日本テレビ系列のバラエティ番組「幸せ!ボンビーガール」にて、「都内の空き家のボロ物件を購入して、自分でリフォームして住んでみる」という企画が、この8月からスタートし注目されています。

 
考える女性
(写真はイメージです)
 

番組のあらましは・・・

 
築年数が古い、立地条件が悪いなどの理由で不人気となった「格安物件」については、以前より、投資家向けの書籍や自治体の空き家対策などで取り上げられ、一部では話題となっていました。
 
しかし自宅購入がメインとなる不動産市場では、新築物件や築浅の中古物件が需要の中心で、格安物件はあまり取引の対象とはなっていません。存在自体は認知されているのですが、いわゆる「訳あり物件」のように認識され、購入者層からは敬遠されている状態です。
 
そうした市場環境の中、人気テレビ番組で格安物件を取り上げる、とあっては注目しないわけにはいきません。
そこで筆者も8月22日(火)の「幸せ!ボンビーガール」の”空き家ガールスペシャル”の放送を視聴しました。
 
内容は、年々深刻化する空き家対策として多くの自治体が移住者への助成(リフォーム費用や家賃の補助など)を行っていること、売買・賃貸ともに空き家物件を取り扱ったWEBサイトが充実してきている点などに触れ、実際に格安で空き家を購入した群馬県の女子大生とタレントの森泉さんの例を紹介する、といったものでした。
 

再建築不可物件の購入は現実的か

 
こうした格安物件にも目を向けようとするマスコミの姿勢には、時代の変化を感じます。
今日、首都圏でも増加している空き家は1つの社会問題となっており、また、収入に恵まれなくても不動産を購入する手立てはあるのだということを、若い世代に認識してもらう契機になると思えたからです。
 
家賃と同等かそれ以下の負担で自宅を購入でき、住宅ローンの支払いも長期にはならない。そうなれば、将来への不安から賃貸以外に選択肢のなかった若い世代の住宅事情にも、変化が起こるかもしれません。
 
しかし現状では、個人が都内で格安物件を入手するのは容易ではありません。番組で紹介された物件はどれも極端な例で、実際に購入するとなると、様々な問題に直面します。
 
森泉さんのような「再建築不可物件」の購入は、一般の庶民にとってはお薦めとは言えません。再建築が認められない不動産には、基本的に住宅ローンが付かないのです。
 
森泉さんのように現金で一括払いできるならば別ですが、通常はそこまでの自己資金は用意できない方がほとんどでしょう。
 
また番組では、柱などの構造体を残してのリフォームであれば認められているとありましたが、本来そうした改修は「大規模修繕」に該当し、行政の建築許可である「建築確認申請」の対象となります。
 
今回の森泉さんのリフォームは、大規模修繕とするほどの規模ではなかったために、建築確認の対象外だと認められたのでしょう。しかし通常は、大掛かりなリフォームは大規模修繕とされます。基礎や骨組みを残しさえすれば、どんな工事やリフォームも認められるわけではないのです。
 
再建築不可物件は、建築確認を申請しても建築許可は下りません。大規模修繕であってもその基準は変わらず、新築同様に許可は下りません。壁紙の張り替えや設備の交換程度であれば確認申請は不要ですが、それでは建物本体の劣化は解決できません。こうした事情を考えると、いくら格安でも、再建築不可物件の購入は避けたほうが無難です。
 
 

古物件を買うなら、一戸建てよりマンション

 
では、再建築可能なボロ家、つまり築年数が古いだけで法的には何の問題もない物件であれば、個人でも安心して購入できるのでしょうか。もちろん、そのような物件も数多く存在します。
 
ところが、建物が古く土地値だけとなった物件のほとんどは、不動産業者が買い取ってしまっており、なかなか市場には出回りません。よほど立地が悪いか、道路下や水路越え、急傾斜地の造成物件といった不人気とならざるを得ない問題物件以外は、個人が土地値だけとなった物件を購入するのは難しいと思われます。
 
