去る9月19日、都道府県地価調査が発表されました。全国の都道府県知事が毎年7月1日時点の地価動向を調査するもので、基準地の標準価格ともいわれています。これによると、全国の商業地平均は2年連続で上昇、不動産価格の上昇をけん引しています。

 

不動産が高くなっているのなら、現在お住まいの住居を「高値で販売して買い換えたい」と考える方も多いと考えられます。また、「今後も値上がりするのなら今のうちに」と、不動産の購入や投資についても関心が高まっているかもしれません。

 

実際、中古住宅市場も活性化しており、中古マンションの取引量は新築マンションを超える状況となっています。

 

自分の家はいったいどのくらいで売れるのか、不動産取引のプロはどういう視点で不動産を評価するのか、ということに興味を持つ方も増えているようで、最近はテレビのバラエティー番組でもこうしたテーマを取り扱うようになってきました。

 

そこで今回は、不動産会社による不動産の評価である「査定」について、詳しくご説明することにしましょう。

 

不動産売却

(写真はイメージです。)

 

不動産売却の「査定」ってなんのこと?

 

そもそも「査定」とは、どういうものなのでしょうか?一般的には「不動産会社が算定する不動産の妥当な市場価格」とされています。

 

しかし、不動産取引に関する法律である宅地建物取引業法(宅建業法)では、その明確な規定はありません。宅建業法第34条の2第2項で「価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない」と定められているだけです。

 

また国土交通省の宅地建物取引業法に関する「解釈・運用の考え方」では、合理的な根拠を明示すること、書面を用いるときは「不動産鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないことを明記すること」とされています。不動産の「鑑定」は、不動産鑑定士しかできない業務であるからです。

 

したがって「査定」とは、「不動産会社が、この価格ならば売れるであろうという合理的な根拠を提示できる、参考意見としての価格」ということになります。

 

なお不動産会社は査定に対して報酬を求めることは基本的にできません。その代わり、査定価格と実際の売買価格に相違があったところで、(あくまで参考意見ですので)不動産会社に責任を問うことも基本的にはできません。

 

しかし査定価格は、売り出し価格や売買価格を決める際はもちろん、買い換えの資金計画にも影響する重要な価格です。決しておろそかにできるものではありません。また参考意見だからこそ、信頼できる査定をしてくれる不動産会社を選ばなければいけません。

 

「査定」の3方式

 

信頼できる不動産会社か否かを判断するためには、査定の方法やポイントを知っておく必要があります。
不動産価格を判定する方式としては(1)原価方式(2)取引事例比較方式(3)収益還元方式の3種類が代表的なものとして挙げられます。

 

1.原価方式

評価対象の建物を、売却時点で建設した場合の費用(再取得価額)を試算し、そこから老朽化による価値の低下(減価修正)や修繕・リフォームによる価値の向上、個別の評価を加味して評価する方法です。主に戸建ての建物部分についての評価に用いられます。

 

2.取引事例比較方式

近隣・直近の取引事例の中から比較対象事例を選び、評価対象の不動産との条件や特徴の差異を比較補正して評価する方法です。主に市場がある程度あって比較が容易な不動産(土地、戸建の土地部分、マンションなど)の評価に用いられます。

 

3.収益還元方式

評価対象の不動産が将来生み出す利益(家賃収入・事業収入など)が、現在の価値に対してどのくらいの割合となるかで評価する方法です。主に賃貸物件や事業用物件の評価に用いられます。

一般の住宅の査定は、ほぼ以下の方法で査定されると思って良いでしょう。

 

(1)一戸建:取引事例比較方式(土地部分)+原価方式(建物部分)

(2)マンション:取引事例比較方式

 

査定のポイント

 

査定は「売れるであろう価格」ですから、本来は、そう齟齬が生まれず、自ずと一定の価格レベルに収れんされるべきものといえます。

 

しかし、同じものが2つとない不動産という商品の特性と、評価のポイントが多岐にわたり主観的な要素も多いこと、不動産会社によって重視するポイントも変わることから、査定価格には不動産会社ごとにバラつきが生じます。

