住宅ローンを組んでマイホームを購入するか、身軽な賃貸住まいを選ぶか……。住まいの選択は「正解」がありません。「どっちがお得か?」という視点だけでは判断できないのが難しいところで、迷う人も多いかと思います。本稿では、「賃貸」と「購入」のマネープランの比較にのみとどまらず、リスクやライフプランからも両者を検証してみたいと思います。

 
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(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 

経済面の違い

 
価格面の比較は、すでに多く議論されている点ではありますが、不可欠な検証です。ここでは2つの事例で、購入派と賃貸派を比較してみようと思います。
 

事例1 35歳夫婦、1歳の子供がいるご家庭

 
このケースで、35歳から85歳まで(50年間)の住居費を比較してみます。
 
【マイホームを購入する場合】
3,500万円の一戸建てを、35年ローンで購入するとします。
 
1. 借入額は3,000万円(自己資金500万円)・金利1%・全期間固定→総返済額は頭金を含め約4,057万円
 
2. 固定資産税は当初減税、価値下落による引き下げなどを考慮し、一律10万円と想定→50年で500万円
 
3. 修繕費やリフォーム代として、1,500万円を見込む
 
1.~3.の合計は4,057万円+500万円+1,500万円=6,057万円
 
【賃貸の場合】
35歳~85歳の50年を、世帯構成の異なる3ステージで分けて考えます。居住人数が減るごとに住み替える想定で、家賃は下がっていきます。
 
1. 序盤20年間(子供がいる家族3人の住まい)
家賃12万円/月、共益費1万円→13万円×12か月×20年=3,120万円
 
2. 中盤25年間(子供が独立し夫婦2人の住まい)
家賃9万円/月、共益費1万円→10万円×12か月×25年=3,000万円
 
3. 終盤5年間(配偶者に先立たれたのちの単身住まい)
家賃8万円/月、共益費1万円。9万円×12か月×5年=540万円
 
1.~3.の合計は3,120万円+3,000万円+540万円=6,660万円
 
この事例では、一戸建てのほうが経済的には有利という結果になりました。賃貸物件では駐車場料金を考慮しなかったため、それも加算するとさらに差が広がりそうです。
 
一方で、マイホーム派のリフォーム代として1,500万円と見込みましたが、建て替えを希望する場合は、さらに1,000万円ほど上乗せされ、総費用は賃貸の場合よりも若干上回ることにになります。
 

事例2 45歳単身者の場合

 
次に45歳の単身者が、将来もシングルのまま40年間(85歳まで)生活するケースを考えます。
 
【マイホームを購入する場合】
2,800万円の中古マンションを、20年ローンで購入するとします。
 
1. 借入額は2,000万円(自己資金800万円)・金利1%・全期間固定→総返済額は頭金を含め約3,008万円
 
2. 固定資産税は中古物件、かつ単身者用の小振りなマンションであることから、評価額が抑えられると想定し、、一律10万円で計算→40年で400万円
 
3. 修繕積立金、管理費が毎月35,000円→40年で1,680万円
 
1.~3.の合計は3,008万円+400万円+1,680万円=5,088万円
 
【賃貸の場合】
45歳~85歳の40年間を、定年前の20年間と、定年後の20年間で分けて考えます。定年後は家賃を若干下げます。
 
1. 定年前20年
家賃10万円/月、共益費1万円→11万円×12か月×20年=2,460万円
 
2. 定年後20年
家賃8万円/月、共益費1万円→9万円×12か月×20年=2,160万円
 
1.と2.の合計は2,460万円+2,160万円=4,620万円
 
この事例では、賃貸のほうがやや有利になりましたが、これはあくまで一例です。また、単身者こそ、老後の居住費の心配をしたくないという欲求が強いのではないでしょうか?そう考えると、コスト面だけの比較では不十分といえます。経済的なメリット・デメリットは確かに参考になります。しかしそれだけではあまり意味がなく、それぞれで想定されるリスクへの備えについても考えねばなりませんね。そこで、経済に続いてリスク面の比較もしていきたいと思います。
 

