結果は同じでも買主様の満足感は少ないかもしれません。

 

定価がないものだからこそ、値引き交渉が有効に働く中古マンションの売買では、補修にお金をかけるよりも、その分を交渉幅として考えておいた方が良いといえるのです。

 

まとめ

 

マンション売却時には、傷や汚れの補修に費用はかけず、まずは購入検討者の判断に委ねるようにしましょう。大きな傷や汚れの存在はできるだけ早めに伝えて、購入の判断をしていただくことが売買契約後のトラブル回避にもつながります。

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。

 

 

この記事に関連する「マンション売却 気になる仲介手数料の仕組み」もぜひご覧ください。

 

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※2025年11月09日現在 本社・首都圏営業所の数値

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