REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの井原です。みなさまは不動産の広告で「駅徒歩5分」と表示されていたのに、実際は「もっとかかるよな……」と感じることはないでしょうか。敷地が広かったりタワーマンションだったりすると、自宅のドアからエントランスまでが遠く、「大手町までアクセス20分」とあったのに乗り換え時間を含めると30分はかかっている、なんてことが実態でしょう。

そのギャップが改善されそうです。

（写真はイメージです）

所要時間にはロス時間がたくさんある

不動産の広告に表示される駅から物件までの所要時間は、広告の適正化をめざす業界の自主規制団体である「不動産公正取引協議会連合会」が表示規約で定めています。規約では、駅など各種施設までの所要時間は80メートルを1分と計算。直線距離ではなく道のりの距離です。

駅から物件まで800メートルあるとしたら、所要時間は10分。1メートルでも超えたら1分切り上げるため、801メートルは所要時間11分になります。

所要時間には、横断歩道の信号待ちや踏切、上り坂によるロスなどは含まれません。起点となるのは駅の改札ではなく出入口。大きなターミナル駅の場合、出入口から地下道や階段などを通って改札にたどり着くまでに時間がかかりますが、この時間も入っていません。

さらに、各停から急行に乗り継いだり、他路線に乗り換えたりする場合も、その時間を加えていません。このように実態と相違する広告でもOKだったのです。

不動産公取規約の改正でどう変わるか

2022年9月から、不動産公取規約が改正され、以下のように変更されました。

■所要時間

変更前：駅からマンション敷地までの時間
変更後：駅からマンションの出入口までの時間

変更前：駅から団地の最も近い建物までの距離
変更後：駅から団地の最も遠い建物の時間も表記

■通勤時間

変更前：乗り換え時間を含めない→例：最寄り駅から大手町まで25分
変更後：乗り換え時間（例：5～8分）を含める→例：最寄り駅から大手町まで30～33分

今は過渡期なので、新旧ルールの広告が混在します。今後は不動産ポータルサイトでの物件の探し方にも変化が出るかもしれません。過渡期ならではの注意点は、不動産会社が表示している所要時間や通勤時間はどのように算出されているかをしっかり確認することです。