REDSエージェント、宅建士の後藤です。

不動産売買を検討していたり、住まいを探したりする人の多くが利用している不動産ポータルサイト「SUUMO」の物件表示に関する規定が4月より変更される見込みで、不動産業界ではちょっとしたニュースになっています。現行では仲介手数料や諸費用掲載について全面禁止としていたものが、「原則記載可」に緩和されるそうで、これがどういうことになるのか、少し説明します。ひとつ言えること、これは「朗報」です。

（写真はイメージです）

SUUMOでは、地域や物件の種類（戸建て、マンション、注文住宅、土地、新築、中古など）特徴（日当たり良好、2沿線以上利用可、LDK15畳以上など）の条件から、希望の住まいを探すことができます。気に入った物件をクリックすれば、室内写真や周辺環境、内見可能日などさらに詳しい情報とともに、物件を預かっている不動産会社の情報も出てきます。不動産会社の営業マンの接客に対する口コミや、不動産会社を取材した情報など、実に多くの情報が掲載されています。

2023年3月までは、仲介手数料や諸費用の金額について掲載することが禁止されていました。仲介手数料は〈物件価格の3％＋6万円＋消費税〉が法定上限価格であり、諸費用は一般に物件価格の5～8％程度とされます（仲介手数料込み）。

物件価格によっては仲介手数料だけで優に100万円を超えるケースも少なくなく、現金で用意するお客様からすれば仲介手数料への関心は決して低くはないはずです。ところが、これまでは仲介手数料の金額についての説明を掲載することは一切できませんでした。

REDSでは企業努力により仲介手数料を「すべて割引～最大無料」としていて、その恩恵を多くの人に知っていただきたいのに、その記載が禁止されていたのでは、お客様目線に立っていないと言わざるを得ません。このルールが一新されるということは、長い間守られてきた、仲介手数料の掲載解禁も時代の流れなのでしょうか？　

仲介手数料については、ほとんどの不動産会社が法定上限価格を請求していて、価格競争が行われることはありませんでした。仲介手数料の額はあくまでも法律で定められた上限額です。ということは、0円～上限額の範囲で自由に決めることができるということです。ところが、多くの不動産業者は当たり前のように上限額の支払いを求め、本当は不動産会社の考え方ひとつで減額できる事実を伝えようともしませんでした。

その理由は、ズバリ、客に対してあえて言う必要がないためです。「媒介契約書」に仲介手数料のことについて記載はしていますので、ほとんどの業者はその契約書を交わすことで顧客への説明をしたとみなしています。このため、請求時には改めて説明をしないのです。

買主や売主から減額の申し出がない限り、業者は手数料を割り引くことはありません。つまり、顧客に知識がないのをよいことに、都合よく手数料を領収しているというわけです。

こうした商慣習がまかりとおる業界でも、一方ここ数年で、仲介手数料を無料にしたり割引したりする不動産会社が増えてきました。

こうした不動産会社に対し、一部では「仲介手数料を満額請求しない不動産会社はむしろ怪しい。手抜きをしているか、別の理由でお金を請求される」という不安を持っている方もいるようです。しかし、そうした会社は手数料収入に頼らなくてもビジネスが成立するだけの収入源を別に確保していたり、本来のサービス内容に支障をきたすことなく無駄な経費を徹底的にカットしていたりなど、さまざまな努力をしています。このような企業努力はまさに「顧客第一主義」といえるのではないでしょうか。

4月からのルール変更見通しは、顧客第一主義の不動産会社に出合える機会が増えることになるため、お客様にとっても朗報と言えるでしょう。これまでの条件に加えて「仲介手数料が安い不動産会社」という選択肢を得て、理想の住まい探しができるようになることを願います。