その点マンションは、単純に築年数が古いだけの格安物件を容易に入手できます。公団や公社が分譲した団地物件が良い例で、耐震補強の施された物件も多いので安心感もあり、場所によっては1,000万円以下の値が付いている物件も少なくありません。
 
また、公団や公社の分譲ですから再建築ができないということもなく、住宅ローン利用にも問題はありません。諸費用込み700万円で購入できたとしたら、金利2%の10年返済で月々65,000円、20年なら36,000円程度ですから、管理費や修繕積立金の負担を考慮に入れても魅力的な支払条件だといえるでしょう。
 
団地物件の多くは50㎡前後の3DK。都内で同規模の賃貸住宅を借りるとなると、上記のローン返済額と同等の賃料では、難しいと言わざるを得ません。古くなった団地はそれほど格安なのです。1,000万円以下で購入できれば、個人がコツコツとDIYでお好みの住宅に再生して安く住むという今回の番組の趣旨も、十分可能でしょう。
 
 

地方なら格安一戸建ても魅力的

 
また、番組では群馬県の女子大生の例も取り上げていました。彼女が購入した物件は通りに面し、周囲の建築状況から見ると、接道や用途地域などの法的制限に問題はなさそうでした。再建築は可能でしょう。もし大規模修繕のために建築確認を申請しても、許可されないということはなさそうです。
 
この物件は「遠方に住む売主が放置していて荒れ放題だった」などの理由から格安となっており、現実にはこうしたケースは稀でしょう。それでも地方では、都内では考えられない低価格で不動産を購入できます。法的に問題がなく、通勤・通学などの事情が許すならば、マンションに限らず一戸建ての購入も考慮に入れて良いでしょう。
 
 

住まいの購入では「安全が第一」

 
住宅は安ければいいというものではありません。「ボロ家は安いけど住めない状態。ならば自分で手直しすれば、安く済ませてお買い得」という視点だけでは、安かろう・悪かろうのスパイラルからは抜け出せません。
 
もちろん、ボロ家であっても問題なく住める状態であれば、「化粧直し」程度の改修でも良いでしょう。とはいえ古くなった一戸建て、特に木造住宅は、土台や基礎、柱などの主要な構造体に劣化があり、個人の手で耐震性や他の安全性までを回復させるのは難しい物件がほとんどです。
 
大規模な補修となれば業者の手を借りなければなりません。それには当然ですが費用がかさみ、格安物件を購入する意味がなくなってしまいます。
 
安全は生活の土台です。住宅の購入は「生活を買う」のと同義ですから、まずはしっかりとした安全性を確保し、その上で、仕事や子育てといった自分の生活スタイルをその住居で実現できるのかを突き詰めないと、後悔することになりかねません。
 
日本は全国どこにいても、地震などの災害からは逃れられない土地柄です。お買い得だから、相場より安かったから、という理由だけで住宅購入を決めてしまうのは感心できません。格安物件は低収入でも購入できるというのは事実ですが、それはあくまで建物の安全を確保できると確認できた物件に限る、と認識しましょう。
 
 

「ボロ家購入・自分で再生」の軍配はマンションに

 
現在の耐震基準は、昭和56年に国が制定し法律によって決められています。そして格安物件にあたる古いボロ家は、一戸建てであれマンションであれ、昭和56年以前の旧耐震基準によって建てられた物件がほとんどです。
 
そうなれば、木造の一戸建てよりも躯体のしっかりした鉄筋コンクリート造のマンションの方が、安全性に優れるのは言うまでもないでしょう。やはり安全性を確保した上で買える都内の格安物件は、マンションだという結論になります。
 
