不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2018年8月12日
  • 公開日:2017年2月18日

FPがシミュレーション! マンション住み替えにはこれくらいかかります

今回のテーマは、「マンション売却と住み替え時の資金計画」です。

 

不動産売却において最も気にかかるのは「売却価格」だと思いますが、自ら居住するマンションを売却する際は、買い替え資金やその後の生活資金についても留意する必要があります。

 

ここでは、都内のマンションを売却するというあるご夫婦の事例を通してポイントを考えてみましょう。

 

マンション売却
(写真はイメージです)

 

【概要】
50代のOさんご夫妻は、子供が独立したのを機に自宅マンションの買い替えを考えています。今のマンション(購入価格4,500万円)は、不動産屋によると売却価格は5,000万円程度。買い換えは4,000万円前後の物件を検討しています。住宅ローンの残高は1,500万円です。貯蓄もあるので夫婦2人のマンションを購入するには十分だと考えていますが、念のために、とファイナンシャルプランの相談に来られました。

 

マンション売却の目的は?

 

買い替えの際はまず、その目的や期待するメリットをはっきりさせましょう。例えば、現在のローン返済が苦しいための売却であれば、残債以上の額で売却し借金を残さないことが第一目標になります。

 

Oさんご夫妻の場合、特にローン返済が苦しいわけではありませんが、子供が独立したため家が必要以上に広い状態になっています。せっかくなら、よりコンパクトで価格も抑えられるマンションへの住み替えをし、お金が浮けば老後資金に回したいとお考えです。

 

こうしたケースでは、買い替えにかかる諸経費などを精査し、余剰分が出るかをしっかり検証することが大切になります。

 

買い替えで発生する費用や税金に注目

 

ご夫妻には貯蓄が2,000万円ほどあり、将来は厚生年金も受給できます。家計に大きな問題点はありませんが、それゆえこの売却においても「物件価格さえ気を付ければ良い」とお考えで、諸経費や税金への意識が低いようでした。

 

ゆとりある老後のためには、買い替えの資金計画はシビアに行いたいところ。まずは諸経費がどの程度かかるのかを知っていただきました。

 

売却にかかる費用

 

仲介手数料

 

仲介する不動産会社にもよりますが、仲介手数料の上限は【物件価格×3%+6万円】です。最近は、仲介手数料を半額程度とする会社も見受けられます。なお、本稿を掲載している事業者の不動産流通システム(REDS・レッズ)では、仲介手数料を「最大無料、または半額」で対応しています。

 

リフォーム・掃除などの費用

 

多少費用がかかっても、リフォームで家の価値を高めて売却価格を引き上げるのは有効です。クロスやフローリングを張り替えるだけで部屋の印象は大きく変わりますし、水回りのリフォームが必要かもしれません。お掃除も念入りに。換気扇やトイレなどはプロに頼むのも良いでしょう。

 

購入にかかる費用

 

住宅購入時にかかる諸費用は、住宅ローンの諸経費の他にも各種税金などがあります。たとえ住宅ローンを組まなくても諸経費は発生するのです。

 

住宅ローン諸経費(ローンを組む場合)

 

住宅ローン契約に関する印紙税、事務手数料、保証料、団体信用生命保険料(団信)、抵当権設定による登録免許税、登記手数料などです。

 

50代だと年齢的に持病があるケースも多く、通常の団信に加入できない可能性があります。引受条件が緩和された団信もありますが、それも全ての金融機関で取り扱っているわけではありませんし、保険料が割高になるのでご注意ください。

 

税金

 

売買契約に関する印紙税やマイホームにかかる登録免許税と登記手数料、また不動産取得税も発生します。

 

印紙税は契約金額、登録免許税や不動産取得税は固定資産税評価額によって決定します。

 

譲渡所得にかかる税金への特例

 

通常、不動産を売却して売却益が発生すれば、譲渡所得となり所得税が課されます。しかしマイホーム売却の場合、その目的は売却益というよりは、住宅ローンの返済や、Oさんご夫妻のように次の住まいの購入が大部分です。そのため複数の特例が設けられています。

 

1) 短期譲渡と長期譲渡の税率の違い

 

譲渡する不動産の所有期間が5年を超えている場合(長期譲渡)は、その譲渡所得に対する税率が、5年以下の場合(短期譲渡)の30%から、15%に引き下げられます。この「5年」は、譲渡した年の1月1日現在での所有期間です。

 

2) 所有期間10年超所有軽減税率の特例

 

所有期間が10年を超えるマイホームを売却する場合は、売却益6,000万円までの譲渡税がさらに10%にまで軽減されます(6,000万円超過部分については通常の長期譲渡の税率15%が適用されます)。この「10年」も譲渡した年の1月1日時点において判定され、また3年以内に同特例の適用を受けていないこと、売却先が家族などでないことがなど適用条件となります。