マイホームと賃貸のリスクは異なる

 
「賃貸派」の中には、生涯価格よりも住宅ローンの債務が怖い、という人が多くいます。確かに、災害や事故などで住宅が被害を受けた場合、住み替えが容易な賃貸のほうがダメージを受けにくいといえます。実際、住宅ローン返済中にマイホームが災害で全壊し、同じ場所に新築住宅を建て直して二重ローンを背負うことになったという人も多いです。
 
一方で、住宅ローンには「団信(団体信用生命保険)」があります。多くの金融機関では、死亡・高度障害への基本保障の団信ならば無料で加入できますし、若干の保険料負担でガンや心筋梗塞などに備えることもできます。最近では就業不能時や要介護状態など、より幅広いリスクをカバーする団信も登場しています。
 
賃貸の場合、こうしたリスクは一般の保険商品で補うことになりますが、高い保険料が賃料と別に必要ですし、また賃料そのものを担保する保険はありません。その意味からは、世帯主の死亡や病気などに関するリスクはマイホーム購入のほうが低いかもしれません。
 

マイホームとライフプラン

 

前章で、自然災害や事故へのリスクには住み替えが容易な賃貸住まいが、病気や失業による経済的リスクにはマイホームが強いとご説明しました。しかし総合的には、やはりマイホーム購入のほうがリスクに強い、と筆者は考えます。その理由を3つ述べたいと思います。
 

理由1 マイホームは資産である

 
マイホームは購入者自身の資産であり、さまざまに活用できます。売却もできれば、転勤や長期帰省時には賃貸物件としての利用もできます。一戸建てであれば賃貸併用住宅を建てられるかもしれません。老齢期には子に遺す、転売して住み替えるなどの選択肢もあります。どの選択も手間や経費はかかりますが、マイホームを活用することで価値が高まる余地があるのは大きな強みといえるでしょう。
 

理由2 住宅ローンの怖さは限定的

 
住宅ローンは、少ない元手で大きな買い物ができる有益なシステムです。返済期間が長いことから、完済できるかどうか不安に感じる人も多いですが、適切な額のローンを組めば返済リスクは抑えされます。
 
万が一、返済が苦しくなった時は、マイホームを売却して住宅ローンを清算すれば致命傷にはなり得ません。怖いのは、売却額ではローンを返済しきれず、家を失い借金だけ残ってしまうケース。しかし最初の段階でライフプランに合わせた返済計画を練り、返済能力に合った借入れを行えば、こうした事態は避けられるでしょう。大事なのは、自分たちの適正な借入額を知ること。住宅ローンをむやみに怖がることはありません。
 

理由3 災害リスクも状況次第

 
マイホーム購入は災害に弱い傾向がありますが、最近では、災害時は返済が一部減免になる住宅ローンも登場してきています。また、金融機関との話し合いで減免になる制度も徐々に浸透しつつあります。住宅ローンの災害リスクも、これから風向きが変わるかもしれません。
 

マイホーム購入は、リスクを知れば怖くない

 

マイホーム「購入」は、「賃貸」と比べて経済面で有利なだけでなく、資産としての活用法が豊富で、種々のリスクもそう高くないため、総合的にはよりメリットが大きいのではないでしょうか。
 
さらに近年は、住宅ローンの低金利化が進んでおり、本来ならばここで挙げられるべき「金利リスク」が極めて低い状態です。適切な価格の物件を選べば、かなりお得度は高いと考えます。
 
もちろん、最終的な選択はご本人の考え方次第です。不動産の活用・運用ということにあまり興味がない、身軽さが一番大事だ、という方は無理にマイホームを持つ必要はないでしょう。また、マイホームを購入する場合も、あわてて購入するのはおすすめしません。頭金が貯まるまで待ったり、家族の人数が確定するまで待ったりしたほうが良いケースもあります。
 
しかしながら、「マイホーム購入に興味がある」という方ならば、現在は金利メリットがありますし、手厚い団信に加入することで複数のリスクを避けることもできます。資産価値の下落を懸念する場合にも、立地に気を付け、土地・住宅活用することによって新たな価値が生まれる可能性があるのです。もし、購入したいにも関わらず「住宅ローン」や「価値下落」が心配で踏み切れない、という方は積極的にマイホーム購入を検討していただきたいと思います。
 
参照
住宅ローン 自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン : 三井住友銀行
自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン:住宅ローン:常陽銀行
「積極的な活用を! 被災ローンの減免制度」(時論公論)
 
横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)
 

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