新著「マイホーム価値革命 2022年、『不動産』の常識が変わる」(NHK出版新書)を上梓されたオラガ総研株式会社代表取締役の牧野知弘氏と、不動産流通システム代表の深谷十三が、不動産業界の今後のあり方をテーマに対談しました。

 
マンションを買うなら新築がいいのか、中古がいいのか。中古なら築何年くらいのものがいいのか、その訳はー。不動産を知り尽くしたプロの「ファイナルアンサー」をお届けします。このほか、真に消費者のためになる不動産仲介の姿とは、いかにあるべきかを語っています。

 
聞き手 深谷十三(株式会社不動産流通システム 代表取締役)

築5~10年の中古マンションが狙い目なわけ

 
深谷 先生がおっしゃるように、郊外に持ち家を買って通勤する人が減っていき、生涯シングルの方が増えてくるような現状で今後の住宅のあり方を考えたら、やはり都心回帰の傾向が進んでいくと思われます。さて、今後、居住目的で23区のマンションを購入する場合、新築と中古ではどちらがオススメでしょうか?
 
牧野 3、4年前から建築費が3~4割上がるという、ちょっと異常な状態にあります。マンションの販売価格は、販売員の人件費やモデルルームのコストもあるため、土地と建物の原価に2~3割ほど上乗せするのが一般的です。どんなに資金力のあるデベロッパーが工夫を凝らしたところで、原価が高いと新築を低価格で出すことはできないのです。

 
牧野知弘氏
(オラガ総研株式会社 代表取締役 牧野知弘氏)
 
この先、建築費が下がらず、土地の価格が暴騰することが分かっているなら、今、新築のマンションを買う合理的な理由になるのですが、その2つの可能性はあまり大きくないでしょう。東京オリンピックが過ぎれば建設需要も下がるでしょうし、作業員不足も解消されてくるでしょう。
 
こう考えると、今、新築を買うというのは、ここ何十年のスパンの中では最も高い買い物だと言わざるをえないですね。「買うな」とは申し上げませんけども、ここからピークアウトしていきますので、買う時期についてはもうしばらくお待ちになった方がいいと思います。
 
深谷 次に、先生のご著書の中に、「5年目から10年目のマンションが狙い目」とありました。その理由を教えていただけますか?
 
牧野 中古マンションはマーケットプライスが大体決まっていて、そこの相場の中に収斂していきます。つまり、5年から10年くらいでマンションの価値が規定されるのです。また、これくらいの期間を過ぎれば建物が落ち着いてくるので、ダメな施工だと5年から10年で欠陥がほぼ出てきます。数年前に横浜でくい打ちに不備があったマンションの事件がありましたが、こうした瑕疵も10年くらいで判明するわけです。
 
深谷 確かに5年くらい住んでいると、このマンションにはどういう方が住んでいて、管理はどの程度行われていて、本当に住みやすい環境なのかなども、分かってきますよね。
 
牧野 ええ、みなさんハードの方に目が行きますが、ソフトも大事です。居住者の質や過去のトラブルなどの情報は管理組合で閲覧できますので、閲覧をして判断ができるのが、中古マンションのいいところです。築15年を超えてくると大きな修繕も必要になりますが、10年以内だとまだほとんど傷んでいません。いい状態のものがマーケットプライスで買えるのです。
 
これは居住用でも投資でも同じです。もちろん新築で買って、減価償却費を計上して節税し、4、5年で売り抜けるという方法もありますけども、やはりマンションは5年から10年くらいがお買い得ということになります。
 

中古物件は履歴の数値化を

 
深谷 次に、不動産の仲介業者が提供するサービスについてご意見をお聞かせください。
 
牧野 これまで、多くの仲介業者が、物件の立地と専有面積、築年数で価格を決めてきました。このほか周辺の取引事例や相場なども加味されます。こうした事情を消費者に説明してきたのですが、これから新たに説明すべきだと思うのは、「物件の履歴」です。
 
中古を買う人が一番不安になるのは、その家がどういう状態の家であるかということです。買う人は表面でしか判断できないし、仲介業者が「中をお見せしましょう」といっても、「どうですか、早く買わないと他のお客さんがいますよ」と、追い込んでいきますよね。そこが不動産仲介の腕の見せ所だったんですけども、今の消費者はリテラシーがあればネットでいくらでも情報が見つかりますので、そういうやり方は今後は厳しいのではないでしょうか。
 
仲介業はお客さんにとってのコンシェルジュであったり、コンサルティングであったり、そういうソフトウエアの部分の提供ができるようにするべきだと思います。私は「中古物件の履歴を点数化して公開すること」を提案します。消費者が最も知りたい部分を「見える化」してあげるんです。
 
たとえば「台所の設備は3年前に買い換えたので9点、空調はあと5年は使えるので6点、水回りはもうすぐ交換しないといけないので2点」などと点数化する。そして、「合計150点なんで、このマンションは3000万円です」とか、「100点未満なので同じタイプの部屋よりも500万円安くなります」などと数値化をして分かりやすく見せていく。こうすれば、中古物件でもお客さんは安心して買ったり、「多少の不便は仕方ない」と覚悟して買ったりできるんです。
 
深谷 それはすばらしいアイデアですね。この業界で私が違和感を覚えるのは「縁」という言葉を多用することです。「ご縁ですから」と連発して買わせようとするんですけど、誰と誰のご縁なのかなと思いますよ。そういうことでなくて、もう少しきちっと、数値化して客観的に整備するべきではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。
 
