不動産のリアルREALITY OF REAL ESTATE

  • 最終更新日:2019年4月4日
  • 公開日:2018年4月16日

隠すと怪しまれます。マンション売却時には修繕履歴と積立金情報のフル開示を

「マンションは管理を買え」という言葉があります。マンションの立地や部屋の面積、室内の劣化の度合いなどは、価格や購入の大きな決め手ではあるのですが、マンションが建てられてからこれまで「どう管理されてきたか」ということもまた、重要な要因のひとつであることはあまり知られていません。今回は、マンション売却における修繕履歴と積立金の重要性について解説します。

 

マンション修繕

(写真はイメージです)

 

修繕がいい加減だと買主は安心できない

 

マンションを長く維持していくためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。街中で外壁に沿って足場を組んでいるマンションを見かけることがあると思います。あれは大規模修繕工事と言い、外壁のひび割れや屋上の防水機能の修繕作業を実施しているのです。10~15年に1回の頻度で行うことが一般的で、国土交通省が定める標準的な長期修繕計画でも12年1回の頻度とされています。

 

この他にも、マンションにはさまざまな設備があります。エレベーターや機械式駐車場や各戸に水を送る給水ポンプ、オートドア、インターホンなどですが、これらの設備は半永久的に使用できる設備ではなく、ある程度の期間でリニューアルをする必要があります。エレベーターであれば30年程度、インターホン設備や給水ポンプ設備であれば15~20年など各々の設備には耐用年数があるからです。

 

これらの修繕工事がいつ、どの程度、いくらの費用をかけて行われてきたかは、これから長く住むことを考えている購入検討者にとってはとても重要な情報です。まったく修繕されていなければ、近い将来、突発的なものも含めて修繕費用を求められることは明らかだからです。反対に、適切に管理されてきたという修繕履歴があれば、購入検討者にとって大きな安心材料となりえるのです。

 

積立金の残高をチェックしよう

 

マンションの住人は、修繕計画に伴って修繕積立金を毎月、支払っていますが、この修繕積立金がどのくらい積み立てられているのかも大事なポイントです。たとえば、築10年30戸のマンションで1,000万円の積立残高があり、各戸から月額7,000円ずつ集めているとします。前述のとおり、大規模修繕工事を実施するのは築12年ごろが目安です。また、大規模修繕工事に要する費用は〈戸数×80万~100万円〉とされています。

 

先ほどのマンションの場合、2年後に2,400万~3,000万円を要する工事が待っていることになります。現在、年間の積立金が252万円(7,000円×30戸×12カ月)のため、2年後の積立金は約1,500万円しかありません。工事を築15年目の時期に延ばしても積立残高は約2,250万円しかなく、このままでは適切な大規模修繕工事ができません。途中で修繕積立金を増額することや、各戸から一時金を集める措置が必要になるでしょう。

 

このようなマンションは適切な管理が行われているとは言えず、購入検討者が敬遠するのも当然です。逆に言えば、修繕積立金が余裕を持って運営されていることは、購入検討者へのアピールポイントになります。

 

長期修繕計画は更新されてないとダメ

 

どこをどのように修繕していくのかいう工事計画と、その工事計画に基づいて各戸からいつ、いくら集めるのかという資金計画をまとめたものを「長期修繕計画」と言います。マンションの管理組合で長期修繕計画を作成することは20~30年前から普及し始めたため、古いマンションでない限り、ほぼ書面になって備わっています。

 

この長期修繕計画と実際の修繕履歴や修繕積立金残高が大きく相違していなければ、適切に管理されているマンションといえます。長期修繕計画が、適切な頻度とタイミングで更新されているかも重要です。長い間更新されていない場合は、現実と乖離している可能性があるからです。

 

たとえば、15年間で一度も長期修繕計画が更新されていなければ、消費税率3%で計画している可能性があります。現在は8%ですし、来年には10%へ増税されるかもしれません。3,000万円の工事の場合、消費税が3%ならば90万円ですが、10%ならば300万円です。このように、税率アップなどの事情を反映していなければ、いざ工事というときに資金不足に陥る可能性があります。

 

国土交通省のコメントでは「5年1回程度で計画を見直すことが望ましい」とされています。購入検討者もインターネットで情報を入手していることが増えてきました。売主が、自分の住んでいるマンションがどのような状態かは知らないというのはまずいでしょう。

 

不都合な真実でも開示すべし

 

さて、修繕積立金が不足しそうなことが判明した場合、売主としてはどうすればよいでしょうか。答えはひとつで、「情報を隠さず開示する」のみです。その理由は、修繕積立金が不足しそうかどうかという判断は、得られた情報に基づいて購入検討者や購入検討者側の不動産仲介業者が判断することだからです。額を見て、売主としては不安になったとしても、買主がOKならよいのです。

 

修繕積立金が不足していることに対して購入検討者が不安を感じているならば、「修繕積立金が不足した場合の準備金」として売買価格から相応に値引き対応をすれば、先方にとって納得感のある買い物になるでしょう。

 

最後に

 

修繕履歴、修繕積立金、長期修繕計画などマンションの管理情報については、不動産売買で極めて重要な情報です。管理がしっかりしていると、資産価値も高まります。なので、マンション埋却においては買主に対して包み隠さず開示することが大事です。公開に積極的な仲介業者を見つけることも売却を成功させるポイントになるでしょう。

 

斉藤勇佑(宅地建物取引士)
大学卒業後、5年間不動産売買業務に従事。その後、不動産管理会社に転職し、分譲マンションの維持・管理を中心とした業務に5年間かかわり、現在は不動産のストック分野の業務に従事。
  

 

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