 

3) 3,000万円特別控除の特例

 

マイホームを売却した場合は、最高3,000万円まで譲渡所得を控除できるという特例です。所有期間の長短に関係なく適用でき、また上記2との併用も可能です。あくまでマイホームが対象なので、賃貸していたり、別荘としていたりする場合は対象外です。

 

4) その他の特例

 

その他にも、買い替えにより譲渡損失が生じた場合に、他の所得(給与所得や事業所得など)から損失分を控除できる「マイホーム買い替え特例」などもあります。

 

それぞれ要件が微妙に異なりますし、併用の可否も特例ごとに違ってきます。今回のように高く売れるケースであれば、「税金がかからない」という視点が大切なため、2と3の特例が重要になるでしょう。

 

買い替えシミュレーション

 

前述の諸経費や税金を考慮した、Oさんご夫妻の買い替えに関する簡易なシミュレーションです。

 

【①:売却物件】

 

売却金額 5,000万円

 

諸費用や経費は以下の3点とします。

 

  1. 住宅ローン残高 1,500万円
  2.  

  3. 譲渡費用170万円 ※仲介手数料156万円(売却価格×3%+6万円)や印紙税など
  4.  

  5. リフォーム費用など 30万円 ※壁紙の張替え、ハウスクリーニング費用など

 

これらを売却益5,000万円から差し引いた、3,300万円が正味売却益ということになります。

 

税金について

 

上述の、譲渡所得にかかる税金はどうでしょうか。課税譲渡所得は【譲渡収入金額-(取得費 + 譲渡費用)-特別控除】です。

 

譲渡所得:5,000万円-(4,500万円+170万円)-3,000万円=-2,670万円<0
したがって譲渡所得は発生せず、課税もされないことになります。

 

※参照:国税庁HP 

 

上記の譲渡費用では仲介手数料を上限156万円としていますが、これがもし半額となる場合は78万円となり、諸経費を大きく圧縮できます。本来ならば諸経費は譲渡収入から差し引くことができるので「節約する」という概念は薄いのですが、特別控除により譲渡税が発生しないことが多いマイホームでは、ぜひとも節約したい諸経費です。諸経費における手数料の割合は大きいため、売却時は仲介手数料を割引している不動産会社を選択することをお勧めします。

 

【②:購入物件】

 

物件価格 4,000万円

 

その他諸経費 250万円(不動産取得税・家具購入費・引っ越し代金など)

 

上記をまとめると、以下の通りになります。

 

正味の売却益 約3,300万円
購入費用(物件価格込) 約4,250万円

 

① と②の差額はおよそ1,000万円です。当初Oさんご夫妻は「5,000万円で売却して4,000万円の物件を購入するのだから、ローンを返済しても別に用意すべき現金は500万円で済むだろう」という考えでした。しかし、売却・購入の諸経費によって想定以上に費用がかかる見通しとなりました。

 

仮に購入費用を全て自己資金で支出しようとすると、貯蓄2,000万円の半分を使ってしまう計算になります。もしもの時や将来の老後資金、また現在の超低金利など種々考えた結果、Oさんご夫妻は貯蓄を温存して借入れを行う方向にシフトしました。
なお借入れを行った場合、購入費用に住宅ローン諸費用(保証料・抵当権設定費用など)が加算されます。

 

退職後の生活もイメージしよう

 

Oさんご夫妻にはこのマンションの買い換えで、経費を含め自己資金で支払えるだけの資力がありました。しかしファイナンシャルプランにより、ローンを組んで現金を温存した方が家計リスクは小さいと判断して借入れを行ったのです。

 

「買い換え費用を抑える」という選択肢もありましたが、資産価値の高い住居を購入することで、将来的に妻が1人暮らしになった際に売却やリバースモーゲージなどの活用性が高いことから、購入価格帯は下げないプランニングをご提案しました。今後は生活費を抑えるなどして住宅ローンをしっかり返済していく必要がありますが、それでも、満足度の高い住まいと暮らしをOさんご夫妻は選択されたのです。

 

まとめ

 

今ある住まいを買い換える時は、売却・購入ともに諸費用が発生し、それぞれ見積っておくことが必要です。転売の手続き自体も困難で、また転売時は年齢が上がっていることが多く、完済までの期間や健康状態などの理由によりローン時の審査が厳しい傾向にあります。

 

しかし審査が問題なく、かつ返済できるのであれば、住宅ローンもうまく活用したいところ。目先の購入額や借金にとらわれることなく、長期的な視野で満足できる買い替えを行いたいものです。
ご自身でこういった視点を持ち得るならば一番ですが、不安な時は、ファイナンシャルプランやコンサルタントの力を活用してみてはいかがでしょうか。

 

参考:
マイホームを買い替えたとき|国税庁
特定のマイホームを買い替えたときの特例|国税庁

 

横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)

 

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