マンションの売買など不動産仲介を行う有資格者は宅地建物取引士です。ただ、媒介契約から物件引き渡しまでのプロセスで登場するもう一人の有資格者として司法書士が存在することは、あまり知られていないかもしれません。司法書士はどんな場面で登場し、どんな役割を果たすのか、東京司法書士会所属の司法書士、仲西文夫氏にお話をうかがいました。(聞き手:不動産のリアル編集部)

 

対抗要件である登記を確実にやる

 
――不動産取引における司法書士の役割から教えてください。
 
仲西 司法書士の最大の役割は不動産の取引の安全性を確保することです。「不動産会社や相手方が信頼できないから、契約の段階から書類を確認してほしい」と依頼されることもあるのですが、通常はいろんな手続きを経て、決済を行うという、最終局面に出ていくことが多いです。
 
そこで行うのは「登記」です。登記には目的によって種類が異なりますが、マンション取引で想定されるのは、購入や贈与、相続する際に必要な「所有権移転登記」と、ローンを組む際に必要な「抵当権設定登記」などです。このほか、ローンを完済した際の「抵当権抹消登記」、所有者の住所を変更する「住所変更登記」などもあります。
 
――登記は何のために行うのですか。
 
仲西 登記は「対抗要件」を取得することが最大の目的です。対抗要件というのは簡単に言うと、登記に記載されて初めて第三者に対して所有者であることを主張できるものです。たとえば二重譲渡の場合、先に登記をした方が所有権を主張できるんです。登記は本人でもできるのですが、報酬を得て代行できるのは司法書士の専業となっています。確実な登記をしてしまわないと百パーセントの安心はできません。やはりプロの手で行った方がいいと思います。
 
このほか、登記に至るまでに、取引される不動産の権利の内容が適正か、権利上隠れた瑕疵はないかどうかなどを登記簿でチェックします。次に印鑑証明などの書類が正しいか、売主に本当に売却の意思があるか、そして最も基本的なことですが売主・買主が本人かどうかなどの確認を行います。
 
――そういえば最近、大手住宅メーカーがなりすまし犯による詐欺の被害にあうという事件がありました。証明書や書類の偽造がないかを確かめることも司法書士の仕事なんですね。
 
仲西 東京は不動産の価格が高いので、土地や建物に絡んだ詐欺事件が実は頻繁にあります。手口もどんどん巧妙になっていますが、その分、チェックも厳しくやるようになっていて、ほとんどが前段階で阻止されているんですよ。本人確認は特に重要で、たとえば運転免許証のチェックにしても私たちには独自のやり方があります。中には、本人確認のプロセスで「俺を信用できないのか」と立腹される方もいらっしゃいますので、気を遣いながらやっています。
 

(仲西司法書士事務所 仲西文夫氏)
 
 

気になる手数料のこと

 
――不動産会社は業務提携している司法書士を指定することが多いです。ただ、主に手数料(報酬)のことを気にされてか、「こちらで探したい」という相談もあるようです。不動産取引の場合、司法書士に支払う報酬の相場を教えてください。
 
仲西 だいたい所有権移転登記と抵当権設定登記で10万円くらいでしょうか。一昔前は手数料の額については法務省の規程がありまして、そんなに幅があるものではありませんでした。小泉内閣の規制緩和でルールが撤廃されて価格が自由化されたのですが、前の報酬規程の範囲内でやっているところが多いのではないでしょうか。不動産会社から安定的に仕事の依頼があり、業務も定型化されていると、クオリティを保ったままで報酬の価格を下げることができます。
 
――不動産会社が指定する司法書士のほうがいいということでしょうか。
 
仲西 私の場合、売主・買主が各種書類のことを不動産会社から説明を受けているので、話が早く、仕事もしやすいと感じます。ある程度の本人確認もできていますので、私にとっても安心感もあるし、結果、スピード感も出ると言えますね。
 
――最近、知人や親類のようによく知っている相手方とは不動産会社に仲介を依頼しない「個人間売買」をする人もいます。登記などを依頼された場合、お請けになるなら金額はどのくらいになりますか?
 
