住宅購入を検討している方にとって、今の低金利は追い風です。2017年8月現在、金利が0.5%を切る住宅ローンも複数あります。しかしその一方で、物件価格の高騰も見受けられます。


 
低金利のうちに購入に踏み切るか、それとも物件価格が下がるまで待ったほうが得策か? 迷っている方のために、その負担感を比較検証してみたいと思います。
 

低金利
(写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。)
 

住宅価格の動向は

 
まずは、不動産業界の現状を確認しておきましょう。
 
マイホーム取得を検討している方ならば、広告やモデルルームなどで、住宅価格が上昇しているのを実感していると思います。特にマンションの価格高騰は顕著です。ただし、これには2011年の東日本大震災の復興需要、2020年の東京オリンピックに向けての公共事業などが関係しているのでしょう。オリンピックの数年後には、住宅価格は下落すると言われています。
 
国土交通省の地価公示に目を向けてみると、2017年3月に発表された地価は、東京・大阪・名古屋の三大都市圏では上昇、地方では下落という状態です。これを「都市と地方の格差」として片付けることもできますが、「住宅価格の下落が地方から始まった」とみる専門家もいます。全国平均(住宅地)で見ても、9年ぶりに下落しており、この流れは、いずれ大都市圏にも及ぶとみられています。
 
「地方の地価が下がっても、都市圏には人が集まるから大丈夫ではないか」という考え方もあります。しかし、日本全体の人口が減少している中では、都市圏だからという理由だけで地価下落を免れるかは疑問です。
 

金利は上がる?

 
地価や住宅価格だけでなく、住宅購入を検討するならば金利にも注目しましょう。
 
金利の動向は、世界経済の動きも加わるため予測が難しいものです。しかし低金利の今、金利がさらに下がることは考えにくく、将来は金利が上昇すると見込んでおくべきでしょう。住宅ローンの返済は長期間にわたるため、金利上昇の影響は大きく、価格の下落幅を吸収してしまうこともあるので注意が必要です。
 
(金利が上がることで、住宅ローンの返済額がどのくらい影響を受けるのかは、後ほど具体的にご紹介します)
 

ライフプランから見たメリット・デメリット

 
購入するか、待つか、迷っている方のために、各選択肢のメリット・デメリットを、ライフプランを重視した視点で解説します。
 

今すぐ購入するべきケース

 
今、住宅購入に踏み切った場合の一番のメリットは、当然ですが、ご家族が最も必要な時に住宅を手に入れられる、ということでしょう。
 
マイホーム購入に踏み切る方のほとんどは、「子供が小さいうちにマイホームに住みたい」「住宅ローンの完済年齢が70歳になるまでに買いたい」など明確な理由があります。住宅のように価格の大きい買い物は、ある程度必要に迫られないと、買おうという欲求そのものが起きないのです。親の介護など、緊急度の高いものもあるでしょう。重要度や緊急性はそれぞれですが、高額なマイホームも、基本的には普通のお買い物と同じで「欲しい」と思った時が買い時だといえます。
 
購入者の需要が高まっていて、なおかつ購入可能な価格であれば、あえて購入を待つメリットは少ないでしょう。むしろデメリットのほうが多いと思います。
 
【購入を「待つ」ことで起こり得るデメリット】
 
•良い条件の物件を買い逃してしまう
 
•子供の成長により教育費の負担が大きくなり、資金計画が厳しくなる
 
•住宅ローンの完済年齢が高くなるため、住宅ローンが組みにくくなる
 
•健康を害してしまい、住宅ローンが組みにくくなる
 
などが挙げられます。また、そもそも上述した金利や物件価格の未来は確実なものではなく、せっかく待ったのに物件価格が思ったほど下がらなかった、という事態も起こり得ます。
 

物件購入を待つことでメリットがあるケース

 
逆に、物件購入を待つメリットは、頭金を貯める時間的猶予が得られる点や、住宅をじっくり選ぶことができる点などです。
 
FPとしては、物件価格が資金に対して不相応だったり、家計や返済計画に問題があったりする場合は、購入をおすすめできません。不安材料をしっかり解決するまでは、購入を見合わせる(待つ)意義は大きいです。
 