参考までに、「不動産ジャパン」で、2017年8月24日現在売りに出ている1,000万円以下のマンションを検索・ピックアップしてみました。
 
•松が谷団地 650万円 八王子市 1978年築 54.37㎡ 3DK
 
•グリーンヒル寺田 850万円 八王子市 1982年築 98.15㎡ 4LDK
 
•木曽住宅 450万円 町田市 1970年築 52.59㎡ 3DK
 
•けやき台団地 650万円 国分寺市 1965年築 48.86㎡ 2LDK
 
•日野新坂下住宅 900万円 日野市 1973年築 51.30㎡ 3DK
 
23区内にはありませんでしたが、都下であれば、すぐに複数件の候補にたどりつきます。神奈川県なら500万円以下、千葉県まで足を伸ばすと300万円以下の物件も、かなりの数が売りに出ていました。
 
この中で、八王子市の松が谷団地(650万円)と、町田市の木曽住宅(450万円)について、もう少し掘り下げてみましょう。
 
松が谷団地は、多摩モノレールの「松が谷」駅から徒歩7分。京王相模原線の「京王多摩センター」駅からも徒歩12分と、二駅利用の利便性に優れた団地です。京王多摩センター駅から新宿は最短で35分で行けますので、都内に勤務する人にはうれしい立地です。
 
また、周辺に公園が点在して緑も多く、小・中学校も徒歩圏に揃うなど、子育てにも恵まれた環境といえます。管理費と修繕積立金は合わせて16,000円、敷地内駐車場は月額5,000円となっていますので、日々の生活費の面でも割安なマンションだといえるでしょう。
 
木曽住宅は、小田急線「町田」駅からバス利用の物件です。交通の便は多少劣りますが、周辺には住宅街が広がり、公園や小・中学校にも近い環境に恵まれた物件です。管理費・修繕積立金は合計で13,000円。駐車場は月額5,000円です。こちらの物件も日々のランニングコストは低めです。
 
こうした価格の物件ならば、もしリフォームにお金を掛けても、総費用1,000万円以下で住み始めることができます。都内のマンションならば、安全性を犠牲にせず、お金を掛けず、持ち家の購入が可能である、というわけです。
 
 

古マンション購入時に注意しておくべきこと

 
ただし、マンションは一戸建てと違い、管理費や修繕積立金、そして管理状態の問題があります。
 
小規模マンションの中には、修繕積立金が思うように集まらず、大規模修繕の際に一時金を徴収するケースがあります。費用不足から修繕計画を見直したり、必要な工事を行えずにスラム化したりするマンションも少なくありません。購入の際には、管理費などの額や積立金総額、過去の修繕履歴を不動産会社によく確認するようにしましょう。
 
また、マンションでもある程度古くなれば、建て替えが大きな課題となってきます。しかし再建築が法的に問題なくても、建て替えには全所有者の4/5の賛同が必要となるため、その決議がなかなかできないのです。
 
そして古いマンションは高齢者世帯が多く、自治会や町内会が機能していない物件もあります。そのためにゴミ出しや清掃、防犯や防災対策が遅れてしまっているケースも見受けられます。建て替えの協議状況も含めて、こうした面も不動産会社にしっかり確認してから購入すべきでしょう。
 
とはいえ、こうしたマイナス面を考慮した上でも、諸費用・リフォーム費用含め1,000万円に満たない金額で購入できる格安マンションは、やはり魅力的です。森泉さんや群馬の女子大生のように、リフォームを自分ですれば総費用をさらに抑えられるでしょう。都内であれば、買い物や病院といった生活インフラや子育て環境に関しても安心です。
 
「古い」というだけで1,000万円を切る価格で売り出されているマンションは、都内にも数多く存在します。こまめに情報をチェックし時間をかけて探せば、自分の希望に見合った立地や日当たりの物件にも出会えるでしょう。そうした中古マンションでこそ、「ボンビーガール」の番組のコンセプトである「お金がなくても幸せに暮らそう!」に近道になるのではないでしょうか。
 
 
伊東 博史(宅地建物取引士)
大手不動産仲介会社で売買仲介に約10年間の勤務。のべ30年間以上にわたり、大手と中小、賃貸と売買と、多角的に不動産業務に携わる。現職では売買と賃貸仲介と管理、不動産投資や相続のアドバイスを行う。
 

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