仲西 そうですね。ただ前提として申し上げておかないといけないのは、瑕疵担保はどこまでか、固定資産税に未納はないか、管理費を積み立てているのかどうかなどの確認を全部個人でやるのは面倒でもあるし、リスクもあるということです。安心を求める方にとってはできれば避けて、プロに任せたほうがいいのではないでしょうか。
 
そのうえで、不動産会社を通さない場合はこちらも確認事項が増えますから、通常は10万前後ですが2割くらいアップするくらいで考えていただけたらと思います。物件価格にもよりますが、3000万円のマンションなどなら 15万円くらいになるでしょうか。繰り返しになりますが、マンションの修繕積立金の未納だとか瑕疵担保だとかまでは司法書士にはチェックはできませんので注意してください。
 
――司法書士の報酬にはあまり差がないということですが、請求額が高いところもあるんですか?
 
仲西 時おり他の司法書士の請求額を目にする事もありますが、相場よりも高いと感じる時もあります。コストパフォーマンスを考えたら、不動産会社が指定している司法書士ではなく、別に自分で探したいというお気持ちはよく分かります。ただ、よい仲介業者と提携している司法書士は信頼できると考えても間違いないのは確かです。
――司法書士はよしあしが分かりにくいですね。
 
弁護士は勝ち負けがハッキリしているので腕利きかどうかが分かりやすいですね。一方、司法書士は顧客とじっくり話をする機会もなかなかなく、直接対面するのは決済の場面くらいなので、大きな差はつきません。だからこそ、信頼できる不動産会社が必要なんですよ。料金が違うと言ってもせいぜい2、3万円くらいですから、優れた不動産会社なら、指定している司法書士を替えるのは賢明ではないでしょうね。
 
 

司法書士と不動産会社では、どっちに行くべき?

 
――最近では、サービス内容と料金をウェブサイトで示し、相続や財産分与のために所有している不動産を売却したいという一般客の入り口となる司法書士事務所も増えています。相続や財産分与について知識がないのでイチから教えてほしいという場合、司法書士と不動産会社では、どちらに先に相談するのがよいでしょうか?
 
仲西 相続や財産分与の相談だけの場合や、不動産に付随している権利関係がシンプルな場合であれば司法書士でいいのですが、土地やマンションの売買が絡んでくるときは、不動産会社に先に行かれる方がいいと思います。先ほども申し上げましたが、司法書士は売却しようとしている不動産に税の未納があるような事態の解決には踏み込むことができないからです。
 
――よい司法書士を探すよりも、よい不動産会社を見つける方が先決だということですね。では司法書士のお立場から、オススメできる仲介業者の特徴はございますか?
 
仲西 まずは話を真剣に聞いてくれる業者ですね。いかに大手と言っても、話を受ける担当者が雑な対応をするところもあります。ちゃんと話を聞いてくれて、その方にとって一番いい条件を探してマメに報告してくれるところは、大手という安心感に勝るのではないでしょうか。
 
また、実務能力の高さも挙げたいですね。優れた不動産会社は、お客さんや役所に書類を手配するにしても、早いし正確なんです。銀行のローン融資を受けていて、その日のうちに決済まで終わらせなくてはいけないのに、当日に印鑑証明書を忘れたり、権利書を忘れたりするお客さんはやはりいらっしゃる。
 
お客さんをサポートする不動産会社の担当の方がしっかりしていれば、決済なんてあっというまに終わるのに、事前の確認が不十分なために、2時間も3時間も無駄にすることもあります。
 
――本日は知られざる司法書士の実態を教えていただき、ありがとうございました。

 
 
司法書士 仲西文夫氏(東京司法書士会所属)
仲西司法書士事務所
東京都台東区上野5-5-8 第7協立ビル6階
 

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