REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原です。タイトルに掲げたように「持ち回り契約を理由にした囲い込み」という新たな「囲い込み」に出くわしました。不動産業界の悪しき商習慣であり、売主様に迷惑をかけるだけの「囲い込み」の撲滅に取り組んでいるREDSの一員として、見逃せない動きです。

（写真はイメージです）

まず、不動産における「囲い込み」とは何か、簡単におさらいしておきます。囲い込みとは、自社で「両手仲介」を実現したいがために、売却依頼を受けた物件の情報を市場に公開しない行為のことを指します。

「両手仲介」とは、不動産会社が顧客から不動産売買の依頼を受け、相手方を他の不動産会社を介さずに見つけることができた場合に、依頼元と相手方の両方から、仲介手数料をもらえることをいいます。他の不動産会社が介在する片手仲介に比べて、収益は単純計算で2倍となるため、不動産会社の多くは両手仲介を目指して、自社の顧客網やネット媒体などによる広告でお客さんを探すことに注力しています。

不動産会社の収益増に直結するため、さまざまな手口が存在し、その手口は巧妙化するばかりです。

次に「持ち回り契約」とはなんでしょうか。字のごとく書類を持ち回って契約を調印することですが、要するに売主様と買主様が、非対面で契約されることを、持ち回り契約といいます（業界用語）。

最近、売主側仲介の大手仲介業者に、その持ち回り契約を口実にした囲い込みをされました。新たな囲い込みのテクニックとしてお客様にご紹介します。これをやられると、私どもには手の打ちようがないかもしれません。

先日、REDSのお客様で、あるマンションのご購入を希望された方がいました。しかし、海外赴任中のため、ご自身でのご内見がかないませんでした。そこで、私とメールにて物件についての質疑応答をいただいた後、最終確認の、私自身が行う内見の依頼を大手仲介業者へしたところ……。

「当社は全社的に持ち回り契約が禁止となりましたので、お取引いただけません」との回答が。「全社的に禁止」とのことでしたので、その大手の不動産仲介会社の別の営業所へ確認してみると、「持ち回り契約も可能」との回答でした。

大手仲介業者の営業担当者は、すぐにばれるウソをついてまで、囲い込みをしたというわけです。囲い込みをしなくてはならない事情はお察ししますが、あまりに酷いと思いませんか。

さらに今回の件が悪質と思えたのが、大手仲介業者の両手仲介なら、電子契約により持ち回り契約が可能ということなのです。それって、実質的に囲い込みしているわけですよね。呆れてしまいましたが、こういわれては、他社である弊社からはどうにもできません。

声を大にしていいたいです。大手の看板があるからといって、絶対にお客様の不利益になることはしない、なんてことはありません。むしろ大手ほど、油断も隙もあったものではないといえるかもしれません。