「不動産売買の仲介手数料がすべて割引、最大無料」のREDSエージェント、宅建士の成田です。

不動産業界で古くから続く商慣習である「囲い込み」。不動産業者の利益のためのだけの行為であり、売主様や買主様にいい影響はもたらさないことや、会社のポリシーとして囲い込みをしないREDSのエージェントがいかにその商慣習に翻弄（ほんろう）されているか、このコラムで再三、ご紹介してきました。

私は「大手ほど囲い込みをする」という事実をお伝えしてきましたが、ある大手の担当者が「大手は囲い込みはしません」と私のお客様に話していたと聞きました。大手の実態をお伝えします。

（写真はイメージです）

ます、囲い込みについておさらいしましょう。

1つの物件の不動産売買取引において、1社の不動産会社が、売主と買主の双方の仲介を行い、その両方から仲介手数料を受領することを、不動産業界では俗に、「両手」や「両手仲介」と呼んでいます。不動産会社にとってこの形態は、もっとも多くの収入が得られ、ほとんどの不動産会社はこれを目指しているのが現状です。

より収益の多い「両手仲介」を目指すと、不動産会社は、売主から売却の依頼を受けた不動産物件を、他の不動産会社に取り扱わせまいとするようになります。この行為のことを、不動産業界は「囲い込み」と呼びます。

この囲い込みは中小企業ほどやっていて、名の通った大手はやっていないというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、私どもの実感では大手ほど囲い込みをしています。ところが、先日、「大手こそ囲い込みをしません！」と胸を張る大手の営業マンがいました。

そのいきさつはこうです。

先日、お客様より意中の物件の案内希望をいただき、テレビでもおなじみの大手不動産会社に問い合わせをしました。すると、その大手不動産会社の担当者から「空き家ですが、まだ売主様の荷物が多く、片付けるまでは2週間ほど案内できません」と言われました。

こう言われた時点で私どもは「ああ、おそらく囲い込みだな」と察することができます。なので、「お客様が直接その大手不動産に連絡をすれば、案内してくれると思います」とお伝えしました。

案の定、次の日に喜々として案内してくれたそうです。そのとき営業マンが言ったセリフを聞いて、私も開いた口が塞がりません。

「仲介手数料が安いところはろくな営業はいませんよ。囲い込みも当社はしませんし、大手だからこそ一切しないんです！」

あなたは囲い込みしている張本人でしょう？　しかも、「仲介手数料が安いところはろくな営業がいない」とは……。

お客様に熱く語っていたそうですが、お客様も事情を知っていたので呆れてしまったということでした。結局その物件を買う気になれず物件探しは振り出しに戻り、私はお手伝いを続けています。

いろいろな考え方はあると思います。しかし、数分前まで「2週間案内できない」と言いながら、数分後には「次の日に案内します」と正反対のことを言う人から、家を買いたいと思わないのが普通ではないでしょうか。なにもかもが、私たちとは対極にあるように思えました。