 

以下の表は、査定における評価ポイントを列挙したものです。
評価ポイントは、机上のデータのみで評価できるポイントと、実際に物件を見てみないと評価できないポイントに分かれます。

 

査定ポイント

 

区分  チェックポイント 内容
建物 築年数 5年以下、10年以下、15年以下、20年以下、30年以上でそれぞれ市場評価は段階的に下がる。老朽化による減価を算出する場合にも重要。新耐震基準となった1981年の以前か以後かも評価に直結する
構造 税法上の耐用年数は、木造20年・22年、金属造27年・34年、鉄筋コンクリート造47年など、用途と構造によって変わる。老朽化による減価を算出する際に重要
規模 住戸数
間取 LDKの広さ、収納スペース、ベランダ・バルコニー、天井高、バス・トイレ・キッチンの配置
住戸位置 所在階、方位、日照、通風、角部屋
面積 相場を単位面積当たりで比較する場合が多い
共用部分 付帯施設、エレベーター、エントランス、オートロックなどの防犯設備
耐震・省エネ性能 耐震住宅・省エネ住宅・バリアフリー住宅は、所得税控除や住宅ローン控除の適用の可能性もあり、評価が高い
土地 交通の便 都心部からの距離、駅からの距離:徒歩5分以内、10分以内は評価が高く、バス便は低い
エリア 都市別に、都心部からの距離が一緒でも人気のある街、無い街がある
面積 相場を単位面積当たりで比較する場合が多い
形状 間口が広い成型地は評価高い。多角形やゆがんだ形状、旗竿地などは、利用できない面積が増える為評価は低い
接道状況 建築基準法上の接道義務を満たしていなければ評価は下がる。私道も評価低い。角地は建ぺい率も上がることが多いため、評価が上がる
建ぺい率
容積率
土地の利用面積が増える為、率が高くなると評価が高くなる
用途地域 用途地域によって、利用用途や建ぺい率も変わるので、評価にとっては重要。同じエリアであれば、商業地域、近隣商業地域が利用用途が幅広いため、評価は高い傾向
土壌 泥炭地、三角州や川沿は、建設の際に杭を深く打つ必要があり建設費がかさむので低価、化学工場、クリーニング屋、ガソリンスタンド、整備工場跡地などは土壌改良の必要性を確認する費用がかさむため低価
隣地との境界 境界杭、境界同意がされているかどうか、されていない場合は必須のため費用が掛かる
周辺環境 店舗 スーパー、コンビニエンスストアとの距離
公共施設 病院・公園・学校・市区役所・交番からの距離
学区 公立小学校、中学校、高校の学区は意識されることが多い、高偏差値など人気のある学校近辺は評価が高い
騒音・治安 居住施設の場合は、繁華街の周辺は敬遠されることが多いが、事業用用地としては評価が上がるため一般的に地価は高い。高速道路、幹線道路、飛行場の近くなどは騒音が敬遠されるため評価が低い
設備 玄関 広さ、シューボックスの有無、匂い、ドアの開閉状況
トイレ 温水洗浄便座の有無、様式・和式、手洗いスペースの有無、匂い
バス 広さ、追い炊き機能、浴室乾燥機の有無、着替えスペースの有無、水カビ
シャンプードレッサー 有無
キッチン システムキッチンの有無、自動食洗器の有無、対面式キッチンの有無、蛇口数、コンロ口数、換気扇の有無、デイスボーザーの有無
 LDK 広さ、冷暖房システム、床暖房
個室 広さ、冷暖房システム、ウオーキングクローゼットの有無
ガス プロパンか都市ガスか。一般的に都市ガスの方が評価は高い。オール電化はなお高い
駐車場・駐輪場 屋根の有無、自動シャッターの有無
専用庭は評価高い、背の高い樹木は管理費がかかるので敬遠されるため評価低い
サイズ、採光、窓枠・サッシ・雨戸などのゆがみ
管理状況
その他
管理状況 管理会社・管理人の有無、修繕積立金の積立残高、修繕記録の有無、管理費・修繕積立金の月額、特に築15年以上は屋上防水、外壁塗装工事の修繕実績、計画の有無が重要
個別の管理 雨漏り、結露、シロアリ被害、水漏れ、配線・給排水の異常、外壁ひび割れ、欠損など
残置物の確認 引渡の際に、無償で残しておくものの確認
所有権の確認 所有権者、売却動機の確認