しかし、そういった問題がなく、住宅購入の差し迫った需要がないのであれば、購入欲求を優先し、「今、マイホームが欲しいかどうか」という気持ちを大切にするべきでしょう。
 

費用面ではどちらがお得か

 
ここからは、住宅購入のシミュレーションとして、「2022年頃に物件価格が下がり、金利が上昇する」という想定で、(1)2017年中に住宅を購入した場合と(2)2022年まで待って住宅を購入した場合とを比較してみます。
 
大まかな前提条件は以下のようになります。
 
物件価格は、2017年現在の価格から、2022年には1割下がるという想定です。
金利については、2017年に購入するケースは変動金利を(金利上昇の影響を分かりやすくするため)、2022年に購入するケースは固定金利を(すでに金利上昇局面にあるため)選択しています。また、金利は徐々に上昇するものとします。
 

金利選択 借入当初金利 物件価格 借入期間
2017年に購入 変動金利 0.6% 5,000万円 35年
2022年に購入 固定金利 1.8% 4,500万円

 
 
シミュレーション1:2017年購入(金利変動:緩やか)
 
•物件価格 5,000万円
 
•変動金利
 
•当初金利0.6%で2017年に住宅を購入したものの、5年後に金利が1%に上昇、その後10年ごとに0.2%ずつ金利が上がるとする。
 

毎年返済額 1,443,648~1,721,616円
利息合計 8,293,036円
総返済額 58,293,036円

 
 
シミュレーション2:2017年購入(金利変動:急上昇)
 
•物件価格 5,000万円
 
•変動金利
 
•当初金利0.6%で2017年に住宅を購入したものの、5年後に金利が1%に上昇、その後5年ごとに0.2%ずつ金利が上がるとする。
 

毎年返済額 1,584,168~1,904,548円
利息合計 13,112,972円
総返済額 63,112,972円

 
 
シミュレーション3:2022年購入
 
•物件価格 4,500万円
 
•固定金利(適用金利1.8%)
 

毎年返済額 1,733,892円
利息合計 15,686,000円
総返済額 60,686,000円

 
 

各シミュレーションの総返済額比較

 

2017年購入 2022年購入
金利上昇:緩 金利上昇:急
58,293,036円 63,112,972円 60,686,000円

 

物件価格が下がっても、金利上昇が緩やかならば、早期購入のほうが総返済額は少ないという結果になりました。なおこれは、金利上昇しても何も手を打たなかった場合のものです。金利上昇が急な場合は、繰り上げ返済で毎月返済額の圧縮したり、固定金利への借り換えたりなどの対策があります。
 

金利上昇リスクに備えるには

 
適切な知識を持って対策をするのであれば、金利上昇がそのままリスクになることはありません。しかし、繰り上げ返済するには資金が必要ですし、借り換えも諸経費の負担があります。また健康状態が悪くなっていたり、転職を行っていたりすると借り換えを実行できない可能性があります。
 
いずれにせよ、変動金利を選択する場合には注意が必要です。金利上昇が不安であれば、当初から固定金利を選択すると良いでしょう。現状は住宅価格が高騰しているため、家計への負担やリスクを減らすよう、返済計画はきちんと練りましょう。
 

最終決定は損得で計れない

 

ここまで、低金利のうちに住宅購入すべきか、それとも物件価格が下がるまで待ったほうが良いのかを検証してみました。筆者個人としては、リスクが許容範囲内であるという最低条件を満たしているならば、欲しい時に住宅購入に踏み切っていただきたいと考えています。
 
賃貸かマイホーム(購入)かという選択は、損得の問題ではなく、今後どう生きていきたいかという自らのライフデザインによるところが大きいです。たしかに、購入を数年待つことで数十万円から数百万円、安く家を買えるかもしれません。しかし、欲しい時にマイホームを購入することで得られる満足感や充足感は、割安さに勝るのではないでしょうか。総返済額にこだわることは大切ですが、参考程度にし、ご自身と家族のライフプランを第一に考えていただきたいと思います。
 
参照
不動産価格指数|土地総合情報ライブラリー

地価・中古マンション価格の動向|野村不動産アーバンネット

1年間の地価動向(PDF)|国土交通省
 
横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)

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