牧野 中古状態で売るときに、「あばた」は隠すのではなくて、「これはお化粧するとちゃんと消えます」と正確にお伝えすることによって、仲介に対する信頼も上がっていくと思います。一軒家の戸建て住宅は、土地の形状や権利関係とか複雑な要素が多いので、ネットに載せるにはまだハードルがあるなと思いますが、マンションは点数化もやりやすいですし、ネットでの情報公開にも非常になじみます。
 

仲介手数料の自由化、レインズの一般公開で業界は変わる

 
深谷 次に仲介手数料についてお尋ねします。宅建業法で仲介手数料は「取引価格の3%プラス6万円」と上限が決められていますが、一般のサービスで上限が決められているものはそう多くはないのかなと思います。国に上限を決められなくても、「成立する値」というのはおのずと収斂されていくと思うんです。
 
ところが仲介手数料の上限を決めているがゆえに、遠方の古家売買には腰が重くなるし、大手は両手仲介をやるために囲い込みをするわけです。こういう弊害をなくすには、仲介手数料の自由化に踏み切るべきだと思うんです。たとえば大手だと保証をたくさんつける分だけ手数料を高くし、他方で小回りがきく街の不動産会社であれば、フットワークの軽さと手数料の安さを魅力にすれば差別化できますよね。
 
また、ネット上で物件の名前で検索しただけで膨大な情報が出てくる時代、レインズを一般開放しない理由があるのでしょうか。この仲介手数料の自由化とレインズの一般開放で、囲い込みが発生しなくなり、業界が信頼されるようになると思うのですが。
 
牧野 仲介の世界は昭和の頃の考え方をすっと引きずっています。現状、1000万円の物件で30万円、1億円の物件で300万円とそれぞれ手数料がもらえますが、行う業務にどんな差があるのでしょうか。
 
また、こういう法律があるがゆえに、小ぶりの物件は扱わなくなるのでは、世の中のためにはなりません。私は不動産事業のプロデュースをしていて、これについてフィーをいただくわけですけども、これは「私どもの時間を売ることへの対価」と、「プロとしての技術料」をいただくわけです。不動産取引の仲介手数料のように、「取引価格が高いので、(同じ仕事だけど)高い手数料をいただく」というのは本来、理屈に合わないんです。
 
価格が高いマンションほど問題が整理されていて重要事項の説明書作成に時間がかからないケースもあるし、逆に安いマンションでも資料を取りそろえるのに時間がかかることもありますから。
 
ではなぜこういうルールになったかというと、日本ではお手伝いやコンサルというところに対価を払うという習慣や考え方が希薄なんです。飲食店でもおしぼりやお茶を無料で出すのが日本人の特性であるがゆえに、手数料を自由化するとやがて無料になってしまうんじゃないかとの懸念があったからです。
 
私が考えるに、手数料を自由化したら、ネット上で仲介した場合、フィーは限りなくゼロになります。逆にそれなりの労力をかけて仲介するものについては、堂々とフィーを取ればいいと思います。レインズも、明日にでも一般開放した方がいいと思います。
 
深谷 レインズを一般公開すれば、このレインズ情報に基づき、売り手と買い手が契約して、契約に付随する重要事項説明や契約書作成、住宅ローン申し込み、司法書士の手配など、こういう業務を売り手と買い手の間で誰に頼もうかという時代になってくるのではないかと思います。
 

Amazonで不動産を買う時代に

 

牧野 まったくそのとおりですね。その意味で、ネットが不動産の領域にどんどん入ってくるのはいい傾向だと思います。仲介はマッチングビジネスみたいなものですから、現行の仲介手数料はマッチングについて得られる収入に収斂していくのでは。両手仲介がいいとか悪いとかじゃなくて、両手仲介でマッチングできたらそれでいいと思います。ただ、それをやりたいがゆえに物件を囲い込むというのは消費者の利益にならないので困ります。
 
深谷 言い方は悪いですが、なんの資格も経験もない不動産会社の担当がお客さんに対して「我々は特別にレインズが見られるんです」と情報の遮断をして、「だから我々を頼ってください」という商売をしていますが、それではダメですよね。
 
牧野 そういう露骨な「情報の非対称性」で生きる時代は昭和で終わってます。今までは圧倒的に不動産会社の方が情報が多く、なおかつ不動産会社側の勝手な都合で売っても、それでよしとされてきた。不動産業界はそういう時代を長く享受してきたので、相変わらずの考え方が根強いんです。
 
その象徴がレインズですよね。法的な整備は必要になりますが、極めて遠くない将来に、本をアマゾンで買うように、アマゾンで不動産を買うようになるように思います。
 
深谷 本日はありがとうございました。
 
■牧野知弘氏プロフィール
オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学卒業後、第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループなどを経て、三井不動産に入社。「コレド日本橋」「虎ノ門琴平タワー」など、数多くの不動産買収や開発、証券化業務を手がける。2015年にはオラガ総研株式会社を設立し、代表取締役に就任。ホテルやマンション、オフィスなど不動産全般のアドバイザリー業務を行う。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(祥伝社新書)、『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)、『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)、『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)などがある。テレビ、新聞などメディア出演も多数、精力的に行っている。
 
 

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