REDSエージェント、宅建士・住宅診断士の坂爪です。

マンション住まいになると毎月支払うことになる「修繕積立金」について解説します。マンション購入を検討されているお客様からは、以下の2点についての質問が集中します。

・月々の修繕積立金はいくらが適正価格なのか？
・修繕積立金は足りているのか？

修繕積立金に関するこれらの疑問について、じっくり解説しましょう。

（写真はイメージです）

月々の修繕積立金はいくらが適正価格なのか

2021年、マンションの修繕積立金について国土交通省のガイドラインが改訂されました。

以前は専有面積1㎡あたり月額250円あればおおむね良しとされていましたが、改訂では同320～430円と大幅に上がりました。

ただ、「機械式駐車場」があるマンションだと、これに金額が上乗せされます。国土交通省のガイドラインでは、1台あたりの月額修繕工事費の目安が明示されています。

●2段（ビット1段）昇降式：7,085円
●3段（ビット2段）昇降式6,040円
●3段（ビット1段）昇降横行式：8,540円
●4段（ビット2段）昇降横行式：1万4,165円

マンションに、2段（ピット1段）昇降式の機械式駐車場が50台分あり、専有床面積が60㎡、マンション全体の専有床面積の合計が6000㎡（負担割合が60/6000）、修繕積立金の1㎡あたりの月額を400円とします。

・通常の修繕積立金：400円×60㎡＝2万4,000円
・加算分：7,085円×50台×負担割合60/6000＝3,542円　
→修繕積立金の合計額：2万4,000円＋3,542円＝2万7,542円

しかしながら、この金額、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に端を発した昨今の物価上昇は勘案されていませんので、今後さらなる増加を見込む必要があります。

修繕積立金は足りているのか

12～15周期で行われる大規模修繕に向けて、これまでマンションに修繕積立金はいくら積み立てているのかも気になるところでしょう。一般に、大規模修繕に必要な金額は1住戸あたり100万円前後といわれています。スケールメリットを勘案して同75万～125万円と幅を持たせたデータもあります。

注意が必要なのは、直近の「大規模修繕工事」がいつ行われたかです。大規模修繕工事を実施したばかりならば、当然減っている訳ですが、大規模修繕実施履歴がないのに足りていないのなら要注意です。

国交省のガイドラインから逆算すると、60㎡のマンションで修繕積立金1㎡350円/月とすると、月額2万1,000円、年額で25万2,000円、10年で252万円にもなります。

必要費用の倍の金額が貯まっているように見えますが、マンションの修繕は「大規模」だけではなく毎年さまざまな維持費が発生します。突発的なできごとに備えるためにも、大規模修繕工事をするときに修繕積立金を全額使うこともできません。

少し余分に取られているのはこうした理由です。

最後に、マンションの管理費や修繕積立金はランニングコストとして、ご購入のお客様には大変重要な要素です。これまで説明したことはあくまでも一般論であり、駐車場利用料金を高めに設定して機械式駐車場の修繕費用に見込んでいたり、マンション内にテナントがあり管理組合に賃料収入があったりと、まさにケースバイケースであることはご承知おきください。