 

築年数や面積、間取りなどは机上のデータでおおよそ判定できます。こうしたデータのみで査定をすることを「机上査定」「簡易査定」などといいます。これに対し、不動産会社の担当者が実際に訪問し、所有者とも面談して各ポイントを確認して細かく評価する査定を「訪問査定」といいます。

 

訪問査定では、机上査定よりも多くのチェックポイントを確認し、印象による評価も加わるため、不動産会社による査定の幅も広く現れます。

 

査定アップのポイントは?

 

売主にとっては、自分の物件が高く売れるに越したことはありません。不動産会社の査定が高いということは、その価格で売る努力をしてくれるというのと同じ意味ですから、査定価格もできるだけ高くしてもらいたいものです。それには、どんなことに注意すれば良いのでしょう。

 

上表の査定ポイントを細かく見てみましょう。残念ながら多くのポイントは、売却の際に急に変更できるものではありません。物件のありのままの姿が査定されてしまうということです。

 

普通のキッチンが急に対面キッチンに変わることも、LDKがいきなり広くなることもありません。売却にあたりリフォームすることは可能ですが、リフォーム費用を上回る売却価格アップを保証してくれる不動産会社はまずないでしょう。不動産の価値を急激に上げる方法はありません。

 

しかし、査定をアップする方法は2つあります。
1つは、「査定アップ要因」を見落とされないようにしっかりアピールすること。眺望・日当たり、騒音、学区、周辺環境、間取りなど、自身がお住まいになって気に入っている長所を強調することが必要です。

 

物件の長所を不動産会社と共有できれば、査定だけではなく、販売時に有効なセールストークにもなりますし、価値観を同じくする購買層の絞り込みにも役立ちます。売主が評価アップ項目だと思うことは、もれなく不動産会社に伝えることが重要なのです。

 

もう1つは、マイナスポイントを減らすための掃除・整理整頓です。同じ設備でも、きれいに磨き上げられた設備と、雑然として劣化が目に付き生活感が漂う設備とでは、評価が変わるのは当然です。マイナス評価を得ないように、しっかりと備えるようにしましょう。

 

査定は複数の業者にしてもらいましょう

 

さらに、査定をしてもらう際の最重要ポイントをお伝えします。

 

査定は、前述の通り、不動産会社の主観がどうしても入ります。また不動産会社にとっての得意・不得意や、販売意欲、経験や実績などにも大きく左右されます。したがって査定アップのためには、複数の業者に査定してもらい、その中から納得のいく不動産会社を選択する必要があります。

 

不動産会社の選択には、査定価格の高低ももちろん重要です。しかし、飛び抜けて高い価格を提示してきた会社にあわてて飛びつくのも、あまりおススメしません。査定だけでは不動産会社は報酬を得られませんから、売却の依頼を得たいためだけに高い査定をもっともらしく提示する不動産会社もあるのです。

 

そんな会社に依頼してしまうと、結局、長い間売れずに販売機会を損失するばかりか、他の会社の査定額よりも安い価格でしか売れなくなるというケースもあります。

 

査定を通じて不動産会社を選定する場合は、査定額の高低よりも、「査定額について自信を持って説明できるか」「依頼者の希望や疑問に根拠を持って説明できるか」といった対応を重視するべきです。これらは購入時においても重要な条件で、依頼者が不信感を持つような説明では、購入希望者を説得できるわけがありません。

 

査定の仕組みやポイントを理解すれば、より信頼できる不動産会社を選べるようになります。今回ご紹介した内容や「査定ポイント」の表をぜひご活用いただき、売却に成功していただきたいと思います。

 

早坂龍太(宅地建物取引士)
龍翔プランニング 代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。

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